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衰えぬ気迫とスピードで成長を続ける酒井高徳

2012.08.04

 サッカーキングが、「サッカーキングプラス」としてdocomo、au、SoftBankの公式サイトに登場しました。現在行われているブラジル・ワールドカップ出場権を懸けたアジア最終予選やユーロ2012の特集、イングランドやドイツ、スペインなど、ヨーロッパ初の特別書きおろしコラムなど、サッカーの”今”を伝える会員限定コンテンツが盛りだくさんです。

 今回は、ユース世代を中心に取材を続ける安藤隆人氏のコラムを展開するサッカーキングプラスのコンテンツ「ユース教授が振り返る才能たちの”原点”」の中から、ロンドン・オリンピックで快進撃を続けるU-23日本代表の一員として活躍する酒井高徳にスポットを当てたコラムを特別にサッカーキングで公開します!

 

 

[写真]=千葉格

 

 ロンドン・オリンピックで、U-23日本代表が戦前の予想を大きく覆す快進撃を見せる中、左右のサイドバックで活躍するのが、シュトゥットガルトに所属する酒井高徳だ。

 

 彼は最初からレギュラー扱いというわけではなく、右サイドバックの酒井宏樹、左サイドバックの徳永洋平のバックアップという位置付けだった。しかし、初戦のスペイン戦で酒井宏が負傷すると、急きょ出番が訪れる。第2戦のモロッコ戦は右サイドバックでスタメン出場。豊富な運動量を生かしたアップ弾と堅実な守備で、1-0の完封勝利に貢献した。第3戦のホンジュラス戦では左サイドバックとして先発出場。キレのある動きと、フィジカルの強さを見せ、90分間戦い抜き、ユーティリティーさも発揮している。

 

 突如訪れたチャンスをものにした酒井高。その堂々とした佇まいは、彼の大きな成長の表れだった。

 

 筆者が彼を初めて見たのは、新潟ユースに所属する高校1年生の時。そのときは果敢なオーバーラップこそ健在だったが、そこまで強烈なインパクトはなかった。しかし、彼が高校2年生時のプリンスリーグ北信越の新潟ユース対星稜の試合で見せたパフォーマンスで、一気に彼の虜になった。

 

 タッチライン沿いで試合を見ていた筆者は、物凄い勢いでサイドを駆け上がる彼のその迫力に圧倒された。猛烈なスピードで駆け上がってきたと思えば、守備時には驚くべきスピードで帰陣する。特筆すべきは、そのスピードがいつまで経っても衰えないことだ。90分間、何度も何度も彼は左サイドを駆け抜けた。時間が経つにつれて迫力は増していくほどだった。1年生の時とは比べ物にならないほど、彼は大きな成長を遂げていたのである。

 

 高校3年生になってからも、彼の進化は止まらず、そのまま新潟のトップチームへと昇格。U-18日本代表の一員として参加した、2009年10月に行われたU-19アジア選手権1次予選では、その実力をまざまざと見せつける。

 

 インドネシアの地で行われたこの大会は、試合中に何度もスコールが降り、もともとボコボコのピッチがさらにぬかるむ、劣悪なピッチコンディションでの戦いとなった。他の選手たちがこの環境に戸惑う中、酒井高だけは馬力のあるオーバーラップから繰り出される正確なクロス、そして速い帰陣からの守備と、攻守に置いて大きな存在感を発揮。最終戦ではオーストラリアを相手に、圧巻のミドルシュートを叩き込んで、全勝でのアジア最終予選進出に貢献した。

 

 2010年にはバックアップメンバーとして南アフリカ・ワールドカップを戦う日本代表に帯同。その後は新潟でレギュラーの座をつかみ、昨シーズンの冬にはシュトゥットガルトにレンタル移籍を果たす。そこからの活躍は周知の通り。ブンデスリーガで14試合連続フル出場を果たしてシュトゥットガルトの快進撃の原動力となり、一時はドイツ代表への帰化が騒がれるなど、一躍リーグ屈指のサイドバックへと名乗りを上げた。

 

 活躍の場を世界に移した酒井高徳。しかし、彼はタッチライン沿いを往復するように、これからも衰えぬ気迫とスピードで成長を見せてくれるだろう。今回のオリンピックの活躍も、彼にとってはこれからの躍進の布石に過ぎない。

 

【プロフィール】
安藤隆人(あんどう・たかひと)
1978年2月9日生まれ。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、サッカージャーナリストに転身。ユース年代の取材のために全国行脚を繰り返し、海外取材も精力的にこなす。今年1月には、これまでの自身の歩みと、取材を通して共に成長してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司らとの歩みを一冊の本にまとめた『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』を出版。Numberや日経ビジネスアソシエにも寄稿。

 

サッカーキングプラスはケータイ、スマートフォン(ソフトバンクのiPhoneを除く)から御覧いただけます。

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