インタビュー・文=高尾太恵子/写真=兼子愼一郎/取材協力=ナイキジャパン
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の就任以降、すべての代表戦に招集されている森重真人は指揮官を「常に完璧を追求する厳格な人」と表現する。
ピッチ外でも息が詰まりそうなほどの徹底管理を行うハリルホジッチ監督は、宿舎での休息時間を確保するため、部屋から出ないように指示を出していたほど。つかの間のリラックスタイムに、有志が集まりぶらりと散策する「散歩隊」が解散危機に直面したこともあった。
ところが、10月の遠征中に変化が表れる。宿舎で唯一、通信環境が良好だった『Wi-Fi部屋』に自然と選手たちが集まるようになり、そこがリラックスルームと化したのだ。結果的に選手同士のコミュニケーションが深まり、これにはハリルホジッチ監督も理解を示した様子。そして今回、森重が特別にリラックスルームでの裏話を“少しだけ”明かしてくれた。
みんながハマっているゲームでチームワークを強化
――オフ・ザ・ピッチについて少しお聞かせください。ハリルホジッチ体制になり、チームとしてもいろいろなことにチャレンジしている段階です。コミュニケーションが非常に重要になってくると思いますが、遠征中によく話をする選手は誰ですか?
森重真人(以下、森重) 誰ですかね……基本的にはいろいろな人と話しますよ。今は、元チームメイトの武藤(嘉紀)と一緒にいることが多いです。ドイツでの話を聞いたり、FC東京の現状を報告したり。武藤も結婚したので、新婚生活の話を聞くこともあります。とはいえ、初めてドイツに渡ったタイミングで新婚生活をスタートさせたので、そんな難しい状況で僕がアドバイスできることはないですけどね(笑)。でも、楽しんでいるのはすごく伝わってくるので安心しています。
――海外の話は刺激になりますか?
森重 なりますね。話を聞いていると、ドイツや武藤がいる街はいい場所だと伝わってくるので、行きたいと思いますよ。それにアウクスブルク戦(ブンデスリーガ第11節/10月31日開催)でのハットトリックはすごかった。元チームメイトがドイツであれだけプレーできるんだっていうのは自分たちの自信にもつながるし、「じゃあ、俺らもやってやろう」という気持ちになる。すごく刺激を受けています。
――10月の遠征では、『Wi-Fi部屋』がチームを団結させたとお聞きしました。
森重 ありましたね。
――どんな様子でしたか?
森重 みんな携帯をいじっていますよ(笑)。本当にそこがホテル内で唯一、電波が入るところだったので、携帯をいじりながら話題を作って話をしたりしています。
――どんな話題ですか?
森重 普通にクイズを出し合ったり、映画の話をしたり、なぜか宇宙の話をし始めたり……(笑)。実は今、みんな携帯ゲームにハマっています。日本代表でグループを作って、それをみんなでワイワイ言いながらやっていました。
――そこでも負けず嫌いが発揮されるのでしょうか?
森重 この前やったゲームは団体戦だったので、選手同士で戦うことはありませんでした。みんなで協力し合ううちに、そこからチームワークが生まれましたね(笑)。
遠征中、緊張に包まれる選手たちにとって、リラックスできる時間は必要不可欠。かつハリルホジッチ監督が継続して新戦力を招集している今、オフ・ザ・ピッチでのコミュニケーションはお互いの理解度を高めるための貴重な時間に違いない。
(※インタビューは11月3日実施)