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原口元気「苦しい時に点を取る、記憶に残る選手になりたい」

2012.05.22

Jリーグサッカーキング 2012.5月号掲載]

小学生年代から国際舞台を経験し、常に高い目標を掲げて突き進んできた原口元気。今月23日のアゼルバイジャン戦を戦う日本代表にも名を連ね、ロンドン・オリンピックも視野に入れる彼が目指す目標とは?(このインタビューは今季Jリーグ開幕前に行われたものです)

[インタビュー]=浅野祐介
[写真]=吉野洋三

ドリブルで抜くのは本当に気持ちいい

 
まずサッカーを始めたきっかけについて教えてください。

原口 父がサッカー好きで家にボールがあったので、父と遊ぶ手段じゃないですけど、最初は遊び感覚でしたね。
 
子供の頃はどのような少年でしたか?

原口 やんちゃだったと思います。本当にサッカーが大好きで、ずーっとボールを蹴っていました。家の中の物を割りながら、ボールで遊んでいました(笑)。
 
幼少時代に憧れていた選手は?

原口 ロナウド(元ブラジル代表)とかベルカンプ(元オランダ代表)とかFWの選手ですね。
 
サッカーを始めた当時のポジションや、プレースタイルは?

原口 今と変わらないですね。ドリブルばかりやっていて。これだけ変わらない選手も珍しいんじゃないかというくらい昔からずっと変わっていません(笑)。
 
攻撃的なポジションや突破するプレーは昔から得意だったのですか?

原口 自分の特徴というか、やってみたいプレーがドリブルだったんです。ドリブルで突破して、シュートまで持ち込むプレーがすごく気持ち良くて。そこは、ずっと変わらない自分のスタイルです。
 
小学生の頃はどのような練習をしていたのですか?

原口 基礎練習、一対一、ドリブル練習ですね。そればっかりやっていました。
 
プレースタイルは昔から変わっていないということですが、やっぱりドリブルで抜く瞬間が好きだったのですか?

原口 最高に好きですね。その瞬間が一番だと思います。今はゴールを決めた瞬間も好きですけど、ドリブルで相手を抜くのは本当に気持ちいいんです。
 
中学からは浦和レッズのジュニアユースに加入しました。浦和を選んだ理由は?

原口 やっぱり浦和は小さい頃から身近な存在だったし、よく両親と試合を見に行ったりもしていたので、迷わず浦和に行きたいと思いました。
 
当時から「いずれはプロに」という思いは持っていたのですか?

原口 そうですね。当時、森本(貴幸/現ノヴァーラ)くんが中学3年くらいでJリーグに出場していたので、僕も早くトップチームに昇格して活躍したいとは思っていました。
 
Jクラブには各地域から有望な選手たちが集まりますが、競争から学んだことや自信を得たことは?

原口 いろいろな地域から選手が集まってきたチームですし、小学生時代はエースだったような選手ばかりなので、みんな自信を持ってプレーしていました。それは浦和ジュニアユースに入って一番強く感じたことです。でも、そういう中でも「自分が一番だ」と思ってプレーしていましたし、そう思い続けたことが今につながっているんじゃないかと思います。
 
飛び級でユースに昇格しましたが、現実的にプロを意識したのはいつ頃ですか?

原口 ユースに昇格して現実的に考えるようになりました。寮にも入ってプロの選手と一緒に生活する中で、徐々に思い描けるようになりましたね。
 
ユース時代のトレーニングで印象に残っていることはありますか?

原口 一対一で負けない、球際で負けないなど、練習から試合に出るための戦いがあり、毎日そういう緊張感の中でプレーしていたので、それが一番印象的です。
 
08年に二種登録選手としてトップに登録され、ヤマザキナビスコカップの名古屋グランパス戦でデビューしました。今、当時を振り返るといかがですか?

原口 やっと、夢というか目標が叶ったかなっていう気持ちでしたね。あとは、とにかく「やってやろう」と思っていました。「この選手を抜いてやる」みたいな気持ちでプレーしていましたから。
 
当時から鋭いドリブルが注目されていましたが、ドリブルする時に心掛けている
ことはありますか?

原口 間合いには気を付けています。いかに自分の間合いに持ち込むかという点は意識していますね。ボールタッチに関しては小さい頃からずっとボールに触っていたので、トップスピードに乗ってもブレない自信があります。あとは自信を持って仕掛けること。それだけです。
 
相手と対峙した時、抜くイメージを描きながらドリブルをしているのですか?

原口 いや、とっさにイメージが変わることもあります。最初は中に切れ込もうと思っていて、相手にコースを切られた瞬間に縦に行ったり。きれいに相手を抜ける時って、自分のイメージの反対を突いた時なんですよ。
 
プロになってからも、相手を抜く瞬間の気持ち良さは変わらないですか?

原口 そうですね。歓声がバーッて起きた瞬間は最高に気持ちいいです。
 

一丸となって戦えば、必ずいい結果が出せる

 
09年に17歳でプロ契約を結びましたが、プロになった時の率直な心境は?

原口 「お金をもらってサッカーできるんだ」とは思いましたけど、特に何かが変わったわけではなかったと思います。
 
同年開幕戦で先発出場し、プロデビューを飾りましたが、自分の中でプロで活躍
できるイメージはありましたか?
 
原口 当時は、変な自信みたいなものがありました。足りないモノだらけだったんですけど、先発で起用してもらったことで過信する部分が出ていたと思います。今思い返すと、身体的にも技術的にも、すべてにおいて活躍する要素はなかったかなと感じます。
 
第5節名古屋戦でクラブ史上日本人最年少でのプロ初ゴールを決めました。

原口 ゴールは覚えていないんですが、その後に受けたヒーローインタビューは覚えています。かなり緊張して自分でも何を言っているのかよく分からなかったですから(笑)。でも、何かすがすがしくて、「こんなに気持ちいいものなんだ」と感じましたね。
 
09年は32試合に出場。プロ1年目としては最高のスタートだと思います。
 
原口 多くの試合に出られたのですごく良かったです。まだまだ通用しない部分が多かったですが、それによって課題も見つかりました。ただ、当時はまだ課題を克服するとか、レベルアップすることについて、それほど強い思いを持つことができていなかった。どこかのほほんとしていた部分があったように思います。
 
翌年は26試合に出場。高橋峻希選手とのポジション争いもありました。

原口 競争は常にあるし、峻希には負けたくないと思っています。メンタル的に難しい部分もありましたけど、強い気持ちで練習から取り組めたので、いろいろなことを学べたシーズンだったなと思いますね。
 
昨年は初めて残留争いを経験しました。

原口 自分の中では、「大丈夫だ」という思いがありました。絶対(J2に)降格させない、浦和が落ちるなんてありえないという気持ちがあって。もちろん、ありえなくはないんですけど、強い気持ちを持ってプレーしていましたね。
 
個人としてはナビスコ杯ニューヒーロー賞を獲得。日本代表にも選出されました。

原口 個人成績に関しては、目標にしてきたことがある程度は達成できたので、良かったなと思います。ただ、チームとしては苦しい状況だったので、すっきりしないシーズンでしたね。
 
新シーズンは新たにペトロヴィッチ監督が就任しました。監督に対してはどんなイメージを持っていますか?
原口 やっぱり、ポゼッションサッカーの印象が強いです。あと、今まで自分のポジションはワイドだったのですが、今年はペトロヴィッチ監督から2シャドゥのポジションを与えられプレーしているので、昨年とは違うプレーが求められていると思います。それに今年は、昨年のようなワイドなポジション自体がないのかなと感じています。でも、そこでまた新たな自分を出せるというか、今までの自分になかった部分を引き出すきっかけになると思うので、不安もありますけど、楽しみというか、成長できるチャンスじゃないかと思っています。
 
雪辱を期す今シーズンは、どのような点が大切になると考えていますか?

原口 一番はやっぱり勝つこと。正直、自分は内容よりも結果が重要だと思っています。たとえ内容が悪くても1-0で勝ってしまえば、勝ち点3を手にできるわけですから。
 
チームおよび個人の2012シーズンの目標を教えてください。

原口 チームとしては、まずはしっかりとした方向性を決めて継続的に取り組むことですね。ペトロヴィッチ監督は信念を持った監督だと思うので、その考えに沿って一丸となって戦っていけば、必ずいい結果が出せると思います。個人的には昨年以上のプレーを見せられるようにしたいですね。あと、今年はロンドン・オリンピックもありますし、ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選もあるので、代表チームにも絡んでいけるように頑張りたいです。
 
優勝を目指して戦っていきたい
 
世界で戦うことを意識し始めたのはいつ頃からですか?

原口 12歳の時に小学生のW杯というか国際大会に出場したんですけど、当時は全日本少年サッカー大会で優勝していて、日本では恐いものなしだったんです。でも、海外の選手と対戦したら全然違った。その時から、すごく世界を意識するようになりましたね。
 
昨年、日本代表の一員になった時の心境について、改めて教えてください。

原口 選ばれた時には特に何も感じませんでしたが、ピッチに初めて立った時、日本代表としてプレーしていることに喜びを感じました。
 
ロンドン五輪についてはどのような思いを持っていますか?

原口 必ず五輪のピッチに立つことができると信じてますし、基本的には一度しか立てない舞台なので、五輪でしか経験できないこともきっとあると思います。だから代表メンバーに入って世界との差を肌で感じたいですし、その中で優勝を目指して戦っていきたいです。
 
日本が勝ち抜いていくために必要なことは何だと思いますか?
原口 日本はしっかり守備ができるので簡単に崩れることはないかなと思います。あとは、苦しい時にいかに点を取るか。そこが重要だと思うので、自分のように前の選手がどれだけチャンスで決められるかがカギになると思います。
 
ブラジルW杯でプレーするイメージは、もう描いていますか?

原口 W杯でプレーしたいという夢はありますが、まずは浦和で今やるべきことをやっていくことが代表につながりますし、その先が見えてくると思います。
 
海外挑戦については、どのような考えを持っていますか?

原口 もちろん、いつかは海外でプレーしたいという希望はあります。もしそのようなチャンスがあれば挑戦したいです。
 
理想の選手像はありますか?

原口 一人で点を取れる選手というか、苦しい時にゴールを奪える選手に憧れます。理想としては、ワンチャンスを確実に決められる選手ですね。
 
サッカー選手として必ず成し遂げたい夢や目標は?

原口 記憶に残る選手になりたいです。もちろん、記録を残せなければ記憶にも残らないと思うので、結果も大事だと思います。いつか「すごい選手がいた」と言ってもらえるような印象的なプレーヤーになりたいですね。
 
それでは最後に、プロを目指して毎日練習に励んでいる中高生に向けてメッセージをお願いします。

原口 まずは「誰にも負けない」という気持ちを持つことが一番大事だと思います。強い気持ちを持って、誰よりも努力する。そうやって取り組んでいけば必ずうまくなれると思いますし、プロにも近付くことができる。だから日々、強い気持ちで練習に励んでもらいたいです。

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