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早野宏史「スタートダッシュが悪くても、次こそは頑張る、というイメージを持とう」

2012.04.21

USTREAM「波乱の幕開け! 今シーズン、Jのポイントはここだ! powered by まるごとJリーグ動画」(主催:フロムワン、共催:TVバンク、後援:totoONEサッカージャーナリスト養成講座)より抜粋
TVバンク

 波乱の展開を誰が予想しただろうか?

 Jリーグが開幕して1カ月が経過した。昇格組の躍進、強豪チームの下位低迷、成績不振による監督交代など、早くもさまざまな出来事が起こっている。

 先行きが不透明な戦国時代のJリーグにおいて、今後上位に進出してくるのはどのチームなのか?

 横浜マリノス(現横浜F・マリノス)、ガンバ大阪、柏レイソルなどで指揮を執った早野宏史氏、鹿島アントラーズなどで活躍し日本代表としてフランスW杯にも出場した名良橋晃氏をゲストに迎え、加藤理恵さんの進行のもと、波乱の展開となったJリーグの序盤戦を振り返った。

加藤理恵――まずはJリーグの順位から確認していきましょうか。
早野宏史――この1カ月を振り返ると、去年の柏もJ2から昇格していきなりの優勝だったし、何が起きるか分からないJ1の中で、「えっ、下位にこのチーム?」と意外に感じることが多かった1カ月でしたね。アントラーズがここまでっていうのは経験ないですよね、名良橋さん?
名良橋晃――でも、オリヴェイラの初年度も5戦やって勝ちなしだったんです。
早野――あるんだ。
加藤――そうなんですね。
名良橋――そうです、あるんです。その年は優勝してますから。
早野――アントラーズはチームのコンセプトがあまり変わらないんですよ。ところが今シーズンは得点源にちょっと問題がある。点が取れなくて、苦しんでる感じはしますね。
名良橋――昨シーズンも決定力不足と言われていて、大迫(勇也)、興梠(慎三)っていうところに、今シーズンは新加入のジュニーニョが来た。コンディションはまだよくないけれど、徐々に上がってきますから、大丈夫です。
加藤――これから先を期待しましょう、ということですね。
名良橋――大丈夫です!
早野――太鼓判を押しましたね。ただ、僕はうなずいていませんよ。苦しい戦いが続くと思うんです。セットプレーで勝ってキチっと守る形がまだ作れていない。まあ、最後には浮上してくると思いますけど。
加藤――昨年から選手が大幅に変わったわけではないじゃないですか。野沢(拓也)選手がいなくなったというのはありますけど。
早野――結構それは「大幅」だと思いますよ。伊野波(雅彦)もいないし、外国人ストライカーのマルキーニョスも抜けたからね。大迫がさらに成長するのを待たなくちゃいけないかもしれないし。
加藤――まだまだこれからですね。
早野――まだ始まったばかりじゃないですか。Jリーグを終わらせようとしてませんか?(笑)
名良橋――まだ終盤じゃないですからね。大丈夫。
早野――それはそうと、ガンバも結構苦しんでいるよね。ただ、メンバー的にゴソっと代わったわけじゃないし、目指しているサッカーの難しさっていうのがあるとはいえ、普通にやれば、ここまで落ちるチームじゃない。昨シーズンと同じことを繰り返していてもダメで、今シーズンは監督を交代して、選手も新しいサッカーにチャレンジしたけれど、やっぱり合わなくて失敗してしまった。
名良橋――そうですね。同じサッカーを続けていると相手も研究してくるし、そういった中でセホーン監督が違ったサッカーを展開してきたけど、結果として勝てなくて、監督が交代になって。
早野――早かったですしねぇ。
名良橋――そうですね。
加藤――早かったですね。なぜあのタイミングだったのでしょうか?
早野――キャンプでチームづくりをして、あのタイミングで代えるのは、よほど勇気がいることだったと思いますよ。やっぱり勝たなくちゃいけないチームの宿命ですよね。
加藤――名良橋さんは今シーズンの順位表を見て、どのような印象をお持ちですか?
名良橋――仙台が1位で、昇格したFC東京や鳥栖も頑張っていて混戦ですよね。各チームのレベルが縮まっていて、大差はない。
早野――スタートダッシュの時点で調子の良い悪いは当然出るけれど、長いシーズンを戦う中で最後のところでチーム力が問われる。昨シーズンは柏が最後まで頑張って優勝する中、やっぱり名古屋やガンバが最終的には上位に来た。Jリーグは短期決戦ではないのでこれから夏場に入るとチームの状況はいろいろ変わってくるよね。
名良橋――季節によって。
早野――だから、スタートダッシュが悪くても、次こそは頑張る、というイメージをどのチームも持たないといけないと思うよ。

<続く>

この座談会は、4月13日にUSTREAMで配信した「波乱の幕開け! 今シーズン、Jのポイントはここだ! powered by まるごとJリーグ動画」の内容を『サッカーキング』掲載用に再構成したものです。

取材協力:鈴木真輝(サッカージャーナリスト養成講座 受講生)
写真:山中尚一


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