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【インタビュー】ジョーイ・バートン「唯我独尊のキャプテン」

2012.02.27

ワールドサッカーキング 2012.03.01(No.208)掲載]
選手としてのジョーイ・バートンは間違いなく優秀だ。今シーズンもQPRのキャプテンとして存在感を示し、プレミア残留を目指すチームに欠かせない存在となっている。しかし、歯に衣着せぬ発言とピッチ内外での愚行によって、“札付きの悪”としてのイメージも定着している。イングランドで最も「誤解されている男」の真実とは――。

バートン
インタビュー・文=サム・デラニー 写真=フォトスポーツ

昨シーズン、君は「自分がプレミアリーグで最高のイングランド人MFだ」と言っていた。言葉通りの意味と取っていいのかな?

バートン もちろんだ。俺は自分がイングランド人MFの中で最も調子がいいと感じていた。実際、俺よりも優れたプレーを毎週のように披露している選手はいなかっただろ? あれは決して軽薄なコメントなんかじゃない。あくまでも事実に基づいた発言だったんだ。

QPRのチームメートであるアデル・ターラブトは、「自分はレアル・マドリーでプレーできるだけの力がある」と話していた。君と彼、どちらのほうが優秀なんだい?

バートン
ターラブトは2部でプレーした昨シーズンに19得点を挙げ、チームの昇格に貢献。昨夏にはR・マドリーへの移籍のうわさが浮上していた

バートン アデルは自分の能力に自信を持っているし、R・マドリーでプレーできると思っているのも事実だ。ただ、彼はまずこのクラブでそれを証明しなければならない。アデルはチャンピオンシップ(2部リーグ)では確かによくやっていたが、チャンピオンシップとプレミアリーグの間には信じられないぐらい大きな差があるんだ。彼が今シーズンも19得点19アシストを記録したら、さすがの俺も「マドリーでプレーすべきだ」と言うことになるだろう。ただ、そこまでの道のりは長い。

君は今も、「いつの日かチャンピオンズリーグを戦うクラブでプレーする」という考えを持っているのかな?

バートン 俺は決して「Never」とは言わない。だが、もし本当にそれを実現しようとするなら、俺は他の選手のような人生を送らなければならないだろう。つまり、穏やかで、退屈で、自分の意見を持たなくなる人生だ。ビッグクラブには何も言わない選手がたくさんいる。彼らは1シーズンに数試合プレーしただけで満足してるんだ。それは俺のやり方じゃない。俺は1カ月に1度プレーして「トロフィーを勝ち取った」と自慢するより、たとえ何も勝ち取れなくても毎週プレーするほうが好きなんだ。トロフィーのために魂を売るようなことはしないよ。

それは小さなクラブの中心選手であるほうがいいということ?

バートン 俺は「ビッグクラブの選手がウチのチームで何ができるんだい?」と言ってやりたい。恐らく、彼らの多くは2分ももたないだろう。彼らがクラブレベルで活躍できるのは、優れた選手たちに囲まれているからだ。本当に優れた選手というのは周りの選手まで良く見せることができる。そういう恩恵を受けているだけさ。実際のところ、代表チームでプレーするとクラブでのパフォーマンスを発揮できない選手をよく見掛けるだろ?

バートン
上:自身と同様にメディアから問題児として扱われているバロテッリについてバートンは「本当に面白い」と強い関心を示す 下:同じく問題児ながら、“イングランドの未来”と期待されるウィルシャーに対してはメディアも扱い方が緩い

ところで、マリオ・バロテッリのことをどう思う?

バートン ヤツは本当に面白い。今までやってきたことの中にはちょっと心配するようなこともあるが、ヤツはまだ若い。ちょうど、人生における自分の道を見つけようとしているところだ。メディアの扱い方も興味深いね。メディアは取るに足らないことでもそこに風を吹き込んでいるんだ。イングランドにはジャック・ウィルシャーという“ゴールデンボーイ”もいるが、ヤツがバロテッリより悪いことをやっても、それがとても軽く扱われている気がする。ウィルシャーとバロテッリは、明らかにピッチ外で同じ種類の問題を抱えているにもかかわらず、一方は良いもの、一方は悪いものとして認識されているんだ。

君はツイッターを通じて新たな一面を見せているように見える。

バートン 多くの人は俺が「生まれ変わった」と言う。でも、そうじゃない。俺は昔からこんな感じだった。彼らは今までメディアが伝えてこなかった俺の一面を見ているにすぎない。もっとも、それは俺にとって“諸もろ刃はの剣”だ。悪評ばかりで誰も俺に寄りつかなかった頃は自由な時間があったし、誰も俺を悩ませることはなかった。それが、今ではすべての人が俺に興味を持っている。多くの人が俺との時間を共有したがってるんだ。誰も俺に興味を示さなかった頃に戻ってほしいと願ってるよ。

周囲の人はどのように話し掛けてくる?

バートン 先週、俺はウェストフィールドの商店街にいた。すると、2人のムスリムがやってきて俺を改宗させようとしたんだ。だが、ヤツらはそれが重大な間違いだったとすぐに分かったはずだ。俺は彼らに対してあらゆる種類の質問を投げ掛けてやったのさ。「恐竜はどこから来た?」、「オマエはUFOを信じるか?」ってね。ヤツらは俺が普通のサッカー選手で、簡単に取り込むことができると考えたんだろう。でも、そうはいかなかった。俺は2人をすぐには逃がさなかったよ。最終的には、俺のほうがヤツらを改宗させたんじゃないかな。

君は無神論者かい?

バートン 無神論者なんかじゃない。俺は何かを信じている。ただ、それが何か分からないだけなんだ。仏教に関する書物はたくさん読んでいるけどね。

君はサッカー界きっての思想家だ。自分より賢いと思えない監督との間では問題が発生してしまうのでは?

バートン それは確かに問題だ。俺は単なるサッカー選手ではなく、サッカーの“向こう側”を見ているからね。多くの選手はただのサッカー選手として人々の記憶に刻まれているが、俺は人生でより多くのことをやった人物として記憶されるだろう。若い頃から自分には人と違う何かがあることは分かっていた。それが何なのかは分からないが、俺は毎日、自分自身について少しずつ学んでいるよ。

それはどういうことだろう?

バートン サッカーの能力に関しては、俺より優れた選手はいる。だが、「何かを話すサッカー選手」という意味では、俺は誰にも負けないぐらい魅力的だと思う。自分の信じるものを貫くために、大胆だったり、馬鹿げていたりする。そういうサッカー選手は決して多くないからね。

<続きは ワールドサッカーキング 2012.03.01(No.208)でお楽しみください>

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