［ワールドサッカーキング 2012.03.01（No.208）掲載］
かつて、アーセナル、レアル・マドリーで栄光の日々を送ったアントニオ・レジェスがセビージャに帰還した。プロ選手に必要な技術と知識を培った故郷の地で、彼は再生することができるのか。アンダルシアが生んだ比類なき英雄が、シーズン後半の戦いに賭ける熱い思いを語る。
ホセ・アントニオ・レジェスは再び、セビージャのスター選手となった。彼は自分をプロサッカー選手へと育ててくれたチームに貢献すべく、8年ぶりに古巣へ帰還したのだ。セビージャでは既に5試合に出場。久しぶりの勇姿を見せるかつての英雄に、地元ファンは熱い声援を惜しまない。
この8年間、レジェスは、アーセナル、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、ベンフィカ、そして再びA・マドリーと、ヨーロッパ中を旅していた。そして、ようやく生まれ故郷のセビージャに戻るチャンスに恵まれた。タイトル獲得の野望を抱くチームやセビジスタ（セビージャのファン）の期待を一身に集める彼は、これまで培ってきたすべてのものをセビージャに捧げるつもりだ。彼は自信に満ちた表情で言う。
「俺は戦うためにここへ戻ってきた。俺が持っているものをすべて出し尽くしてセビージャの勝利に貢献したい。セビージャは偉業を成し遂げる力を持ったチームだ。俺が戻ったことで、このチームがタイトルを取れると確信している」
かつて、わずか16歳でトップチームデビューを果たした早熟の天才は、再び世界の注目を集める存在となれるのか。慣れ親しんだ土地で完全復活をもくろむレジェスが、移籍の真相やセビージャでの新たなる決意について語った。
移籍を決断したのは、故郷に帰るチャンスを失いたくなかったからさ。
まずは、セビージャに移籍した経緯を教えてほしい。
レジェス アトレティコでの状況は俺にとって耐え難いものだった。最後まで（グレゴリオ）マンサーノ監督が俺を信頼することはなかったんだ。選手にとって、試合に出られないことほどつらいものはない。だから俺は自分の将来を考えたんだ。その結果、移籍する以外に方法はないと思ったのさ。
A・マドリーのファンの多くは、監督がディエゴ・シメオネに代わったことで君が残留すると思っていたようだ。監督が代わっても移籍する気持ちに変化はなかったの？
レジェス ちょうど監督が代わった頃、セビージャは俺を迎え入れる準備があると言ってくれていた。俺としては、故郷に戻るのは今しかないと思っていたから、移籍する意志は全く変わらなかったよ。だから、シメオネにもこう言ったんだ。「セビージャに移籍できるように計らってくれ」とね。
君の移籍に対してA・マドリーのファンは相当な怒りを覚えたようだけど。
レジェス もちろん、ファンの怒りは理解できる。本当に申し訳ないと思っている。言い訳じゃないけど、アトレティコのファンへの感謝の気持ちは忘れないつもりだ。俺は、ロヒブランコ（スペイン語で赤と白を意味する）のシャツを身に着け、サッカーを心底楽しんだ。2つの大会（ヨーロッパリーグとヨーロッパ・スーパーカップ）でチャンピオンになったことも、もちろん一生忘れないさ。
マンサーノ監督との確執が報じられたけど、実際、彼とは何があったの？
レジェス 確執があったというのは事実ではない。マンサーノが最良だと判断したメンバーに俺の名前がなかっただけだ。でもそれはサッカーの世界ではよくあることだし、俺がレベルの低い選手だということではない。移籍を決断したのは、故郷に帰るチャンスを失いたくなかったからさ。俺は、セビージャが与えてくれたチャンスを生かしたかっただけだ。
セビージャに移籍した今の君は、ベストコンディションに見える。切り替えは難しくなかった？
レジェス セビージャに戻ると決まった時、当然ながら新たなモチベーションが湧いてきた。だから俺はすぐにゲームに出場できるよう、コンディション作りのプランを立て、3週間で自分の体を完璧な状態に仕上げたんだ。今は、精神的にも肉体的にも最高の状態にあるはずさ。
ワールドサッカーキング No.208【総力特集】4大リーグ「ラストスパート」診断
▼日本人最速選手査定
▼インタビュー レジェス「地元の英雄、帰還す」
▼インタビュー R・アルバレス「青と黒に焦がれて」
▼インタビュー ロイス「世界最高の幸福を感じて」
▼NEWS手越祐也×田中順也 スペシャル対談
▼ユーロ2012出場国ファイル「イングランド代表」
▼特別付録 WSKオリジナル・ポスター（メッシ／アグエロ）
定価：570円（税込） >>誌面の詳しい内容はこちら