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【インタビュー】エデン・アザール「求めるのは、速さと美しさ」

2011.11.23

ワールドサッカーキング 12.01.17(No.197) 掲載]

昨シーズン、リールは長いトンネルを抜け、57年ぶりのリーグ優勝を達成した。この躍進を支えた最大の立役者が弱冠20歳のエデン・アザールだ。彼が追い求めるのは「美しいプレー」。独自のサッカー感を真摯に語った。
アザール

インタビュー・文=マルタン・ヴェルヌー 翻訳=石橋佳奈

 長年、低迷していたリールが、昨シーズン、57年ぶりにリーグ・アンを制覇した。フランスカップと合わせて2冠という結果は、その実力がフロックでないことを国内外に証明するのに十分だった。この快進撃を支えた一人が、エデン・アザールだ。どんな状況でも敵の守備網を突破しようとする闘志を見せ、その意志に見合う技術を持ち合わせる。そんな彼の存在により、リールは極めて攻撃的なチームへと変へ んぼう貌した。今シーズンから背番号10を背負う期待の新鋭がこれからどのように成長しようともくろんでいるのか。その発言に耳を傾けてみよう。

ジダンがプレーするとサッカーが芸術に変わっていくんだ。

まずはプレースタイルについて自己分析してほしい。自分はどんな特徴を持っていると思う?

アザール 僕は攻撃的で、複数のポジションでプレーできる選手だ。右、左、中央と自分やボールの場所に関係なく自由にプレーができる。プレーエリアを限定されたり、指示が厳しすぎる状態は好きじゃないんだ。

君の最大の武器は?

アザール スピードとドリブル、それからアドリブの力かな。それらをうまく引き出そうと常に努力している。現代サッカーでは守備であれ攻撃であれ、トップスピードでプレーする必要がある。サッカーの水準が上がれば、そのペースに合った速いプレーが求められるんだ。例えば、チャンピオンズリーグ(以下CL)はリーグ・アンよりもテンポが速い。選手も当然、そのスピードに合わせていかなければならないんだ。

サッカー選手としての能力は、どのようにして培ったの?

アザール 遺伝的なものが大きいと思う。父はベルギー2部リーグのプロ選手でリベロとしてプレーしていた。僕は2歳の時から父や兄弟と一緒にボールを蹴り、何度も父の試合を観戦してそのプレーをまねようとしていたんだ。もっとも、僕には父と違った持ち味もある。例えばドリブルの能力は、家の庭で練習を積み重ねてきた結果だと思う。僕は、いつも足元にボールがある状態で育ったんだよ。今でも実家にはあちこちにボールが転がっているんだ(笑)。

憧れの選手は誰だろう?

アザール ジネディーヌ・ジダンが好きだったな。動きが優雅だったからね。彼は巧みなプレーをするだけでなく、見ていて美しかった。ジダンがプレーするとサッカーが芸術に変わっていくんだ。リオネル・メッシが世界最高の選手だという意見には同意する。ただ、エレガントさという点ではジダンが一番だね。

プレーにおいて大切なのは美しさだと考えているのかな?

アザール そうだね。動きが洗練されている選手、つまりアーティスティックな選手が好きなんだ。例えば、ピーク時のロナウジーニョやティエリ・アンリ。彼らのような優雅なプレーが理想だね。僕が目指すのは、美しさとうまさが融合したスピーディーなプレーなんだ。

効率よりも美しさを重視するあまり、君のプレーは“やりすぎ”だと責められることもあるよね。

アザール 確かに僕はドリブルを選択しがちだし、決定的な場面でシュートを打たずボールを持ちすぎることがあった。ただ、それは若さゆえの過ちで、時とともに改善されている。今では自分のプレーに集中するだけでなく、パートナーに頼ることにも気を配っている。自己中心的なプレーをして非難されることはもうなくなったと思うよ。

具体的に、自分の理想とするプレーを教えてほしい。

アザール スピードに乗った状態でシザーズを繰り出して相手を抜くことかな。特に練習して身につけたわけじゃないんだけど、好きなプレーだね。それから股抜きも大好きだ。股抜きをやられた相手はちょっと馬鹿にされたと感じるはずだからね。つまり、うまくいけば精神的に優位に立てるんだ。でも、狙いすぎるのが僕の悪い癖で、最近では有効だと思う場面でしかやらないようにしているよ。

君はトレーニングがあまり好きではないと聞いたけど?

アザール それは間違っている。「トレーニングするより試合のほうが好きだ」と言ったら周囲からトレーニング嫌いだと思われてしまったんだ。これまで教わってきた監督に聞いてみれば、僕がどれだけ真剣にトレーニングに取り組んでいるか分かってもらえるはずだ。特にフィジカル面についてはかなりの時間を費やしている。きちんと取り組んでなければ、今のような体にはなっていないよ。

<誌面に続く>

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