[ワールドサッカーキング 11.11.17(No.196) 掲載]
一時代の終焉。デル・ピエロが今シーズン限りでユヴェントスのユニフォームを脱ぐと聞いて、つい感傷的になったファンも多いと思います。
93年にパドヴァから移籍すると、バッジョの後継者たる才気溢れるプレーでクラブに黄金期をもたらしました。以来、名門ユヴェントスの顔として、絶大な存在感と人気を誇ってきた歴史的バンディエラです。
旗頭を意味するこのバンディエラという言葉も然り、ジョカトーレ(選手)やクルヴァ(ゴール裏)、プロヴィンチャ(地方都市)、メルカート(市場)といったイタリア語が日本のサッカーファンの間に定着したのも、90年代から2000年代半ばまで続いたイタリアサッカーの隆盛によるもの。その立役者がまさにデル・ピエロだったのです。
現役引退ではないにせよ、往時の象徴であったビアンコネーロの10番が消えたカルチョ界には、一層の寂しさが漂うことでしょう。
この喪失感を払拭するため、待たれるのは後継者の出現ですが、見通しは明るくありません。カッサーノ、ジョヴィンコ、バロテッリ……血統を持ちながら“襲名”できずにいる後継者候補を見るにつけ、改めてデル・ピエロの偉大さを痛感させられる皮肉な状況です。
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