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サッカーとビリヤードが融合した新スポーツ『ビリッカー』をやってみた【前編】

2015.06.30

 フランス生まれの新スポーツ『BillicceR(ビリッカー)』。その名のとおり、「ビリヤード」と「サッカー」を組み合わせたスポーツだ。基本的なルールはビリヤードと同様で、競技場もビリヤード台をそのまま大きくしたもの。ただ、球が小型のサッカーボールで、キュー(球を突く棒)が自らの足となる点がビリヤードとの大きな違いである(頭で球を扱うことも可能)。

 そんな『ビリッカー』が日本で開催されるとの情報を聞きつけたサッカーキング編集部(以下、SK編集部)。サッカーメディアの編集部として、日本初上陸の瞬間に立ち会わないわけにはいくまい。ということで、SK編集部は6月26日、『ビリッカー』お披露目の舞台である都内某所に向かった――。

 同日夜の『オープニングカップ』に先立って行われた『ビリッカー』体験会の会場には、やはり見慣れぬ光景が広がっていた。大きなビリヤード台の中で、人間が球を蹴っているのである。

 日本ビリッカー協会のプロデューサーであるY氏によると、プレーをしているのはスポーツナビさんの編集部であるとのこと。驚きと興奮を隠せないSK編集部が『ビリッカー』に釘付けになる中、Y氏から思わぬ発言が飛び出した。

「スポーツナビさんと練習試合をしてみませんか?」

『ビリッカー』なるものをまだ理解しきれていないSK編集部だったが、“日本初の対戦”という響きは実に魅力的。さらに、勝利チームは日本ビリッカー協会チームと戦えるというのだから、断る理由など見当たらない。二つ返事でオファーを受け入れ、歴史的一戦への準備を進めることにした。だが、与えられた15分間の練習時間で、SK編集部は『ビリッカー』の難しさを身を持って知ることになる。なにせ球が入らないのだ。球をゴールに蹴りこむ経験はあっても、別の対象物を間接的にゴールに入れる経験などしたことがない。さらに、ピッチ上には当然、多くのディフェンダー(指定以外の的球)もいるわけだから、難しいに決まっている。

 あたふたしているうちに、練習時間はあっという間に終わってしまった。Sk編集部は緊張と不安を抱えながら整列する。心なしか、対戦相手のスポーツナビさんが大きく見えた。今回の種目は「ナインボール」(※1)。本来であれば、3on3で対戦するところだが、SK編集部は特別に5人交代制で試合に臨ませてもらうこととなった。
(※1:ナインボールは1~9までの球を使い、1番から順番に落としていくゲームで、9番を落としたチームが勝ち。なお、今回は試合時間を15分とし、制限時間内に9番が落ちなかった場合には、落とした球の数で勝敗を決する)

 スポーツナビさんのブレイク(※2)で始まったこのゲーム。日本での記念すべきファーストゴールを決めたのはスポーツナビさんだ。SK編集部の安易なファウルで得たフリーキック(※3)のチャンスを生かし、見事に1番を撃ち抜いた。
(※2:スタートのシュートのこと。勢いよく的球を弾けさせる)
(※3:相手のファウル後に、手玉をテーブル上の任意の場所に置き、そこからプレーを再開できる)


プレッシャーを物ともせず、ファーストゴールを奪ってみせたスポーツナビさん

 だが、SK編集部も黙ってはいない。すかさず2番を落とし、試合を振り出しに戻す。誰もが白熱した展開を予想した瞬間だった。しかし、ここからSK編集部は“ビリッカーの呪い”に取り憑かれたかのように、ミスショットを連発。みるみるうちに点差が開いていく。


画面左に写るケース内にあるボールは、スポーツナビさんが落としたもの

 そして残り時間が5分を切った頃、事件は起きた。フィールドには8番と9番のボールのみ。スコアは2-5と、すでに球数での逆転は不可能な状況にあり、必然的に狙いは9番を落としての勝利となっていた。着実に8番をゴールに入れて勝利に近づきたい……ところであったが、ここでSK編集部の一人が悪知恵を働かせる。

「わざとファウルをして、スポーツナビさんに8番を落としてもらってさ、そのあとにミスキックを待つってどう? そうすれば俺らにフリーキックが与えられて、簡単に9番を落とせるじゃん」

 悪魔である。「せこい、汚い、大人げない」の三拍子が揃ったクズだ。たが、是が非でも試合に勝ち、日本ビリッカー協会チームへの挑戦権を手にしたいのも事実。人一倍負けず嫌いな社長に、「なんで負けて帰ってくるんだ」と怒られるのも避けたい。この場面でキッカーの大役が回ってきたのが、幸いにも“ブレない男”編集部T。

「勝つためにはマリーシアっていうか、ずる賢さも必要だろ。コパ・アメリカでもそういうシーンあるし」


“ブレない男”編集部T。写真からもその図太さがひしひしと伝わってくる

 そして編集部Tの右足が手球をかすめた。わずかに手球は動くだけで、8番、9番のボールは微動だにしない。この非紳士的なプレーに対し、普通なら対戦相手を含めて観戦者からも罵詈雑言が飛んでくるところだろうが、スポーツナビさんを始めとする周囲の方々の大人な対応もあり、事なきを得た。スポーツナビさんの高い技術力もあって、思惑どおりの展開とはならなかったが、SK編集部はその後に訪れた千載一遇のチャンスを生かして大逆転勝利。“日本初の勝利チーム”の栄光を手にした。


汚い手を使いながらも大逆転勝利を収めたSK編集部


試合後は互いに健闘を讃え合い、熱い握手をかわす

 スポーツナビさんを破り、根拠のない自信をつけてしまったSK編集部。このあと、「いけるんじゃないか」という思いを胸に、日本ビリッカー協会チームとの一戦に臨むことになるのだが、彼らの淡い期待はすぐに打ち砕かれることになる……。

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