カンプ・ノウ横のミニ・エスタディ。リーガ2部を戦うバルセロナBのホームスタジアム
文●アルビレックス新潟バルセロナ2期生:西畑勇佑
世界的ビッククラブ、FCバルセロナ。そのメンバーの多くはカンテラ(下部組織)出身の選手で構成されていることは有名な話でしょう。そのカンテラから今年も数名の選手がトップチームでデビューを果たしています。その中の一人がバルサ史上初、スクールから全てのカテゴリーでのプレーを経てのデビューとなった完全なる生え抜き、セルジ・サンペール。僕がバルセロナに来て初めて観戦した試合、リーガ2部のバルセロナBの試合で一際輝くプレーを見せていたのも、初のカンプ・ノウでの観戦となったCLバルサVSアポエルでスタメンとしてトップチームデビューを果たしたのもそのセルジ・サンペールです。
ミニ・エスタディからはカンプ・ノウ正面が見られます
スタジアムは観客がまるで一つの家族となって我が子を送り出すかのような温かい拍手に包まれていました。「この街はこれからも多くの偉大な選手を輩出し続けるのだろう。」そう思えたひと時でした。同時にここバルセロナで学ぶべきことは何なのかを感じ取れた気がしました。
生え抜きのサンペールを迎える温かい拍手。緊張はスタジアムで見守る「家族」が取り除いてくれます
休日、僕は毎週末行われている各年代、各カテゴリーに分けられた試合を観にバルセロナに存在する数多くのサッカー場に足を運んでいます。小学生年代から大人と同じようにそこでリーグ戦が行われ、年間を通して順位を争っています。
小学生年代の試合。入場からゴールパフォーマンスまで振る舞いは一流選手
よく観るリーガ2部以下や高校生年代はもちろん、中学生年代、更に小学生年代の7人制の試合からですら得るものは多くあります。彼らは、間近でダイレクトに目に焼き付けた世界最高峰のプレーを小さな身体で体現しようとしています。中には大人顔負けの広い視野やテクニックを持った子供も。いつも身近に生活の一部としてサッカーがある、そういった根強い文化が世界との差を生み出しているのかもしれません。
FCバルセロナ以外にも素晴らしいカンポ(サッカー場)を持つクラブも。美しいパスサッカーを引き出すための水巻きは必須
僕はこの先も、プレイヤー視点で最高峰のサッカーを吸収し続けたいと思っています。目指すは「世界基準の、サッカー人」。知識や文化、そして身体で覚えたものを日本へ持ち帰り、何らかの形で多くの人に伝えたいと思っています。