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バルセロナ留学生便り 第11回「サッカーとの距離」

2015.01.05

文●アルビレックス新潟バルセロナ:松下裕郎


住宅地のすぐ傍に広いグラウンド

 近年、日本のサッカーは大きな発展を見せています。UEFAチャンピオンズリーグ準決勝のピッチでプレーした内田篤人選手に代表される様に、多くの選手が海外で活躍するようになりました。


マンションが周りを取り囲んだスタジアム。地下にはジムも併設されている

 しかし、ヨーロッパや南米の国々と比べてみるとまだまだその数は少なく、FCバルセロナやレアル・マドリード、バイエルンミュンヘンなどのビッグクラブで活躍するような選手は出てきておらず、マンチェスターユナイテッドに所属した香川真司選手も監督交代の煽りを受け2シーズンの在籍に留まりました。また、代表レベルでもブラジルW杯での惨敗が記憶に新しい様に、世界を相手に大きな結果を残すまでには至っておらず、差は未だ大きく残されているように感じます。


ピッチを2つ以上持つ施設も

 世界屈指のビッグクラブを持つバルセロナという街に滞在してサッカーをする環境の充実に驚きました。住宅街に突然現れたり、大きな道路沿いにあったりと街中いたるところにサッカー場が点在しているのです。そしてその内のほとんどが人工芝で観客席があり、ロッカールームとバル(軽飲食店)も併設されています。そこで毎週末、小学生から大人まで様々な年代の試合が行われており激しい戦いを見ることができます。


道路沿いにあるピッチ。フットサルコートとバスケットコートも併設

 日本ではフットサルコートは多少増えたものの、このような施設を街中で見かけることは皆無でありバルセロナ、いやスペインという国のサッカー文化の根強さを肌で感じました。スペイン代表が強い理由は育成年代の充実や、ビッグクラブの存在ということがもちろん挙げられますが、施設の存在そのものもそれを支えるものだと思いました。バルセロナだけでなく他の街、他の国はどうなのか、ということもこの目で見てみたいと思います。


2階にバルがあり、店内やテラス席からもサッカー観戦ができる

 日本という国が世界の強豪国の仲間入りを果たすためには、選手や指導者の育成だけでなく施設、環境の充実も必要な要素の一つだと改めて感じました。土地や金銭面の問題はもちろんあるでしょうが、国や自治体を巻き込んで成長、発展を目指すことが必要です。日本でサッカーの存在が今よりもっと身近になったとき、日本代表は世界の強豪国に対してどれだけ近づけるでしょうか……。

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