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【ファインダーを覗いて…ピッチサイドからの考察】復活、今野。中盤で輝く

2014.11.22

 11月18日、大阪のヤンマースタジアム長居で行われた国際親善試合、日本対オーストラリア戦。始まってまず驚いたのは、オーストラリアの戦い方だ。

 長身選手が多いオーストラリアは以前、ロングボール主体で競り合いを得意としていたはずなのだが、この日は日本以上にボールポゼッションに重きを置いて、徹底的に繋いできた。前半は、日本よりもオーストラリアの方がボールを保持していた時間が長かったように感じた。日本と同じ戦い方でチャレンジしてきたオーストラリアに日本の選手も驚いたのではないだろうか。

 前半は、互角で共にチャンスを生かせず、0-0。日本はホンジュラス戦から負傷で欠場を明言された内田篤人以外は、先発メンバーが同じだった。これが現時点でのベスト布陣と考えてよいだろう。私が見たかった遠藤保仁、長谷部誠、今野泰幸で構成する中盤ではなかった。

 前半、日本は[4-3-3]で戦い、アンカーに長谷部、右に遠藤、左に香川真司という構成。しかし、日本と同じように戦うオーストラリアには、効果がないと悟ったのか、ハビエル・アギーレ監督は、前半途中に[4-2-3-1]へフォーメーションを変更し、後半開始時には遠藤保仁に代え、今野を投入した。

 長谷部と今野のダブルボランチにし、1トップに岡崎慎司、2列目に右から本田圭佑、中央が香川、左に武藤嘉紀。システム的にはザックジャパンの時代に戻った。大きく異なるのはザックジャパンでは、センターバックを吉田麻也と構成していた今野が中盤のボランチに入ったことだった。

 しかし、中盤の底が今野と長谷部の二人になったことで守備がさらに安定し、前に行く推進力が出てきた。その象徴が今野だった。後半、ドリブルで前に出て行くとチャンスが生まれた。ガンバ大阪が好調を維持するのは、今野がいるからだ。

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前への推進力となった今野の上がり [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 しかも、今野はチャンスと見ると、中盤の底から上がってくるので、フリーでボールを受けられる。これが、日本の大きなチャンスに繋がった。日本の先制点はセットプレーとはいえ、今野が決めたのだ。彼の前への推進力は、長谷部が代表に入ってきた頃のような力強さがあった。ベテランと呼ばれるようになった31歳は、年齢を感じさせない推進力で、日本の守備と攻撃に活力を与えてくれたのだ。

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ベテラン今野の先制点に驚いたのは同僚たち [写真]=Kazuhito Yamada/Kaz Photography

 来年1月にオーストラリアで行われるアジアカップに向けて、ホスト国を2-1と破ったことは、大きな自信になるだろう。試合途中で[4-3-3]から[4-2-3-1]にシステム変更し、ブラジルW杯のメンバーから復帰したベテランが活躍した。それは、選手ばかりでなく、アギーレ監督にとっても、結果を伴った自信になったに違いない。

 アジアカップで注目する選手は、これで武藤、遠藤、今野の3人と修正しなければいけなくなった。

山田一仁(やまだ・かずひと)。1957年、岐阜県生まれ。大学卒業後、1981年から(株)文藝春秋写真部にスタッフカメラマンとして在籍。1989年にイギリスへと渡り、1990年からフリーカメラマンとして活動を始める。2007年に(有)Kaz Photographyを設立。日本人フリーランスカメラマンとして、プレミアリーグの撮影ライセンスを所持し、現在は年間の半分近くをロンドンを拠点として、主にプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外で活躍する日本人選手を中心に取材している。

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