ワールドカップ開幕48時間前、クイアバのアレナ・パンタナールでチリのサポーター集団に会った。彼らは寝袋持参で、試合は3日後なのに今から宴会しつつ並ぶんだ、と息巻いていた。
バカだなあ、と呆れてたらそのうちコロンビアのユニフォームを着た男性がバイクで乗り付けてきた。「思ったより、早く着いちゃったよ」とのことで、リガからエクアドル、ペルー、ボリビアを抜けて来たそうだ。ホントなら6000キロ近いツーリングだ。現代のゲバラじゃないか。
コロンビアは初戦ベロ・オリゾンチで、2戦目がブラジリアだからとりあえずクイアバに寄ってみたとのこと。「あとでまた来るよ」とロシナンテを吹かして西へ向かった。「ベロ・オリゾンチで勝ってブラジル、BKB」とは言わなかったけど、もうちょっとギアを落としてもいいんじゃないか、バイクだけに、ブンブン。
バイク川崎バイクはどうでもいいけど、奇特な人はゾロゾロやって来て、変人はうじゃうじゃ湧いて、傾奇者がどんどん生まれるのがワールドカップだ。
一夜明けて、開幕直前の「Agora」誌の一面には西村雄一審判員が大きく載っていた。スポーツ面にも写真付きで、南アフリカ大会でデビューしてからの抜擢だ、などと紹介されており、僕がこっちにきてから日本関係の記事で一番、大きく扱われているものだった。
ついでに書いちゃうと、あとは変わらずセレソンが半分以上で、対戦相手のクロアチア情報、個人ではクリスティアーノ・ロナウド、エジル、セスク、スアレス、チチャリート、海亀のビッグハット君といったラインナップだった。
開幕のちょうど24時間前、サンパウロのファンフェスタの様子をチェックしにいってみた。ファンフェスタはパブリックビューイングやスポンサーブースが設置されている、FIFA公認のお祭り会場だ。
しかし、会場は全然、できあがってなかった。そのかわりにできあがっていたのは市立劇場脇のカフェを占領したクロアチアサポーターで、尋常じゃない量のワインとビールが消費されていた。
「いきなりびっくりしたいだろ!任せとけ!」
愉快で酔狂な人々が集まって、まだまだいろいろ工事中で、ザックジャパンはあんまり注目されてない。開幕前のブラジルはこんな感じだ。
さて、せっかくだし、僕の予想も書いておく。
言い訳するわけではないが、この類いの予想、98年フランスから過去4回のW杯、04年から3回のユーロ、それぞれグループリーグ突破の半数を当てたことが一度もない。まあ、簡単に予想できるトーナメントなんて面白くないんだけど。
本当はこういうのは、すべてのジャーナリストが署名でやるべきだと思う。「ベルギーがとがってますよ」とかドヤ顔で言うヤツほど、置きにいくからなあ。
ということで、竹田聡一郎の6月12日の予想は以下。一応、断っておきますが、日本のことは応援してます。ホントに。願望と予想はいつも食い違うのが勝負の世界なのです。
16チーム中、的中が10チーム以下だったら、大会終了後、Twitterで「#竹田の予想ひどい」とハッシュタグをつけて最初につぶやいた方に、なんかブラジル土産、差し上げます。16チーム中12チーム以上当たったら、キングさん、なんか連載ください。
では、みなさま、寝不足の毎日、楽しみましょう。
▽竹田聡一郎のグループリーグ突破予想
グループA/ブラジル、メキシコ
グループB/チリ、スペイン
グループC/コートジボアール、ギリシャ
グループD/イタリア、ウルグアイ
グループE/エクアドル、フランス
グループF/アルゼンチン、イラン
グループG/ドイツ、アメリカ
グループH/ベルギー、アルジェリア
【過去記事】
ブラジルW杯ぶらぶら日記 第1回「本当に間に合う!? 楽観的で陽気な王国のアイドリング」
ブラジルW杯ぶらぶら日記 第2回「日本の選手、知ってる?」
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。
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