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バルセロナへの揺るぎない信頼を示すピケ「最高の成績を収められる」

2014.03.14

ピッチ内外における様々な問題にも動じず、クラブへの信頼を強調したピケ

[ワールドサッカーキング2014年4月号掲載]

開幕前に起こった突然の監督交代劇を皮切りに、リオネル・メッシの負傷離脱、不正疑惑に伴う会長の辞任と、今シーズンのバルセロナにはピッチ内外で様々な問題が噴出している。だが、ジェラール・ピケは何事にも動じず、クラブを信じて戦い続ける。
ピケ
インタビュー・文=ホセ・フェリックス・ディアス Interview and text by Jose Felix Diaz
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

 ジェラール・ピケはバルセロナのロッカールームにおいて、誰もが認めるリーダーの一人となった。一時期、マンチェスター・ユナイテッドでプレーしていたとはいえ、今ではカンプ・ノウのファンに最も愛される選手の一人と言える。ファンは彼の本質が常にバルセロナにあることを理解しているのだ。

 ピケは今回のインタビューで、クラブに対する揺るぎない信頼を示した。少なくとも本人は、今シーズンもバルサが大きな成功を収めることを確信しているようだ。

「僕は楽観的に見ている。今シーズンはいろいろなことが起きたし、クラブが混乱に陥ったことは否定しない。でも、僕らは以前と同じようにピッチで戦い続ける。今までと同様、最高のシーズンにするためにね。後半戦に差し掛かった今も、バルサにはあらゆるタイトルを獲得する可能性が残されている。このチームが最高の成績を収められると信じているよ」

以前と違うサッカーをやろうとしている

――まずは、今シーズンからチームを指揮しているヘラルド・マルティーノ監督について話を聞いていいかな。

ピケ ごく普通の人、常識人という感じかな。選手との関係を重視しているように見えるし、自分のやり方をチームに浸透させようと努力している。ただ、バルサの基本的な考え方が大きく変わることはない。まあ、練習内容はペップ( グアルディオラ)の時のほうがきつかったかな(笑)。とにかく、タタ(マルティーノの愛称)には偉大な監督であることを証明してほしい。僕ら選手もそうなるための手助けをしたいね。

――ペップ・グアルディオラやティト・ビラノバの頃と比べて、戦術的な変化はあった?

ピケ 今までのサッカーにいくつかのバリエーションが加わったと言うべきかな。例えば、以前と比べるとロングパスを使う機会が増えた。

――もう少し具体的に教えてくれるかな。

ピケ 丁寧にパスをつないでポゼッションを高めるというチームの基本的な考え方は変わらない。ただ、以前のように一つの方法論に固執することがなくなったんだ。ペップは明確なアイデアを持っていた。彼の考え方はあくまでもショートパスをつないでゲームを構築するというものだった。その後を引き継いだティトは、ペップほどプレスを要求しなかったけど、その代わりにシュートまでの過程のスピードを重視していた。タタのやり方は2人の方法論をミックスさせたような感じだね。ショートパス主体のサッカーを否定するわけじゃないけど、自陣エリアでボールを回すことにはリスクがあると考えているようだ。彼は「時にはロングボールで単純にクリアすることも必要だ」とよく言っている。以前は最終ラインから丁寧につないでゲームを構築するのが当たり前だったけど、今は必ずしもそうじゃない。単純に長いボールを蹴ることも必要だと、全員が理解しているよ。

――現在のバルセロナは最強を誇ったペップ時代と比べると絶対的な強さが感じられない。ペップ時代と今とで最も変わったことは?

ピケ 練習内容に大きな変化はないし、試合に臨む姿勢も以前と同じだ。さっきも言ったとおり、今までのサッカーにバリエーションを加えようとしているだけさ。僕らはタタのサッカーを自分のものにし、彼が望むとおりのプレーができるよう努力しなければならない。彼のやり方でもっと強くなれると信じているのさ。今までの良い部分はそのまま残し、そこにバリエーションを加えていく。そうしないとチームは進歩しないからね。君が言うように、確かに今のバルサには絶対的な強さは感じられないかもしれない。特に1月のチーム状態は酷かったしね。ただ、ここに来て強いバルサが蘇りつつあると思っている。敵地でのセビージャ戦に4-1で勝利したことで、チームは自信を取り戻している。

アレクシスらの成長はレオのおかげ

――新戦力のネイマールについて君の意見を聞かせてほしい。

ピケ バルサはネイマール獲得の際に不正を行ったと批判を受けた。普通の選手だったら、周囲の疑念と批判に潰されてしまっただろう。でも、彼は精神的にも強いことを証明している。彼がうまくて頭が良い選手であることは間違いないよ。ネイマールに限らず、僕らは新戦力を常にサポートしてきた。特に彼のような若い選手には全員が手を差し伸べている。彼はバルサとは全く違うチームで、全く違ったサッカーをやってきたわけだから、順応にある程度時間が掛かったのは仕方のないことさ。彼がクラックであることに間違いはないし、世界最高の選手の一人だと認識している。

――会長の交代など、クラブ内でゴタゴタがあったけど、チームへの影響はあった?

ピケ チームへの影響という点では(サンドロ)ロセイの辞任よりもティトがチームを去ったことのほうが大きかった。一連の騒動でロセイが辞任したけど、僕らは今までどおり練習し、今までどおり勝利を重ねた。要するに、会長の辞任はピッチに直接影響していないということさ。僕ら自身、ピッチ外で起きていることに気を取られてはいけないと思っているし、それについて僕らが批判されるのはおかしいとも思っている。何かが起こるとバルサは常に批判の対象になる。僕らが無様なプレーをすることを待ちわびている人間がいるんじゃないかと思うこともある。でも、繰り返し言わせてもらうよ。この2年の間にピッチの外で起きたことは、僕ら選手とは全く関係のないことだ。僕らはピッチでのプレーに集中するだけだよ。

――確かに、バルセロナは何かにつけて批判対象になるね。

ピケ バルサは世界でも1、2を争うビッグクラブだ。僕らはこれまで最高のサッカーを披露して、多くのタイトルを手に入れてきた。頂点に上り詰めた以上、負けた時に批判対象となるのは仕方のないことだ。たとえ勝ったとしても、良いサッカーをしないと批判されるし、常に良いサッカーをして勝利を収めなければならない。バルサの選手であるということは大きなプレッシャーなのさ。でも、このチームでプレーしていく以上、そのプレッシャーを克服しなければならない。

――チームがリオネル・メッシに依存していると危惧する人も多い。その点に関しての君の意見は?

ピケ 確かにメッシ抜きのバルサなんて想像できない。バルサはレオ(メッシの愛称)とともに一時代を築いてきたんだからね。彼が特別な選手であることを否定する者はいない。ただ、だからと言ってバルサがメッシ抜きで勝利を重ねることができないということはないよ。

――今シーズンのメッシは本調子ではない試合も多いよね。

ピケ レオだって僕らと同じ人間だ。2、3試合連続で不調に終わることだってある。常に最高のプレーができるとは限らないんだ。そこは周囲が理解して、サポートしてあげなければいけない。

――今シーズンはそのメッシがケガで長く戦列を離れた。

ピケ レオがケガで戦列を離れたのは今回が初めてじゃないし、チームは彼抜きでもしっかりと勝ち点を積み重ねることができた。僕らがメッシありきのチームじゃないってことを証明できたんじゃないかな。レオがバルサにとってすごく重要な選手であることは否定しない。だけど、彼に100パーセント依存しているわけじゃないってことも分かってほしい。

――確かにネイマールやアレクシス・サンチェス、ペドロ・ロドリゲスらがきっちりと穴を埋めていた。彼らの成長ぶりをどう見ている?

ピケ 彼らの成長は当然の結果だ。だって、考えてごらんよ。僕らはレオと一緒に練習しているんだ。みんなうまくなって当然だろう? アレクシスやペドロの成長はレオがそばにいるおかげだと言っていい。レオの偉大さは彼自身のすごさだけでなく、周囲にも影響を与えることなんだ。それにレオは、チームにとって何が必要なのかを100パーセント理解している。もちろん僕らも、エース不在時にどうすべきなのか分かっている。レオが不在でも、他の選手がゴールを量産する。それこそがバルサというクラブの強さの秘訣なんだ。

「最高の成績を収められる」とタイトル獲得に自信を見せたピケが、23日に控えるレアル・マドリーとのクラシコに言及。インタビューの続きは、発売中のワールドサッカーキング2014年4月号でチェック!

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