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戸田和幸が語るブラジルW杯の日本代表「本当に寿人はダメなのか」

2014.02.15

 2013年をもって現役を引退した戸田和幸氏。プロキャリア18年の間にJ1で271試合出場4得点、J2で26試合出場2得点を記録。また、日本代表としても国際Aマッチ20試合に出場し、1得点を挙げている。2002年日韓ワールドカップにも日本代表として出場。赤い髪のモヒカンヘアーで注目を集めた。そんな戸田和幸氏にブラジルワールドカップと日本代表について語ってもらった。

――いよいよワールドカップイヤーに入りましたが、率直に今のザックジャパンをどう見ていますか?

 戦術的な幅が広がったりとか、個の部分でも海外で勝負する人が増えてきていますよね。そういった傾向は時代の流れだと思います。僕のことは置いておいたとして、Jリーグが始まった頃に海外で勝負できる人がいなかったかというと、僕はいたと思いますよ。ただ、そういう意味ではまだ開かれていない世界でしたよね。でも遥か昔に奥寺さんが行っちゃってるわけだから。僕は奥寺さんが一番凄いと思っています。ただ、そういう流れで始めた人がいて、続いた人がいて、今こういう流れができている。やっぱり外に出ると僕が話せる経験でもいっぱいあるわけじゃないですか。やっぱりみんなの中にも積み重なるものが増えてきていますよね。どうしてもJリーグでやるのとでは競争のレベルも違いますし、実際の試合の戦うレベルも違うので逞しくなっている。やっぱりマンチェスター・ユナイテッドだ、インテルだ、ACミランだっていうところに日本人がいることは凄いことだと思うし、そういう人間たちが増えてきているという意味では今の代表のほうがやれることが増えてきている。逆に言えばやれることが増えたぶん、どこでやるのか、どこに定めてやるのかという話になるんじゃないですか。

――最近の代表の試合を見た印象はどうですか?

 一時期、あまりよくなかったじゃないですか。でもそれまで鉄板だったポジションをいじって、競争意識が出たのかもしれないし、代わりに入った選手が良かったのかもしれないけど、上向いてきましたよね。結局、チームはそういう部分が必要なんですよ。ある程度のレベルの選手が必要で、その中で競争がなければいけない。そういう部分が今出てきて、また良い流れができてきていると思うんですけ。じゃあ今度ここから本大会に向けてまた固めていく必要がある。今は一旦、例えば遠藤が後半から出るとかあるけど、じゃあ本大会では誰がスタートから出るのかまとめていかなくちゃいけないわけですよね。誰を軸にしてとか、もう一回決めていかなくちゃいけない。その作業をどうするのかなと注目しています。

――戸田さんから見て、今の代表でポイントになる選手は誰だと思いますか?

センターバックとセンターフォワードですかね。センターフォワードは柿谷とか、大迫とかいますけど、誰を1トップに入れるのかというところですよね。それに本当に(佐藤)寿人はダメなのかとか。

――大久保選手もいますね。

そこらへんがどうなるのかなというのは面白いですよね。

――センターフォワードの全体の戦力としてはどう評価しますか?

ポテンシャルはあると思います。そういう意味では彼らはまだ海外に出始めた選手とか、Jリーグでグッと点を取り始めた選手なので、その勢いであと半年でどこまで上げていけるのか。今までの選手とどれだけ合わせられるかというところが気になります。ただ、日本の目指すサッカーとして、例えば本田が1トップに入ってそこで溜めを作って、2列目からバンバン飛び出していくのがいいのか、あくまで2列目で使って前には速い選手を使うのがいいのか、そこらへんも気にはなりますね。

――先ほどのセンターバックとフォワードの選手ということは、最前線と最終ラインがチームのポイントになるということですよね。

 だって主導権を取れば取るほどラインは上がるわけじゃないですか。ウルグアイ戦も結局やられているのは裏へポーンと蹴られてですよね。やっぱり後ろにスペースがたくさんできて、逆を言えばみんな前に行っちゃうわけですよ。それはDFは意外と怖いんです。後ろのスペースを晒されるわけだから。取られたあとのディフェンスをどうしましょうとなったときに、前がどれだけ守備で仕事ができるのかという部分もある。意外に南アフリカのときみたいに、一回全体を落としちゃって後ろのスペースを消すという選択肢もいいかもしれない。そうするとDFは安心して前にアタックできるんですよ。そこから後ろはキーパーだから。ラインが上がるほど、前にアタックするのか後ろをケアするのかという割合がイーブンになってくるけど、どっちにも行かなくちゃいけない。そのときに前の選手がしっかりディフェンスできないと、クサビも入れられる、裏も蹴られる、でも裏が一番怖い。だからクサビを入れられてしまいますよね。そこで入れられたからって食いついちゃうとポストで落とされて空いた裏のスペースを突かれちゃうとかあるから。戦い方も含めてですけど、どこまでそこを詰められるかじゃないですかね。センターバックって大変だと思いますよ。

――そういった意味で吉田選手、今野選手がメインでやっていた中で森重選手が出てきましたけど、今のセンターバックはどう感じていますか?

 ボールを動かすという意味ではいいのかもしれない。ただいよいよ本大会になって、ファルカオは怪我してわからないですけど、コートジボワールにはジェルビーニョとかドログバがいるわけじゃないですか。そういうところとやって本当に死ぬ気で止めなきゃいけないわけですよね。その止めるという作業の割合が大きくなると思うんです。そうやって考えた中で誰がいいのか。森重のほうがいいのかなとか。それは中盤も含めてですよ。山口のほうがいいのかとか。そこは見物ですね。

――本大会の組み合わせがコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと決まりましたが、どんな印象を持ちましたか?

全体的に曲者だなという印象ですね。ギリシャはブラジルの暑さの中でどれほどできるのかというのはあるんですけど、一番面倒くさそうだなと。ギリシャは勝つためにチームを統一できると自分たちがボールを持っていなくても平気なチームですよね。そこでカウンターアタックとセットプレーを狙ってくる。あとはファール含めて日本の流れを切っちゃえばいいという戦い方になりますよね。そういう戦いが日本としては嫌かもしれないし、逆に日本の良いところで圧倒しちゃうかもしれないし、それはわからない。コートジボワールに関しては単純に強い。アフリカの中で一番組織的にサッカーができると思っているし、化け物がいっぱいいるのでね。ドログバとかヤヤ・トゥレとか。ドログバにあのゴリゴリでセンターバックがやられて、そこにボールが入ったときに、さすがにちょっと止めきれないというシーンが出てくると思います。そういう展開が増えたときに日本としては苦しくなるかもしれないですね。

――どれだけそこに良いボールを入れさせないかが大事ですね。

 そう、それが大事になってきますね。そのうえでファイトしなきゃいけない。あとはコロンビアは曲者ですよね。基本的に南米のチームは曲者です。でもやっぱり個の能力は高いし、球際が強い。グアリンは前から注目していて、ヤヤ・トゥレとプレースタイルは似てはいないんですけど、フィットネス的に化け物という部分は似ている。技術もあるし、ちょっと怖いと思いますよ。それに穴がない。いずれにしろ試合を壊したりとか、流れをコントロールしたりというのは南米のチームはやってくると思うので日本はちょっと苦手にしていますよね。オランダみたいに自分たちのやりたいサッカーを押し出してくるチームであれば、こっちのやりたいサッカーをするスペースもあると思うんですけど、ギリシャもコロンビアも真逆のチームだと思います。そういう意味では厄介だなと思いますね。

――最後にW杯に出場する選手たちにアドバイスをするとしたらどんなことを伝えますか?

 変に気負ってほしくはないですね。彼らが掴んだ切符だし、日本を代表して戦うわけだから良い意味で吹っ切れたところで自信を持ってやってほしいと思います。それで文句を言う人はいないし、言わせないくらいの活躍をしてもらいたい。下手にハードルを上げ過ぎないで、自分たちの持っているものをとにかくすべて出して、4年かけて作ってきたものを見せてほしいなと思います。

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