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三田アナと前田さんのここだけの話「千葉に大苦戦。PK戦までもつれた天皇杯3回戦」

2013.10.21

365日FC東京モバイル

<10月15日>
三田:天皇杯3回戦が13日に行われ、FC東京はジェフ千葉との対戦でした。現在J2で5位の千葉との対戦でしたが、試合は延長戦を終えても決着が付かずPK戦までもつれ込んで、からくも勝利しましたね。

前田:天皇杯って、やっぱりこういうことが起きるんだよね。格下相手にどんでん返しとか下剋上みたいな例は過去にいくつもあった。東京も、去年はJFLの横河武蔵野FCに2回戦で敗れ、今年は何とか勝ったけど苦戦させられた。

 痛い思いをさせられているし、今回も相手がJ2のチームだからと油断していたわけではないと思うけど、いざ試合になると難しい部分もあったんじゃないかな。でも、こういうトーナメントは、内容うんぬんよりも要は勝てばいいということ。ああいう形でも、最後にPKで勝てたというのは大きいよね。

三田:ポポさんも試合後の会見で、「ジェフはJ1のクオリティーを持ったチーム」と言っていましたが、思った以上に苦戦を強いられましたね。

前田:ジェフはすごく組織的で、やろうとしているサッカーがよく出ていたよね。きちんとプレスをかけて、ボールを奪ったらしっかりつないで、3人目の選手が飛び出してくる。そうやって後ろから飛び出してくるサッカーは、ジェフが強かったころにオシムさんがやっていたもの。当時の江尻コーチが今もいるから、そこもやっぱり影響しているんじゃないかな。

三田:J2降格、選手の大幅な入れ替えなどいろいろありましたが、継承されているものがあるんですね。確かに、ジェフのよく走るサッカーの片りんは感じられましたよね。

前田:うん。あれで1人か2人、決定力のある外国人選手でもいたら、やられていたかもしれない。天皇杯ではベストメンバーではなかったんだろうね。

三田:それにしても、ここまで苦戦する要因となったものは何でしょう。

前田:やっぱりポイントとなったのはセンターバック(CB)の2人だと思う。このゲームは日本代表の森重と権田がいなかったけど、リーグ戦ではCBは森重ともう1人誰かがコンビを組んでいる。最近は張が安定してきたところでけがをしてしまい、加賀が起用されているけれど、ミスをしてしまい結果を出せない試合が続いていた。

 今回は加賀と丸山のCBコンビだったけど、かなり危ない場面があったよね。ジェフの森本に簡単に裏を取られるシーンが、前後半合わせて3回くらいはあった。スルーパスの質が悪くてGKとの1対1にはならなかったけど、危ないシーンはいくつもあった。

 森重がいるときは、ああいう感じで抜けきられることはほとんどない。もちろん、森重はそれだけできるから代表に選ばれているんだけどね。その森重がいないという影響は出ていた。

 加賀と丸山のコンビは、どちらかがチャレンジして、どちらかがカバーするという役割分担ができていなかった。そういうコンビネーションの問題が出てしまう。そこはやっぱり不安が残るよね。天皇杯だから結果として勝ったからいいんだけど、この先のリーグ戦でも森重や張が出られないことがあるかもしれない。

三田:練習試合などでは一緒にプレーしても、公式戦でコンビを組むとなるとまた違うでしょうからね。久々の公式戦出場となった丸山選手は「平常心でできたし、途中までは無失点に抑えられたけど、後半終了間際の失点は悔しかった。個人的にももっと突き詰めていかないと」と話していました。

 森本選手に裏へ抜け出される場面は何度かありましたね。ゴールは許しませんでしたが、少しヒヤヒヤさせられました。

前田:森本は、ちょっとスピードは落ちたかなと思ったけど、やっぱり体の使い方のうまさとか裏への抜け出しとかはさすがだよね。でも、まだチームがやっているサッカーにあまりマッチしていない感じがした。森本は裏にスルーパスが欲しいタイプで、抜け出せるチャンスはかなりあっただけに、もっと狙いたかったと思う。

三田:一方の東京は、ボールをつないで主導権を握る時間帯は多かったものの、得点はPKの1点のみでした。流れの中から得点を奪うことができませんでしたね。

前田:ボールを奪った後の攻撃で、チャンスはあったけどね。千真(渡辺)がバーに当てたシュートなど、惜しい場面はあった。相手のミスからボールを奪うシーンはあったけど、本当に決定的なチャンスを自分たちでつくり出せたかというと、その辺はちょっと物足りなかった。もしかすると鹿島戦での大敗を引きずっているのかなとも思ってしまった。

三田:リーグ戦からメンバーもあまり入れ替えませんでしたが、代表組に代わって塩田選手、丸山選手がスタメン入りしたほか、三田選手も先発出場しました。

前田:三田は久々に先発で出たんだし、アピールの意味でも、自分で行けるところはもっと積極的にペナルティーエリアに入って、強引にシュートを打ってもよかったんじゃないかな。今季の前半に試合に出たときは、すごく勢いがあったよね。

 ギュッと切り込んで積極的にシュートを打ったりするシーンも多かった。でも今回は、最後は誰かにパスしようとしたり、自分で行こうとする強引さが感じられなかった。もっとできるのに、ちょっと物足りなかったね。より確実にという選択だったのかもしれないけど。

三田:プレーがやや慎重になっているのでしょうか。布陣としては、高橋選手をベンチスタートとして、アーリア選手をボランチにする形でしたね。

前田:要するに、高橋を休ませたことを除けば、今いるベストメンバーで臨んだということだよね。中盤と最終ラインのメンバーが変わったことで、守備にちょっと不安は出てしまったけど。リーグ戦では前節に鹿島に敗れて、タイトルはちょっと厳しくなってしまったし、ナビスコも既に敗退しているから、天皇杯はタイトルを取るチャンスということで狙いにいっているよね。

三田:前半41分に、ルーカス選手が獲得したPKを自ら決めて先制した東京ですが、その後は追加点を奪うことができませんでした。選手たちも、1点を守ろうとする戦い方になってしまったと話していました。

前田:格下相手に先制して、安心したわけじゃないとは思うけど、それをいい意味でのリードにできなかったということだよね。チームとして、守りに入ってしまった。相手が点を取り返そうと押し込んでくるのは分かっているから、そこからボールを奪ってカウンターで2点目を取りにいけばよかったんだけど、そういう勢いがなかった。

 ジェフは90分間を通して、ある程度自分たちのサッカーをしていたよね。ジェフの方が平均年齢も高かったけど、1人1人がよく走っていたし、やろうとしているサッカーが徹底していた。

三田:その結果、後半終了間際に同点ゴールを奪われてしまい、試合は延長戦に入りました。東京にとっては非常に嫌な展開でしたが、気持を切らさずに延長戦に臨むことができましたね。

前田:延長前半はジェフのペースだったけど、後半に東京が逆にペースをつかむことができたよね。

三田:この試合、交代策についてはどうご覧になりましたか。

前田:ベンチスタートさせた高橋を結局入れて、いつも通りアーリアをトップ下にしたのは、ボランチを落ち着かせる狙いもあったんだろうけど、そこで1枚使うのはちょっともったいなかったね。それから、後半37分に平山を入れたけど、90分で勝負を決めるためには、もっと早く出してもよかったんじゃないかな。

 その後、延長後半の開始から河野を入れたけど、まだまだ本来の良さは出ていなかった。もちろん練習試合とかではやっているけど、これだけ公式戦から遠ざかっていると、やっぱり感覚が違う部分もあるからね。それにしても平山が出てくると、相手チームはとにかく太田のサイドからクロスを上げさせないようにと研究しているね。

 だから徳永のサイドからももっとクロスを入れてもいいと思うんだけど。ああいうなかなか点が入らないゲームは、サイドから崩すとか、あるいはセットプレーで点を取りにいかないと、なかなかゴールをこじ開けることはできない。

 ジェフはあれだけタフにしつこくボールに対して来るチームだし、シュートは打っているものの、必ず相手に体を張ってブロックされていたよね。

前田治(まえだ・おさむ) 昭和40(1965)年9月5日、福岡市出身。現役時代は横浜フリューゲルスのエースFWとして活躍し、Jリーグ通算103試合29得点、日本代表では40試合12得点の成績を残した。引退後はクラブチームのジュニアユースで監督を務める傍ら、各地のサッカー教室にも出向いて指導力、育成能力に磨きをかける。2004年から東京中日スポーツの評論記事「東京論」を執筆中。
三田涼子(みたりょうこ) 昭和53(1978)年6月20日 千葉県柏市出身。元TOKYO MXテレビアナウンサー。2003年から8年間にわたり、応援番組「FC東京ホットライン」のキャスターやJリーグ中継ピッチリポーターを務め、その後もFC東京の取材を継続中。現在はフリーアナウンサーとして、JFN(ジャパンエフエムネットワーク)及びTOKYOFMでニュースなどを担当。趣味はフットサル。

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