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メッシとネイマールの共存に太鼓判を押すピケ「“偉大な2人”は理解し合える」

2013.07.24

[ワールドサッカーキング0801号掲載]

スペイン代表とバルセロナで数々のタイトルを獲得してなお、ジェラール・ピケは「常に勝利を欲している」と語る。来夏のワールドカップや新シーズンでも、その姿勢は変わらない。すべてはもう一度、あの喜びを味わうために――。
ピケ
インタビュー・文=ホセ・フェリックス・ディアス Interview and text by Jose Felix Diaz
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

 スペイン代表はコンフェデレーションズカップ決勝でブラジル代表に敗れ、バルセロナは昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)準決勝でバイエルンに完敗(2試合合計0-7で敗北)した。

 ここ数年の間、圧倒的な強さを誇ってきたチームの敗戦は、「タイトルに飽きている」、「彼らの時代は終わった」といったネガティブな論調を呼んだ。選手の燃え尽き症候群を危惧するメディアも、今では珍しくない。

 しかし、ジェラール・ピケは「そんなことはあり得ない」と真っ向から反論する。「ハングリー精神で満ちている」というスペイン代表、「優勝の喜びを再び味わうために戦う」というバルセロナ。2つの「勝利を義務つけられたチーム」で守備の要を務める男は、タイトルへの思いを抱き続けているのだ。

一番重要なのは今までどおりやること

――まずはスペイン代表のことを聞かせてほしい。コンフェデレーションズカップでは決勝でブラジルに敗れたけど、率直にどう感じている?

ピケ 来年のワールドカップ(W杯)を前に、ブラジルが強烈なメッセージを世界中に発したということだろうね。彼らは相手が僕たちスペインであろうと、自分たちの戦いを貫くチームだと示したんだ。ただ、彼らを倒すのが不可能だとは全く思わないよ。

――君は68分にネイマールに対するファウルで一発退場になってしまった。この判定が勝負を分けたという声もあるけど、君自身はどう思う?

ピケ 審判の判断が結果に影響したとは思わない。ただ、ブラジルにもっとカードが出されてもおかしくないシーンはたくさんあった、とだけ言っておくよ。

――スペイン代表の現状について君の意見を聞かせてほしい。ビッグタイトルを獲得したことでマンネリ化を指摘する声も挙がっているよね。

ピケ 確かに、「スペイン代表はタイトルに飽きている」なんて言う人もいるけど、そんなことはあり得ない。僕たちは全員、ハングリー精神で満ちているし、勝利への欲求を持っている。それがスペインの強さの理由でもあるんだ。タイトルを欲する気持ちは、優勝した昨年のユーロや3年前の南アフリカW杯の時と何も変わらないよ。

――では、スペインがブラジルW杯で優勝するために必要なことは何だと思う?

ピケ 一番重要なのは「今までどおりやる」ということだ。僕たちは代表に集まれば、クラブのことを完全に忘れた状態になる。代表のシャツを着て、共通の目的を持って、スペインのために戦う。そうやって、南アフリカW杯では優勝できたんだ。そして僕たちはチャンピオンであり続けたいと強く思っている。王者の椅子を明け渡す気なんてさらさらないんだ。もちろん、W杯を連覇することがどれだけ難しいことかは分かっている。歴史を振り返ってみても、アメリカ大陸で開催されたW杯でヨーロッパのチームが優勝したことはないんだからね。でも、僕たちはその歴史を塗り替えてみせるよ。本大会への出場を決めたら、ドイツ、オランダ、アルゼンチンといったライバルたちを研究するつもりさ。中でもブラジルが最大の壁になることは分かっているから、じっくり調べさせてもらうよ。

“偉大な2人”は理解し合える

――ここからはバルセロナの話を聞きたい。昨シーズン、バイエルンが3冠を達成したことで「バルサの時代は終わった」という声も聞こえてくる。君はそのことをどう思う?

ピケ そんなことはないと思う。一昨シーズン、(レアル)マドリーにリーガのタイトルを奪われた時も「バルサの時代は終わった」と言われたけど、昨シーズン優勝したのは僕たちだった。しかも、圧倒的な強さでね。バイエルンに負けたことでネガティブなイメージを持たれてしまうのは仕方ないけど、僕自身は前向きでいる。第一、リーガで優勝したのに「時代が終わった」なんて、おかしいと思わないかい? 1年を通じて実力を証明してきたリーガでの戦いがもっと評価されるべきだと思う。バルサの時代はまだまだ続くと信じているよ。

――バルサの時代が続いていくことを証明するために必要なことは何だろう?

ピケ ちょっとした修正が必要になるかな。そこに的確な補強ができれば、新シーズンもトップの座をキープできるはずさ。既にネイマールの加入が決まっている。彼がチームを強化してくれると信じているし、特に攻撃陣に与える影響は大きいだろうね。

――そのネイマールに関して、一部では「本当に獲得する必要があったのか」と疑問の声も挙がっているけど、君の考えは?

ピケ ネイマールはブラジルで最高の選手だ。そんな彼が、ヨーロッパに来て実力を証明しようとしている。彼はバルサで本領を発揮してくれるはずさ。ただ、ブラジリアンスタイルからヨーロピアンスタイルのサッカーに切り替えるのは簡単じゃない。しかもバルサのスタイルは、その中でも特殊な部類に入るから、慣れるまでには少し時間が必要じゃないかな。

――「リオネル・メッシと共存できるのか」というテーマが世界中で議論の的になっている。君の見解を教えてもらえるかな?

ピケ 2人とも偉大なプレーヤーだし、理解し合えるはずさ。問題は全くないと思うよ。レオ(メッシの愛称)は頭がいい。ネイマールとどうやってプレーすればいいかも分かっているはずさ。相手の注意がネイマールに向くことで、レオがフリーになるシーンも増えるだろう。そうすればレオの魅力が今まで以上に発揮されるはずだよ。

――ところで、ジョゼップ・グアルディオラがバイエルンの監督に就任したけど、このことについてはどう思う?

ピケ ペップ(グアルディオラの愛称)は挑戦が好きな男なんだ。今回、1年間の休養を経て、ヨーロッパ最高のチームで新たな挑戦に臨むのさ。熟考の末に決めたことだろうし、最良の決断をしたように見える。彼にとってブンデスリーガは未知の世界だし、全く新しい環境だ。刺激的だし、新たなモチベーションがわいてくるだろう。しかも今、ドイツのサッカーは急激に成長している。どんな対戦カードでもスタジアムは超満員だ。ドイツ人のサッカー熱の高さには舌を巻くよ(笑)。話が少しそれたけど、ペップは必ずドイツのサッカーになじむだろうし、バイエルンが今まで以上に強くなることは間違いないよ。

――とはいえ、バイエルンは昨シーズン、3冠を獲得している。これ以上の結果をグアルディオラが残すことは難しいのでは?

ピケ そう、彼にとってはまさに挑戦のシーズンになる。バイエルンは現ヨーロッパチャンピオンだ。ペップには少なくとも昨シーズンと同等の成績が求められる。これはかなり大きなプレッシャーになるだろうね。

――彼が成功のシーズンを送るために何が必要だと思う?

ピケ まず、UEFAスーパーカップで勝利を収めること。それからクラブ・ワールドカップのタイトルを取ることだ。その上でCL連覇を達成すれば、とてつもない快挙だよ。ただ、そのためにはジョゼ・モウリーニョ率いるチェルシーを倒さなければいけない。それに、僕たちだってバイエルンの好敵手になるはずさ。そう簡単に、快挙を許すわけにはいかないよ。

ジェラール・ピケが、新シーズンを前に意気込みを語る。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング0801号でチェック!

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