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イタリア人記者が見る“ミラン本田”の可能性…移籍実現のカギを握る2つのポイントとは

2013.07.17

xxx of Japan and yyy of Oman zzz during the FIFA World Cup Brazil Asian Qualifier match between Japan and Oman at Saitama Stadium on June 3, 2012 in Saitama, Japan.

[ワールドサッカーキング0801号掲載]

世界的名手ジャンルイージ・ブッフォンの牙城を崩したことで「本田圭佑」の名前はイタリア人の記憶に刻まれた。今夏、イタリア行きがうわさされる彼を、現地記者はどう見ているのか? セリエAでの“成功の秘訣”から、本田の可能性を探る。
本田圭佑
文=ルチアーノ・マルティーニ Text by Luciano MARTINI
翻訳=小川光生 Translation by Mitsuo OGAWA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

イタリア戦で強烈な存在感を発揮

 ジャンルイージ・ブッフォンが守るゴールを射抜いて日本代表に得点をもたらすより前に、「本田圭佑」の名前を気に掛けていたイタリア人は少なかったはずだ。一部の専門家を除けば、昨年1月にラツィオへの入団が決まりかけた時ですら、彼のプレースタイルやクオリティーを知る者は多くなかった。コンフェデレーションズカップの日本代表戦で本田のプレーを初めて見たという者も多かったのではないだろうか。

 しかし、この試合で本田の名前はイタリア人の記憶にポジティブな意味で刻まれることになった。日本の攻撃陣の先導役として、強烈な存在感を発揮していたからだ。特にキープ力と前線でのチャンスメークは際立っていて、香川真司や岡崎慎司といったスピードのあるチームメートたちの特長を存分に引き出していた。前述した得点にしても、世界最高峰のGKと対峙しながら、臆することなく、強いメンタルを示したシーンだったと言える。

 そして大会後、我々は再び本田を意識するようになった。「ミランが本田獲得で合意か?」。イタリア最大手のスポーツ紙『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』が、この日本代表MFのミラノ行きを一面で報じたのである。

 私の得た情報から判断しても、ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長と本田の代理人、その協力者エルネスト・ブロンゼッティ氏は既に会談を済ませ、事実上の合意に至っている。後はCSKA側の判断次第となるだけに、ひょっとすると、皆さんがこの原稿を目にする時には契約が決まっているかもしれない。もともとミランとCSKAモスクワは友好関係にあり、交渉に大きな支障が出るとは考えにくい。

「ミラン本田」誕生へのポイントは2つ。一つは移籍の時期だ。本田とCSKAモスクワの契約は今年の12月で切れる。仮に移籍を来年の1月まで引き伸ばせば、違約金が掛からないため、財政問題を抱えるミランにとって願ってもない話となる。反対に言えば、CSKAモスクワは契約期間内に売却できなければ、移籍金を得ることができない。当然、彼らは少しでも移籍金を得るために本田を売却する意向を持っている。そういった背景があり、両者の間では200万ユーロ(約2億6000万円)という破格の額で今夏に決着をつける案も考慮されているようだ。

 もう一つのポイントはミランが人員整理をうまく進められるかどうかだ。ミランは本田獲得の資金を捻出するために、ブラジル人FWのロビーニョをサントスへ売却する意向を示していたが、移籍金1000万ユーロ(約13億円)という要求額がネックになり、実現には至らなかった。また、本田と同じポジションのケヴィン・プリンス・ボアテングも放出リストに乗せ、モナコなどと交渉の場を持ったが、売却先は決まっていない。今回のケースに限らず、ガッリアーニは日頃から「補強より前に、余剰戦力を売ることが先決だ」と述べている。人員整理が思うように進まなかった場合、本田の移籍が1月にスライドすることは十分考えられる。そこで本田サイドが夏の移籍に固執するなら、別の答えが導き出されるかもしれない。

 もっとも、現時点ではミラン入りの可能性が高いと私は考えている。

ミラン移籍が迫る本田圭佑。イタリアでの“成功の秘訣”から、活躍の可能性を探る……。続きは、ワールドサッカーキング0801号でチェック!

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