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ネイマールはバルサで輝けるのか…成功のカギを握る“神”との共存

2013.06.20

[ワールドサッカーキング0704号掲載]

今夏最大のビッグディールとなり得るネイマールのバルサ入り。リオネル・メッシという“神”が支配するチームの中で、王国ブラジルの“キング”はいかにして存在感を示していくのか。バルサを加速させる可能性を秘めたネイマールの成功の秘訣を探る。
ネイマール
文=ヘラルド・ロハス Text by Geraldo ROJAS
翻訳=池田敏明 Translation by Toshiaki IKEDA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

「(アンドレス)イニエスタやチャビ、(リオネル)メッシといった、子供の頃から憧れていた名選手たちと一緒にプレーできるチャンスを与えてくれた神に感謝したい」

 ブラウグラーナのユニフォームに身を包み、カンプ・ノウに集まった5万5000人のサポーターへのお披露目を終えた21歳の若者は、新天地に降り立った喜びを笑顔で語った。“バルセロナのネイマール”が、その第一歩を踏み出した瞬間だった。

 サントスが頑なに拒み続けてきたネイマールの売却を容認してから数日。争奪戦を制したのは、かねてから有力視されていたバルサだった。ネイマールにとっては、2011年のクラブ・ワールドカップ決勝で対戦し、完膚なきまでに叩きのめされた因縁の相手でもある。この時、世界最高峰のフットボールに触れたことで、バルサへの憧れの気持ちが大きくなっていったのだろう。両者の間で結ばれた契約期間は5年。移籍金は約5700万ユーロ(約74億円)、違約金は1億9000万ユーロ(約248億円)で、推定年俸700万ユーロ(9億円)の他に個人の肖像権をネイマール側が握るという、破格の数字が並ぶビッグディールとなった。

成功のカギとなるメッシとの共存

 一通りの儀式が終わり、人々の関心は次のステージに移った。すなわち「ネイマールとメッシは共存できるのか」ということだ。

 ネイマールはサントスの“キング”だった。ピッチ上で完全な自由が与えられ、イマジネーション溢れるプレーを最大限に発揮できるよう、過保護とも言える配慮がなされていた。ボールを持ちすぎても、トリッキーなフェイントで相手を翻弄し、独力で得点を決めれば誰からも文句は言われなかった。ピッチを離れれば、常に屈強なガードマンが傍らで目を光らせ、毎年2月にはナイトクラブを借り切り、多くの美女が参加する誕生パーティーを催す。自由奔放、唯我独尊が許されてしまう、並ぶ者のないメガスターだった。

 しかし、バルサにはキングどころか、メッシという“神”がいる。今のバルサはメッシを生かし、メッシによって生かされるチーム。つまり、ネイマールがかつてのように特別待遇を受けることはない。

 本人もそのことは理解しているようで、「メッシが世界一であり続けるためにサポートしたい」と、神の前にひざまずく姿勢を示している。だが、それではネイマールの持ち味が消えてしまわないだろうか。ダビド・ビージャやアレクシス・サンチェスは、メッシ・システムに適応しようとするがあまり、自分本来の姿を失ってしまった。

 彼らと同じ轍を踏まないためにネイマールに求められるのは、メッシを生かすことではない。“神”と同じ次元まで自身を高め、これまで同様、自由奔放なプレーを見せることだ。ギリシャや南米の神話のように、複数の神々が並び立つ状況を作り出すことこそ、共存への最大のカギとなる。

ネイマールの遊び心がバルサを加速させる……。続きは、ワールドサッカーキング0704号でチェック!

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