FOLLOW US

【優勝記念インタビュー】ファン・ペルシー「この瞬間を長い間待っていた」

2013.05.02

8シーズン在籍したアーセナルに別れを告げ、悲願のリーグタイトル獲得を果たしたファン・ペルシー

[ワールドサッカーキング0516号掲載]
ファン・ペルシー
インタビュー・文=ヴィクター・ヴァーゴ Interview and text by Victor VAGO
翻訳=阿部 浩 アレクサンダー Translation by Alexander Hiroshi ABE
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

“赤い悪魔”に史上最多20度目のリーグ優勝をもたらしたのは、今シーズン、誰よりもタイトルを欲していたストライカー、ロビン・ファン・ペルシーのゴールラッシュだった。昨夏に下した苦渋の決断、その選択に間違いはなかった。

 勝てばリーグ優勝が決まるという状況で迎えた4月22日のアストン・ヴィラ戦、月曜夜のナイトゲームという、いつもとは違ったシチュエーションも手伝い、試合前のオールド・トラッフォードは重苦しい雰囲気に包まれていた。しかし、マンチェスター・ユナイテッドの優勝決定まで、90分を待つ必要はなかった。史上最多、20回目のリーグ制覇は、ロビン・ファン・ペルシーが33分までに挙げた3つのゴールによって、周囲が拍子抜けするほどあっさりと確定したのである。

 昨夏、アーセナルからマンチェスター・Uへの“禁断の移籍”を選択したのには、もちろん理由がある。ファン・ペルシーはフェイエノールト時代から周囲の注目を集めてきたが、長いキャリアの中で獲得したタイトルはわずかに2つ。毎年のように何らかのタイトルを手にしているチームからのオファーを受け入れるのは、野心のある選手なら当然の選択だった。

 もちろん、移籍しただけでタイトルに手が届くわけではないが、ファン・ペルシーは自らのゴールラッシュでチームを順位表のトップへと押し上げた。彼は待ちわびた歓喜の瞬間を、文字どおり、自らの“足”で手繰り寄せたのだ。

努力の成果が形になるのは最高だ

――まずはプレミアリーグ優勝おめでとう。念願のタイトルを手にした率直な感想は?

ファン・ペルシー この瞬間を長い間待っていた。本当に最高の気分だよ。俺は今シーズンが始まったその日から勝利に飢えていた。そして、全員が心から「優勝したい」と願っていたからこそタイトルを取ることができたんだ。

――君がイングランドにやって来て既に9年が経つ。リーグタイトルまで長かったね。

ファン・ペルシー この間、リオ(ファーディナンド)と優勝について話をした。彼は「どういう結果になっても、それがスタンダードになる」と言っていたよ。彼の意見は正しい。これからは毎シーズン優勝することが、自分にとってのスタンダードにできたらと思う。

――ユナイテッドに移籍して来て良かった?

ファン・ペルシー もちろんだ。それまでの努力の成果がシーズン終盤に具体的な形になるっていうのはうれしいものだよ。ユナイテッドにはベストプレーヤーがそろっているし、タイトルを獲得することに慣れている連中ばかりだ。そんなチームでプレーできるなんて選手冥利に尽きるよ。

――これまではあまりタイトルに恵まれてこなかった。

ファン・ペルシー 俺は野心家だ。少なくとも、毎シーズン1つか2つはタイトルを取らなくちゃサッカー選手を続ける意味なんてないと思っている。フェイエノールトでUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)を制し、アーセナルではFAカップのタイトルを取ったけど、ビッグタイトルの獲得経験はなかった。チャンピオンズリーグだって参加するだけじゃつまらない。次の目標はヨーロッパ制覇だね。

――ユナイテッドとアーセナルを比べて一番大きな違いは?

ファン・ペルシー 断っておくけど、俺は今もアーセナルが好きだし、育ててもらった恩も感じている。ロンドンで過ごした8年間で楽しい思い出もたくさんできた。でも、長い間一つのクラブにとどまっていたら新しいチャレンジをしたくなるのは当然だ。だから俺は、ユナイテッドへの移籍という道を選んだんだ。

――近年のアーセナルは君を筆頭に、多くのベストプレーヤーを放出してきた。これについてはどう思う?

ファン・ペルシー その分、アーセナルは将来性のある若手を見つけ出すことに長けている。偉大なクラブだし、サッカークラブは選手個人よりもずっと大きな存在だ。これからもアーセナルは常に優勝を目指して頑張るだろう。ただ、いくら頑張っても優勝に手が届かない状況が続いていたから正直、参った。移籍のタイミングとしては、ちょうど良かったんじゃないかな。

もっと得点してもっと勝ちたい

――ユナイテッドの環境に慣れるのは大変だったのでは?

ファン・ペルシー いや、みんなが親切にしてくれたから全く問題はなかった。初日からアットホームな感じで迎えてもらったし、ユナイテッドの選手全員が俺の入団を喜んでくれたよ。今ではすっかりチームの一員になったと思えるし、楽しんでプレーできている。ユナイテッドは全員が同じ目標に向かって前進してる大きな家族みたいな感じなんだ。

――ポジションはどう? アーセナル時代と比べると、よりストライカーの仕事に専念しているように見えるけど。

ファン・ペルシー 役割が10番か9番かの違いだろうね。ポジション的には近いけど、役割は全く違う。9番は空いたスペースを狙い、ボックス内で待つのが主な仕事だけど、10番は相手のDFをかわして自らチャンスを生み出さなくちゃならない。そういう意味ではユナイテッドに来て、自分の役割は明確になったね。

――君のプレーは効率が良く、ゴール前でも常に落ち着いている。プレーする上で何か意識していることはある?

ファン・ペルシー  俺のプレーの基本は「よく走る」ことさ。自分のスタミナを正確に把握して、エネルギーを正しく使うことが重要なんだ。以前は対戦相手によって力をセーブすることも必要だと思っていたけど、その考えは間違っていた。今は相手がどこであろうと常にベストを尽くすようになった。ボールとピッチさえあれば、どんな環境でも才能を証明できる選手こそベストプレーヤーだと悟ったのさ。

――今シーズンはリーグ戦で24ゴールを挙げている。この成績に満足している?

ファン・ペルシー スタートは良かったけど「もっとやれたんじゃないか」という気持ちもある。だから100パーセント満足しているわけじゃない。もっと得点して、もっとアシストして、もっと勝ちたいと常に思っている。

――公式戦で10試合ノーゴールという時期も経験した。不安だったのでは?

ファン・ペルシー すべてが順調にきていると思った途端にスランプに陥ることはよくある。だからそれほど気にしてはいなかった。ただ、チャンスがたくさんあったのに十分に生かせなくて悔しい気持ちはあった。俺はいつも「どこが間違っていたんだろう」、「どうしたらプレーが向上するだろう」と考えているし、スランプ中は特に努力を心掛けた。あの時期は正規のトレーニングの後に居残りでシュート練習に励んでいたよ。

――ストーク戦で久々にゴールを決めた時は真っ先にアレックス・ファーガソン監督の下に駆け寄って喜んでたね。

ファン・ペルシー 正直、ホッとした。あの時は監督だけじゃなく、チームメート全員をハグしたいくらいだった。

――ファーガソン監督とアーセン・ヴェンゲル監督。2人に共通点はある?

ファン・ペルシー 2人はたとえ俺がスランプに陥ったとしても、見放すことなくしっかりサポートしてくれる。どちらも本当に偉大な監督だよ。

ファン・ペルシーのインタビューの続きは、今号からリニューアルしたワールドサッカーキング0516号でチェック!

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

RANKING今、読まれている記事

  • Daily

  • Weekly

  • Monthly

SOCCERKING VIDEO