2016.09.13

中村憲剛×又吉直樹『僕たち、ちゃんと考えてます。』第6回:仲が悪いコンビに聞かせてやりたい。

中村憲剛×又吉直樹『僕たち、ちゃんと考えてます。』

二人の頭の中は、一体どうなっているのか?
二人が醸し出す独特の雰囲気、その化学反応を見てみたい。
そんな発想がきっかけで、
中村憲剛選手(川崎フロンターレ)と
又吉直樹さん(ピース)との対談が実現しました。

今回は『マエストロ×作家の“創造力”』というテーマをぶつけてみましたが、
会話が弾みすぎて、自由気ままな展開に。
ゆるい話から、深い話まで。
中村選手と又吉さん、二人のトークをお楽しみください。
全10回の連載です。

仲が悪いコンビに聞かせてやりたい。

憲剛さんは後輩とかにアドバイスをしたりしますか?

結構しますね。というか、チームで最年長なんですよ。サッカーだと僕の年齢になると最年長になるんですよね(苦笑)。

そうですね。

30歳を過ぎてからは、次のフロンターレを背負っていく選手をプレーしながら育てなければいけないってことを意識するようになりました。

へえ。

又吉さんは若手や後輩にアドバイスをするんですか?

聞かれたらするんですけど、言い過ぎてしまう時があります。厳しくじゃなくて、説明しすぎちゃうというか。

そうなんですね。

アドバイスの仕方って難しいなって思いますね。

難しいですね。

僕は先まで全部言っちゃうんですよ。今、あることで悩んでるとしたら、「こうやったらこの状況を乗り越えれるけど、次はこうなってくるから、その時はこうで……」って。

それすごいですね。そこまで見えるものなんですね。

だいたい悩みは一緒なんでね。一発屋が量産体制に入ってるこの時代で、いかに一発屋にならないようにするか。

それで言うと、ピースは安定している。

いやいや。

ピースと言えば、綾部(祐二)と又吉ってイメージが確立されているし、芥川賞を取って、もう一つ階段を上ったというか、世間の認識が高まっているから、周りはすごく憧れていると思いますよ。しかも、30歳半ばってまだ若手の部類に入るじゃないですか。

まだ若いほうですよね。

そうですよね。僕なんてチーム最年長なのに、又吉さんは全然若手だからなあ。

お笑いの場合やと、才能があるのに世に出られない人もいるんです。サッカーは能力があるのにプロになられへんというケースはあるんですか?

それはすごく稀なケースだと思いますけど、いるとは思います。プロになっても、プライドが高くて人の話を聞けなかったり、ただ自己主張が強かったりする選手はやっぱり使われにくいですよ。それを突き抜けて実力があるなら別ですけど。

突き抜ける力。

それがあればみんな認めてしまう。でも、中途半端な選手は難しいです。もちろん他のチームに行ったらハマって、試合に出られることもありますけどね。

いろんな環境で活躍しようと思ったら、やっぱり柔軟性が必要?

必要だと思います。やっぱり試合に出ないとダメなので。出るためにどうすればいいか、監督がどういうサッカーをしてて、どういうプレーヤーが欲しいのか。まずはそれを自分で分析しないといけないですね。

なるほど。

でも、30歳を過ぎてからはいい意味で、監督の言うことに縛られすぎてもしょうがないなって思うようになりました。昔は監督の考え方に結構忠実なところがあったんですけど、それにプラスして自分の特徴をコンスタントに出さないと上に行けないことに気付いたんです。

そうですよね。

やっぱり自分の殻を破っていかないと。

他にもそこに入れるやつはおるけど、それプラスアルファで「そんなのもあったんや」って監督に思わせることができたら、それは代わりがいないですよね。

だから「どれだけスペシャリティを持てるか」ということ。

うんうん。

スペシャリティが何かと言ったら、チームを勝たせることだと思うんです。点が取れる選手やアシストできる選手、チャンスを作れる選手、ゴールを守れる選手。やっぱりそういう選手は重宝されるし、どれだけ戦術を持っていても、その選手だけで勝っちゃう試合もある。それは監督が葛藤するところでもあると思うんですけどね。そういう選手が入り組んでいるから、サッカーって面白くて。

うん、面白い。

だから、僕はとにかくFWの選手とコミュニケーションを取っています。「俺がボールを持ったらこうしてくれ」と。

なるほど。

まだ岡崎(慎司/レスター)が若かった頃なんかは、「俺が持ったらとにかく裏へ走れ」とよく言っていましたね。その代わりに、彼の要求も聞いてました。「俺はこうしたいから、こうしてほしい」って言われたら、そうできるように努力する。そうすると信頼関係が生まれて、「やっぱりこの人と一緒にやると気持ちがいいな」ってなる。

そういう選手が一人いるだけで変わりますもんね。

だから、みんなが「俺が、俺が!」ってタイプだと難しい。ある程度まとめられる選手が後ろにいると、チームに重宝されるし。

その話を後輩の仲が悪いコンビに聞かせてやりたい(笑)。憲剛さんがボールを持ったら「FWはこう動いてくれ」っていう意思の疎通ができていたほうがいいに決まってるじゃないですか。仲の悪いコンビやトリオってそこが一切ないから。それぞれでやっちゃって、自分たちを苦しめていますよね。

でも、それで成立しているのがすごいなって思いますけどね。みんなが笑うんだもん。でも、「あ、今はこうしてほしいんだな」っていうところでポンってきて、お互いのやりたいことが「こうだな」って手に取るように分かれば、倍の笑いになると思うんですけどね。

 

つづきます(第7回は14日7時公開)

 

取材・構成=高尾太恵子/写真=岩本良介

 

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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都出身。東京都立久留米高から中央大を経て、2003年に川崎フロンターレへ加入。初年度から出場機会を得ると、2年目からはボランチへとコンバートされて主力に定着。2006年から2010年まで5年連続でJリーグベストイレブンに選出された。また、2012年から川崎の主将に就任してチームをけん引。視野の広さとパスセンスはリーグ屈指で、35歳となった今もなお強烈な存在感を放つ。
又吉直樹(またよし・なおき)
1980年6月2日生まれ、大阪府出身。お笑い芸人、脚本家、小説家、俳人といった様々な顔を持つ。2003年に綾部祐二と「ピース」を結成し、ボケを担当。キングオブコント2010で準優勝、同年のM-1グランプリで4位に入り、一躍脚光を浴びる。趣味の読書が高じて書評やコラムなどの執筆活動を行うと、2015年に自身が書いた純文学小説『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞。個性的なファッションからオシャレ芸人との呼び声も高い。

プレゼント

中村憲剛選手と又吉直樹さんの直筆サイン入り色紙を3名様にプレゼント!
応募期間
:2016年9月8日(木)〜2016年9月18日(日)23:59まで

たくさんのご応募ありがとうございました!

 

INFORMATION
スポーツニュース番組『追跡 LIVE! Sports ウォッチャー』(テレビ東京系)
(月~金 23:58~24:12/土 23:00~23:55/日 22:54~23:30)
MC:ピース
コメンテーター:中畑清、セルジオ越後、緒方耕一(日曜のみ)、秋田豊

 

今回の撮影で利用したお店
BLUE BOOKS café
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2-9-15 ユレカビル B1F

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