2016.09.11

中村憲剛×又吉直樹『僕たち、ちゃんと考えてます。』第4回:ああ、なるほどなあ。

中村憲剛×又吉直樹『僕たち、ちゃんと考えてます。』

二人の頭の中は、一体どうなっているのか?
二人が醸し出す独特の雰囲気、その化学反応を見てみたい。
そんな発想がきっかけで、
中村憲剛選手(川崎フロンターレ)と
又吉直樹さん(ピース)との対談が実現しました。

今回は『マエストロ×作家の“創造力”』というテーマをぶつけてみましたが、
会話が弾みすぎて、自由気ままな展開に。
ゆるい話から、深い話まで。
中村選手と又吉さん、二人のトークをお楽しみください。
全10回の連載です。

ああ、なるほどなあ。

作家さんって孤独だから、すごくきついと思うんですよね。サッカーはチームプレーだからピッチには自分の他に10人もいるし、ベンチを含めたら18人いるから、みんなでまとまってやれる。作家さんは孤独との戦いですよね。

そうですね。

さっきも言ったけど、反応がどうなるか分からない。だから、本を読んだ時に、「すごい!」と思いましたもん。

いやいや。

初めて書いたんですか?

あれだけ長い小説は初めて書きました。

すごく読みやすくて、1日で読み終わりましたもん。

ありがとうございます。僕、サッカーめちゃめちゃ好きやったんですけど、最初はプレースタイル的に何となくトップ下とかに入れられるんですよ。

何となくトップ下(笑)。

だけど、すぐに「お前めっちゃ自己中やな」ってなって、そこからサイドとかFWに変えらえる。高校選抜でも、最初は体が小さいし、イメージで真ん中のほうに入れられるんですけど、すぐに「お前は一番サイドで張っておいて、受けたら縦に一人で行け」と言われるんです。

ええ、そうなんですか? 勝手にボランチだと思っていたので意外です。ゴリゴリのサイドプレーヤーだったんですか?(笑)

そうなんですよ(笑)。自分の高校ではサイドでした。

北陽(現:関西大学北陽高)ですよね?

北陽です。3-5-2ですね。

の、ウィングバック?

そうですね。

ちょっとイメージ変わるなあ。でも、お笑いコンビは一方がボランチみないな人じゃないといけないですよね。

そうなんです。

僕が最初にピースを見た時、又吉さんがてっきりツッコミだと思ったんですよ。

はいはいはい。

だけど、見たら逆なんです。それはキャラなのか、印象なのか……。

僕ら両方、なんかそういう俯瞰で見るのも好きなんです。

あ、どっちも。

二人とも全体を見るのも好きやし、全体を見るという視点を1回忘れて、わけ分からんことを言い続けることも好きなんですよ。だから、コンビの時はボケとツッコミでやることが多いんですけど、芸人10人くらいの環境の中に行くと、どっちも大外でボケ合っていることが多いですよ。

芸人さんは前に出ないと普通は生き残っていけない。だけど、又吉さんはこうする(体を反らして)ことで生き残ってる。それは相当すごいことだと思うんですよ。

憲剛さんが本に書いていた、相手といかにぶつからずに自分もプレーするか、ということに「似てんなあ」と思ったんですよね。

なるほど! ありがたい、ありがたい(笑)。

若手が20人くらいでガチャガチャして「わーーーー」ってなってる時に、僕も「はいはい!」と言ったら……ねえ。芸人で言うところの声の大きさが身体能力だったら、僕は身体能力が低いから(苦笑)。

確かに声は小さいですね(笑)。

それやったら、手を挙げない。そしたら、手を挙げてるやつより目立つし。

うん、目立つ。

みんなが「はい!」ってやる時にちょっと遅れてみると、遅れてることを指摘される。要は「直接FKを蹴らせてもらえる」みたいな。

なるほど。

そういう局面をいっぱい作っていくわけです。

それは最初からですか?

最初から割とそうでした。吉本にはNSC(ニュー・スター・クリエイション)という養成所があるんですよ。

はいはい。

そこに入りたての頃、「漫才とはこうあるべきや」と思って、声を張って、テンポの速い漫才をやったんです。そしたら講師の人に「君はそんなんじゃないんじゃない?」って言われて。

指摘してくれた人がいたんですね。

「ホンマですか?」と半信半疑やったんですけど、次からゆっくりしたテンポで、テンションを下げて、自分のやり方でやっていったら、周りと差別化できたんですよ。例えば、先輩がボケて、舞台上の20人全員がこける時に一人だけ立っとくみたいな。で、周りを見ながらゆっくりこけていったら、「いや、遅れてる、遅れてる!」というツッコミを受ける。そうやって一番目立つポジションを見つけたという。

それは見事に「当たらずに勝つ」、「上回る」みたいな感じですね。

だから、(憲剛さんの)本を読んでて、「ああ、なるほどなあ」と思って。

やばい。又吉さんに「なるほどなあ」って言わせた(笑)。

それはサッカーにも共通するところがあるんじゃないですか?

たくさんありますね。

 

つづきます(第5回は12日7時公開)

 

取材・構成=高尾太恵子/写真=岩本良介

 

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最終回
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都出身。東京都立久留米高から中央大を経て、2003年に川崎フロンターレへ加入。初年度から出場機会を得ると、2年目からはボランチへとコンバートされて主力に定着。2006年から2010年まで5年連続でJリーグベストイレブンに選出された。また、2012年から川崎の主将に就任してチームをけん引。視野の広さとパスセンスはリーグ屈指で、35歳となった今もなお強烈な存在感を放つ。
又吉直樹(またよし・なおき)
1980年6月2日生まれ、大阪府出身。お笑い芸人、脚本家、小説家、俳人といった様々な顔を持つ。2003年に綾部祐二と「ピース」を結成し、ボケを担当。キングオブコント2010で準優勝、同年のM-1グランプリで4位に入り、一躍脚光を浴びる。趣味の読書が高じて書評やコラムなどの執筆活動を行うと、2015年に自身が書いた純文学小説『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞。個性的なファッションからオシャレ芸人との呼び声も高い。

プレゼント

中村憲剛選手と又吉直樹さんの直筆サイン入り色紙を3名様にプレゼント!
応募期間
:2016年9月8日(木)〜2016年9月18日(日)23:59まで

たくさんのご応募ありがとうございました!

 

INFORMATION
スポーツニュース番組『追跡 LIVE! Sports ウォッチャー』(テレビ東京系)
(月~金 23:58~24:12/土 23:00~23:55/日 22:54~23:30)
MC:ピース
コメンテーター:中畑清、セルジオ越後、緒方耕一(日曜のみ)、秋田豊

 

今回の撮影で利用したお店
BLUE BOOKS café
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2-9-15 ユレカビル B1F

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