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清水相手に大健闘 「全員サッカー」貫いた関西大、天皇杯1回戦で姿を消す

2016.08.29

竹下玲王(中央)が同点弾を挙げるも、清水に敗戦 [写真]=川﨑恵莉子(関西大学体育会本部関大スポーツ編集局)

 ついに第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会が開幕。関西大学は21日に第21回大阪府選手権大会決勝でJFLのFC大阪を下し、天皇杯への出場権を手に入れた。関西大は第7回大会(1927年)から合計16回出場の名門校。伝統と誇りを胸に、そして創立130周年という記念すべき年に出場を決めた。迎えた27日。1回戦の相手J2清水エスパルスのホーム、IAIスタジアム日本平に乗り込み、関西大は試合に臨んだ。会場はオレンジ一色のスタジアム。サポーターも清水が約3000人に対し、関西大は約300人。しかし、キックオフ2時間前から会場は関西大サッカー部を中心とした応援の声が響き渡る。「俺たちはここにいる」全員サッカーを体現すべく、日本平の地でその声が枯れるまで関西大の応援をし続けるという気持ちがあふれだしていた。打倒プロ。雨が降りしきる中、試合の幕は開いた。

 開始早々からチャンスが到来するが、そう簡単には得点できない。9分、池端翼太が右サイドで相手選手をドリブルで抜くとボールは加賀山泰毅に。ペナルティエリア内から放ったボールはゴール上へと流れる。得点とはならなかったが、関西大が清水と互角に対戦できていることを証明し勢いづけた。

 15分には清水にシュートを打たれるも、これは池端が防ぐ。その10分後にもセットプレーから失点の危機に見舞われるが、前川黛也がパンチングでセーブ。しかし、直後の27分。右サイドの相手DFからゴール前中央にいた相手MFにロングループパスが通る。これをヘディングで決められ失点。

 流れが清水へと傾くと思いきや、それを振り切ったのは塩谷仁だ。ペナルティエリア内の加賀山から右コーナーへ回り込むように攻め込んでいた塩谷にパスが通ると、角度のない位置からシュート。枠外に外れるが、諦めない静岡出身の男の思いが全員に伝わった。前半シュートが2本に対し、清水は6本。守備に徹する場面もあったが1失点に抑え、後半へと望みをつないだ。

 後半開始から平尾柊人が交代出場。平尾は関西学生選手権決勝で優勝へとつながる果敢なプレーを見せた立役者だ。50分、その平尾が左サイドから得意のドリブルで切り込みシュートを放つも、GKに当たり跳ね返る。そのこぼれに竹下玲王が再びシュートを放つが、ボールはわずかにゴール枠の外へ。

 待望の得点は56分。加賀山がドリブルで駆け上がるとボールは竹下に。竹下がシュートチャンスを探り、相手DF2人の強い守備で転びそうになりながらも持ちこたえる。「シュートコースが見えた」(竹下)。振り抜いたボールはゴールに突き刺さり、同点に追いつく。スタジアムの歓声は関大一色に包まれた。

 74分、清水のFKから30秒超の攻撃を受ける。広くポジションを取られるが、関西大は石井光輝主将を中心に、U-19全日本大学選抜の黒川圭介、諸石、池端、高身長を活かした守備が特徴の荒木隼人らの必死の守備で乗り切る。77分には平尾がラインから飛び出したボールに食らいつくとドリブルで駆け上がり、相手DFがたまらずファール。清永丈瑠のFKを荒木が飛び上がりヘディングシュートもこれはGKの手中に。

 79分、清水が出した浮き球パスに相手FWがヘディングで合わせ得点を許して、1-2。その後、守護神の前川が追加点を許さないが、同点弾を決めることができない。関西大は終了のホイッスルが鳴るその時まで走り続けた。

 敗北を喫したものの、この負けは“惜敗”という表現に十分に値する。J2清水をここまで大学生が追いつめ、大阪府代表として清水から価千金のゴールを奪った。得点した竹下は「この強度で秋のリーグに挑んでいかないといけない」とコメント。またとない経験を活かし、今後の活躍を誓った。

 大健闘を見せた選手はもちろん、関西大の応援団も全力で戦った。人数は清水サポーターの約10分の1。しかし、清水に引けをとらない声量で関西大サッカー部を中心に大声援を送り続けた。関西大は選手、スタッフはもちろんのこと、応援もなければ「全員サッカー」とは言えない。目標である「全員サッカーで日本一」を達成するチャンスは冬の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)のみ。残された時間は限られている。まずは後期リーグでインカレ出場権獲得に向け、「勝つための準備」を心掛けていきたい。

文=水野真(関西大学体育会本部関大スポーツ編集局)

選手のコメントは関大スポーツのホームページ(http://kanspo.univ.nikkansports.com/?p=7002)に掲載しています。また、関大スポーツは関西大学の選手に独占インタビューを行い定期的にインターネットに掲載しております。その他にもTwitter(@kanspo)にて試合速報を行っています。ぜひ、ご覧ください!

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