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専修大GK福島春樹がユニバーシアードを振り返る「1年8カ月分の想いを乗せて蹴りました」

2015.08.06

インタビュー=峯嵜俊太郎

関東大学1部リーグを戦う専修大学の守護神、福島春樹。大学卒業後は浦和レッズ加入が内定している若きGKが、主将として臨んだ第28回ユニバーシアード・光州大会、そして浦和での日々を語った。

止めた瞬間に、「俺に任せろ」って言いました

――第28回ユニバーシアード・光州大会での銅メダル獲得という結果に対する、率直な感想を教えてください。
福島 ユニバーシアード代表は金メダルを目標としていたので、準決勝のイタリア戦で負けた時は悔しい気持ちがこみ上げてきました。でもその後に切り替えて「メダルを持って帰るのと4位になって帰るのとは、今後のユニバーシアード代表の後輩たちのためにも全然違う、だからしっかりやろう」とみんなで話しました。それでメダルを取れたことは良かったですけど、銅メダルに終わってしまったのは自分たちの力不足を感じます。

――チームに対してどのような印象をお持ちでしょうか?
福島 チーム立ちあげ当初は本当にみんな大人しくて、意見を発するのは僕とか萩間(大樹/専修大)とか個性が強いメンバーでした。だけど、合宿や海外遠征を重ねるごとにみんなが自分の色を出してきて、最後は和気あいあいと楽しくプレーできていました。

――チームの中での役割は盛りあげ役だったのでしょうか?
福島 僕は良くも悪くも声が大きいので(笑)、やっぱりそういう面で神川(明彦/ユニバーシアード代表監督)さんに最初に目を付けられて、選んでもらったのかなと思います。

――神川監督に対する印象を教えてください。
福島 熱い、本当に熱い男という印象です。毎日のようにミーティングをして、日本代表の誇りと責任を持って戦うこと、内容より結果で示さなければいけないということを常に言われてきました。毎日言われることでそこは徹底してやらなければいけないと、みんな意識付けされて、チームがいい方向に向かったのだと思います。

――今回のユニバーシアード代表は堅守のチームでしたが、その中で福島選手ご自身のプレー面での役割は?
福島 監督によく言われる言葉の中に、「本質を追及しろ」というのがあって、サッカーはゴールを決めることとゴールをさせないことがすごく大事ということなんですが、その中で僕の役割は、GKとしてゴールを守る、点を決めさせないことです。大学でも代表でもどこに行っても、点を決めさせないことが一番大事だと思います。

――敗退した準決勝イタリア戦は、福島選手はベンチで出場機会がありませんでした。どのような心境で見ていたのでしょうか?
福島 PK戦を含め、イタリア戦はベンチで見ることしかできなかったことに対して、自分に対する憤りをものすごく感じました。出場できなかったということは自分に何かが足りなかったということ、それを大会が終わった後にじわじわと感じ始めました。

――その後3位決定戦のブラジル戦では、PK戦でシュートを止めた後、自らキッカーを志願されたと聞きます。その経緯を教えてください。

福島 イタリア戦は神川監督が今までのデータを元にキッカーの順番を決めました。それで負けてしまい、ブラジル戦ではPK戦になった時に監督が「どうする? 俺が決めてもいいし、お前らの挙手制でもいい。悔いのない方を選べ」と言われたので、みんなで話し合って自分たちで選ぼうということになりました。

――PK戦の順番は事前に決めていて、福島選手が決めて勝ったのはたまたまだったのでしょうか?
福島 いや、違います。止めた瞬間に、「俺に任せろ」って言いました。さかのぼれば、今年のデンソーチャレンジカップでPK戦に勝って優勝しているんですけど、その時も僕が4人目を止めて、5人目に蹴って勝っていたんです。その時も5人目は誰か決まっていたんですけど、「蹴らせて」って言って蹴ったんです。

――プレッシャーは感じなかったのでしょうか?
福島 全くありませんでした。蹴るタイミングの時も全然。「ぶちこんでやろう」って。1年8カ月分の想いを乗せて、本気で、ど真ん中に蹴りこみました。

――大会をとおして最も自分の糧になったものを教えてください。
福島 一番自分が印象に残っているのは、準々決勝フランス戦。ラスト10分くらいから攻めこまれる時間が多くて、ロングボールで190センチくらいの選手を全員真ん中に集めて蹴りこんできたんですけど、そこで自分が出ていってハイボールで負けなかったことが、自信になりました。

やるなら一番上でやってみたいと思い、浦和に行くことを決めました



――話は変わりますが、プロを意識し始めたのはいつ頃でしょうか?
福島 高校時代に僕、正直一回あきらめていて、自分の力じゃ無理だなと思って。でも大学で試合に出始めて、大学のGKを見てそんなにすごい選手はいないなと思い始めて、2年生の途中くらいからは、もしかしたら行けるんじゃないかなと考え始めていました。

――大学を経由して良かったと思う点を教えてください。
福島 試合経験を多く積めたのは大きかったと思います。高校時代も3年生からしか出ていなくて、まだまだ試合の感覚が足りませんでした。それから専修大学に入って1年生の頃から試合に出させてもらって、今では結構、試合勘がついてきたと思います。人間性とかもプロでは周りに指導してくれる人は少ないと思うんですけど、大学はまだまだ「部活」というのが土台にあるので、そういう面ですごく勉強になりますし人間的にも成長できたと思います。

――浦和レッズから声がかかったのはいつ頃でしょうか?

福島 最初のきっかけは去年の6月、Jリーグの中断期間に(西川)周作さんがブラジル・ワールドカップに行っていてGKが足りないということで、静岡で行われるキャンプに僕が呼ばれて、評価していただきました。そこからスカウトの方とかが試合に来てくれるようになって、10月か11月あたりに本格的な話になりました。

――浦和での背番号28は自分で希望したものでしょうか?
福島 小野伸二選手(元日本代表/コンサドーレ札幌)が浦和に入団した時と一緒の番号と聞いて、「おお、マジか」って思い(笑)、着けさせてもらうことにしました。

――ポジション争いが厳しい浦和を希望した理由は?
福島 僕が今後どれだけ活躍しても行けるかどうかわからないクラブですし、やるなら一番上でやってみたいと思ったので行くことを決めました。そこの世界を知ることができれば自分のレベルアップにつながる。自分が目指すGK像の中で周作さんはすごく大きな存在で、そんなに上背がなくてもすべてのプレー面においてハイクオリティーで、なおかつ足元の技術も日本一。日々勉強させてもらっています。

――福島選手から見て西川選手のすごいところはどこでしょうか?
福島 技術が誰よりも高いところです。浦和のGKコーチの土田尚史さんは「当たり前のことが当たり前にできるGKがすごい」と言っていて、周作さんはその当たり前のことを当たり前にできる範囲がものすごく広い。キックの質、キャッチングの技術、ポジショニング、すべてにおいてハイクオリティーですね。

――浦和では毎日どのように過ごしていますか?
福島 僕は結構、武藤(雄樹)君とかと絡むことが多く、いろんな話をしています。ウガさん(宇賀神友弥)と武藤くんは流通経済大出身なので大学サッカーの話もしたりします。みんな優しくて、こんなに仲のいいチームあるのかっていうくらい団結力もありますし、締めるところはきちんと締めますし、メリハリがはっきりしていて良いチームだと思います。

――浦和にはかつてユニバーシアード代表のキャプテンとして北京大会に出場し、金メダルを獲得した平川忠亮選手がいますが、何かアドバイスなどは受けましたか?
福島 一度食事をさせていただく機会があって、その時は堀之内(聖/元浦和レッズ)さんもいたんですけど、「韓国や中国は本当に当たりが強い。大学とは雰囲気が全然違うから気をつけろ」というアドバイスをもらいました。

――海外でのプレー願望はありますか?
福島 願望がないわけではないですけど、まだそこは見ていません。やっぱりJリーグでまず試合に出て実績を積むというのが今の一番の目標なので、そこからだと考えています。

――日本代表への想いは?
福島 オリンピック代表に関しては、一回呼ばれてそれ以降呼ばれていないというのは何かが足りないということなので、まだまだ自分の技術やプレーの幅を広げなければいけないというのは常に感じています。その面でも日々の練習からしっかりやって、結果が出てから選ばれるか、選ばれないかの話になるので、まずはそこからやっていきたいです。

――U-22日本代表選手と自分を比べて感じることは?
福島 総合的に言ったら負けているかもしれないですけど、まだあきらめてないです。

――今後の抱負を聞かせてください。
福島 専修大は関東大学リーグで今は下の方ですけど、後期次第では巻き返せる位置にいると思っています。先輩たちが残してくれた4連覇という記録は継続させなければいけないと思いますし、僕らの代で終わるのは心残りになると思うので、やっぱり関東リーグで優勝したいという思いがあります。取れるタイトルはこの先、総理大臣杯やインカレがあるので、やる試合はすべて勝ちたい。そして、チャンスがあればJリーグで、レベルの高いところでやってみたいです。

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