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【対談】流経大DF今津佑太×MF菊池禎晃 伝統継承のために…タイトル奪還を目指す4年生の思い

2017.08.31

「僕たちが卒業したら日本一を経験した選手がいなくなってしまう」

 3年ぶりのタイトル“奪還”へ。9月1日に開幕する第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントに向け、流通経済大学のDF今津佑太とMF菊池禎晃が熱い思いを語った。

インタビュー・文=平柳麻衣

■「ユニバ組が帰ってきてもポジションはない」という意識で(菊池)

[写真]=小林渓太

――まもなく第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントが開幕します。組み合わせの印象はいかがですか?

今津 まずは初戦の2回戦でしっかりと勝つことが大事ですが、近い山に順天堂大学がいるのが気になりますね。どれも簡単な試合ではないですけど、特に順天堂大には今シーズン勝てていないので難しい試合になると思います。でも、優勝するためには通らなければいけない道ですし、早い段階で当たることは悪くないかな。もちろん一発勝負なので実際に当たるかどうか分からないですし、まずは自分たちの勝負強さを証明することに集中して、優勝に近づいていければと思います。

菊池 シード権を取れたことがすごく大きいですね。ユニバーシアード日本代表に入ったメンバーがずっとチームを離れている中で、チームとして「彼らがいないとダメ」じゃなくて、「彼らが帰ってきてもポジションはない」という意識で日々競争しています。それを監督やスタッフも求めているし、ベースができたところにユニバ代表組が帰ってきて上乗せできれば力強いチームになる。一戦一戦、目の前の勝利だけを目指して頑張りたいと思います。

――1年前の今頃は、総理大臣杯に出場することができず、例年と比べてかなり苦しい夏を過ごしたとお聞きしました。

今津 そうですね……(苦笑)。総理大臣杯に出られず落ち込んでいる中で厳しい合宿に臨むのは、精神的にも身体的にも過酷でした。それに比べたら今年は総理大臣杯という明確な目標があるので、僕たちにとっては取り組みやすい環境ですね。

菊池 僕たちが入学してからは全国大会に“出るのが当たり前”で、「全国でどう勝負するか」ということがみんなの頭の中にあったと思います。でも、もちろんそれは当たり前のことではないですし、昨年は改めて関東を勝ち抜く難しさを痛感しました。そういう意味では今年、関東予選を勝ち抜くという目標をみんなで達成できたことは、大きな成果だと思います。

――今津選手は関東予選を兼ねた「『アミノバイタル』カップ2017第6回関東大学サッカートーナメント大会」でケガによる長期離脱から復帰しました。

今津 今年のシーズンオフに半月板のケガをして、当初はユニバに出たかった気持ちもありましたし、流経大で前期リーグ戦からチームの中心としてプレーする姿を思い描いていたので、苦しさや悔しさなど複雑な思いを持ってチームに携わってきました。思っていたよりも時間がかかりましたけど、アミノバイタル杯でやっと公式戦に復帰できてすごくうれしかったし、改めて感じるものがありましたね。ようやく総理大臣杯を見据えられるようになったので、良いパフォーマンスを見せられるように頑張りたいです。

■相手のエースを止めるのは自分の仕事(今津)

[写真]=岩井規征

――総理大臣杯に出場する中で気になるチームはありますか?

今津 個人的には関西学院大学が気になりますね。これまで全国大会で何度も対戦していて、因縁があると思うので。今回も当たる可能性はありますし、もし当たったら一昨年の雪辱を果たしたいと思います。

菊池 僕はやっぱり筑波大学ですね。同じ茨城県のチームですし、筑波大は天皇杯も勝ち残っていて調子が良いので、だからこそ絶対に負けたくないです。

今津 筑波大って世間的に見てブランド力があると思うんですよ。国公立ですし、頭が良くてサッカーも強い。流経大は学力で見ると劣ってしまうと思いますけど、サッカーでは負けない良さを持っていると思います。

――流経大から見た筑波の強さはどんなところだと思いますか?

菊池 一人ひとりの基礎技術が高いです。1本のパス、1つの動き出しで状況をガラッと変えるし、それをみんなが共通理解できている。昨年のインカレで優勝した時から主力がほとんど抜けていなくて、さらにチームが仕上がっているなと思います。

――今シーズンの前期リーグ第4節では3-1で流経大が勝利しています。

菊池 その試合は立ち上がりこそバタバタしていましたけど、前半のうちにリードできて、後半は相手に退場者が出たこともあって優位に進められました。でも、あのまま11人対11人だったらどうなっていたか分からなかったですね。

今津 危ないシーンはありましたけど相手の核となる選手はしっかり抑えられていたし、守備をベースに隙を突いて得点を奪う、という流経大の良さを出せていたと思います。

菊池 筑波大はシンプルにポゼッションがうまいので、一人で飛び込んでも絶対にボールを取れないんです。だから、どこのポイントで取りにいくかをチームとして考えたり、なるべく筑波大にボールを持たせないように、いかに自分たちで保持するかを考えます。

今津 前期リーグを振り返ると、試合の中でのターニングポイントを抑えられたゲームはしっかりと勝てているんですよ。筑波大戦もその一つ。逆にもし、立ち上がりに失点していたら完全に筑波大のペースに持ち込まれていたと思います。

――総理大臣杯で対戦する可能性があるとすれば、決勝戦になります。今津選手といえば「エース封じ」の印象がありますが、筑波大のエース・中野誠也選手(来季ジュビロ磐田加入内定)に対する意識は?

今津 それは呉屋(大翔/関西学院大卒、現ガンバ大阪)さんのマークについていた時のイメージですよね(笑)。でも、やっぱり相手のエースを止めるのは自分の仕事だと思っています。良い意味で相手をリスペクトして食らいつけるところが自分の強みだし、そこがなくなったら何もない選手になってしまうと思っているので。監督もそれを期待してくれているし、それが自分の評価に直結すると思います。筑波大では、中野選手の存在はもちろん気になりますけど、三笘薫選手、北川柊斗選手なども面白い選手ですよね。中野選手を抑えたら違う選手がアタックしてくると思うので、いろいろなパターンに気をつけないといけないです。

――ここからさらにチーム力の底上げをするためにも、今津選手の復調が求められると思います。

菊池 もちろんです。チームが落ち込んでいる時に鼓舞できるのは今津だし、キャプテンの石田(和希)、副キャプテンの守田(英正/来季川崎フロンターレ加入内定)と並んで本当に頼りになる存在なので、ディフェンスラインから声を出して盛り上げてもらいたいと思います。

――逆に、菊池選手に対して期待しているところは?

今津 キクは足下の技術が高くて、攻撃のリズムを作ったり、テンポを変えることができる選手です。スタメンでも途中出場でも、その独特なリズムで攻撃にアクセントをもたらしてくれるところに期待しています。

菊池 まだプレーに波があるところが課題なので、調子が悪い時にも最低限の仕事ができるように、調子が良い時にはチームにとってプラスになるプレーをどんどん見せて、少しでも勝利に貢献できるように頑張りたいです。

――最後に、総理大臣杯への意気込みを聞かせてください。

菊池 絶対に優勝したいです。苦しい試合が続くと思いますけど、スタメン、ベンチ、応援団、スタッフ、見に来てくれる流経大ファンのみんなで一つになって、一つひとつ勝ち上がって、最後にみんなで喜び合えたらいいなと思います。

今津 僕たち4年生が卒業したら日本一を経験した選手がいなくなってしまうので、ここで日本一をもう一度奪取して、「トーナメントに強い流経大」という伝統をつないでいきたいと思っています。そのためにも、どんな形でも良いので今まで経験してきたことをチームに還元して、優勝に貢献したい。今年のインターハイで付属(流通経済大学付属柏高校)が優勝して、本田(裕一郎)先生とかがうれしそうにしているのを見て、自分が日本一を取った高校時代のことを思い出しました。やっぱり改めて日本一って良いなと思ったし、僕たちもその舞台に立てるように頑張りたいです。

流通経済大4年 DF今津佑太(いまづ・ゆうた)
▼生年月日/1995年7月8日 ▼身長・体重/183センチ・77キロ
流通経済大学付属柏高校時代に高円宮杯U-18サッカーリーグ2013チャンピオンシップを制し、日本一を経験。流通経済大では対人や空中戦の強さを武器に1年時から出場機会をつかみ、総理大臣杯やインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)のタイトル獲得に貢献。あふれ出る「気持ち」を活力に、声と迫力あるプレーでチームを引っ張るセンターバック。


流通経済大4年 MF菊池禎晃(きくち・よしあき)
▼生年月日/1995年7月22日 ▼身長・体重/162センチ・59キロ
日章学園高校3年時、全国高校サッカー選手権大会でベスト8に進出。大会優秀選手に選出された。その後は流通経済大に進学。JFLなどで試合経験を積み、最上級生となった今シーズンは関東大学リーグ前期で7試合に出場するなど、タイトル奪還を目指すチームを支えている。足下の技術と意外性のあるプレーで攻撃にアクセントをもたらすMF。


By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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