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スコア以上の接戦をものにした青森山田 高橋壱晟と廣末陸が見せた決定的なプレー

2017.01.06

高橋(左)と廣末の活躍もあり、青森山田はベスト4に進出した [写真]=鷹羽康博、岩井規征

取材・文=平野貴也(提供:ストライカーデラックス編集部)

 互角の立ち上がりから青森山田が先制して主導権を握るが、正智深谷もカウンターで応戦し、見応えのある展開となった。青森山田は後半13分にロングスローをそらしたところへ高橋壱晟が飛び込んで追加点。さらに、右からのクロスが相手に当たるオウンゴールで3点差として勝利を決定づけた。それでも正智深谷の反撃は止まらず、後半33分に右CKの流れから田村恭志が1点を返して猛攻。耐え抜いた青森山田が逃げ切りに成功した。

 プロへ行く選手が、格の違いを見せた一戦だった。堅守速攻でプレミア王者を迎え撃った正智深谷のチームパフォーマンスは、かなり高かった。青森山田のMF郷家友太が「(先制点で)試合の流れを取れていなかったら、どうなるかわからない試合だった」と話したように、試合は互角に近い内容だった。それでもスコアに差がついたのは、青森山田が誇る2人のプロ入り内定選手のプレーによるところが大きかった。

 ジェフユナイテッド千葉へ加入するMF高橋壱晟は、1ゴール1アシストの活躍だった。右サイドの深い位置から丁寧なクロスで先制点を演出。後半は、ロングスローを頭でそらしたところへ飛び込んで左足ボレーで追加点を奪った。青森山田の黒田剛監督は「ここから先は、多くのチャンスは作れない。1発のボールできちんと決め切ることが大事。逆に言えば、たった1本のフィードやリスタートに、相手も良い形で入って来る。一瞬に神経を使っていかないと明暗を分ける。高橋は、流れが悪い中でもサイドを変えるなど試合をコントロールしようと落ち着いてやってくれた」と苦しい試合の中で決定的な仕事をやってのけた背番号10を称えた。

 もう1人は、FC東京に加入するGK廣末陸だ。スコア上はリードしながら、正智深谷のスピードと気迫に押される時間も少なくなかったが、最小失点に抑えた。まだ1点のリードだった後半開始早々には、正智深谷のMF谷口瑛也との1対1をきっちりとセーブ。相手の猛反撃の時間を終了間際だけにとどめることに成功した。

 玉城裕大、西澤悠人、新井晴樹の快速3トップを前線に並べた正智深谷の青森山田対策は十分に効いていたため、早々に追いつかれていれば試合の展開は大きく変わっただろう。スコア以上の接戦だっただけに、勝つために仕掛けなければいけない時間、耐えなければいけない時間で決定的なプレーを見せた2人の存在は特に際立っていた。高円宮杯U-18プレミアリーグチャンピオンシップに続く全国2冠を成し遂げるためには、やはり2人の活躍が欠かせない。

(試合後コメント)
青森山田
黒田剛監督
思った以上に選手の体が重く、疲労が見えた。無失点優勝を目指して来たけど、失点もしてしまった。ただ、プレミアリーグを通してやってきた警戒心や危機感、継続力が少し緩んだ瞬間が見えたけど、選手もよくわかっていたので、良い教訓、刺激をもらいながら次の試合に向かえることをポジティブに捉えてやっていくしかない。

郷家友太
勝ったけど、(鳴海)彰人さんのゴールで試合の流れを取れていなかったら、どうなるかわからない試合だった。ロングスローは、前の試合も同じような形で点が入っているので、練習してきて良かったと思う。

正智深谷
小島時和監督
前線の3枚にスピードのある選手を置いて、相手のロングパスからボールを奪い取って(素早く)前線に入れることを狙うぞという話をしていて、プランどおりにできていた。ただ、相手は点の取り方が上手だった。警戒していた形なのに得点してくるあたりは(プレミアリーグの)チャンピオンチームだなという印象。0-1で行けばチャンスはあるという話をしていたが、警戒していたロングスローでやられてしまった。アンラッキーな3点目が重くのしかかってしまった。

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