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目標は「FC東京に戻ること」…明治大のルーキー安部柊斗が大一番で堂々の大学デビュー

2016.07.05

攻守において好プレーを見せた安部 [写真]=梅月智史

 これまで数多くの名選手をプロの世界に輩出してきた明治大学から、また新たに注目の新星が出てきた。栗田大輔監督は、「将来が楽しみな逸材が出てきた」と好感触を示した。

 明治大は、3日に行われた「アミノバイタル」カップ2016第5回関東大学サッカートーナメント大会(兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選)の3位決定戦で国士舘大学と対戦し、2-0で勝利。順位を決する大一番で先発に抜擢された1年生MF安部柊斗が、「使うことを楽しみにしていた」という指揮官からの期待に応える好パフォーマンスを見せた。

 今季、FC東京U-18から明治大に進学した安部。中学時代からのチームメートである佐藤亮や、東福岡高校出身の中村健人ら同学年の仲間がリーグ戦で早々に大学デビューを果たす中、悔しさをバネに日々、真摯にトレーニングに取り組むことでアピールを続けてきた。

「他の1年生がリーグ戦に出ている中、自分はずっと応援席から見ていて、『何でだろう』と思うこともあった。でも、その気持ちが練習からしっかりやるということにつながった。そういう姿を監督やスタッフがしっかり見てくれたんだと思う」

 スタメンでの起用を告げられたのは、前日に行われた準決勝、早稲田大学戦の試合直後だった。「監督から『準備をしておけ』と言われていたので、どうしたら自分のプレーが出せるか、どれだけ攻撃に関われるか考えたりした。出たらやってやろうという気持ちは強かった」

 主将の4年生GK服部一輝から「柊斗は肝っ玉が据わっているタイプ」とお墨付きがあるとおり、デビュー戦ではルーキーとは思えぬ堂々としたプレーで攻守に絡み、ハードワークを続けた。攻め込む展開となった前半は、19分に中盤からドリブルで持ち上がり、ペナルティーエリア内でシュートを放つなど、機を見てチャンスを演出。酷暑の中での連戦の影響で両チームの運動量が落ちた後半は、前線に効果的なパスを配給しつつ、中盤のスペースを埋めて相手のカウンターの芽を摘んだ。

 安部自身は「パスミスが目立ったし、まだまだ球際に行くべきところはあった」と振り返った。だが、指揮官はそのプレーぶりを高く評価した。「持ち味の運動量だけでなく、ゲームを作る力も守備力も見せてくれた。イメージしていたとおりの良いプレーだった」

 入学から4カ月目で上々の大学デビューを飾ったが、明治大でレギュラーの座を獲得することは簡単ではない。明治大は今大会、5試合で26人を起用するターンオーバーを採用しながら3位入賞を果たしており、選手の実力差は拮抗している。

 栗田監督は言う。「明治大の紫紺のユニフォームを来てプレーすることの重みは、試合に出て経験を積むことでしかわからない」。その意味では、多くの選手を起用しながら成果を残した今大会での収穫は大きい。安部も「このユニフォームを着るからには、明治の誇りとプライドを持ってやっていきたい」と口にした。これから月日と経験を重ねることで、その言葉の意味をより深く認識するようになるはずだ。

 明治大での活躍が、プロや日本代表への道につながることは、OBの長友佑都(インテル)や室屋成(FC東京)が証明してくれている。将来の目標について、「一番はFC東京に戻ること」ときっぱりと表明した安部。「今日のように試合に出てアピールできるよう、また練習から継続してやっていきたい」。大きな可能性を秘めた東京オリンピック世代の一人が、4年後の飛躍に向け、一歩前進した。

文=平柳麻衣

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