2016.01.01

選手権初出場で名門・四中工を撃破した明秀日立…勝敗を分けた心理的準備の差

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2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 物怖じせず、伸び伸びと戦い抜いた。名門・四日市中央工業高校との1回戦に臨んだ初出場の明秀日立高校。ネームバリューでは歴然たる格差がある相手。「正直、(組み合わせが)決まったときはビビってしまいました」(MF小磯克文)のも無理はない。だが、フタを開けてみれば、“らしさ”を出しきったのは明秀日立のほうだった。

「ホントどうしたんかなというのが正直なところ。長いこと(選手権に)来させてもらっていますが、自分たちのやろうとしていることが何もできずに終わったのは初めて」(四中工・樋口士郎監督

 ベテラン指揮官も首をひねる戦いぶりだった。立ちあがりから守備の連係が乱れてそれが動揺を生み、その動揺が新たなミスを誘発してしまうような悪循環。「声すら出ていない状態」(樋口監督)に陥っていった。対照的だったのは明秀日立の戦いぶりだ。「相手が格上」とあえて強調した萬場努監督は、そのうえで「行けるところまで全力で行け」と立ちあがりからの全力プレーを指示。その言葉どおり、チャレンジャー精神にあふれた状態でピッチに立った選手たちは、熱く激しく、そして走るプレーで四中工に対抗していく。試合に臨むまでの心理的準備で一歩上をいったことは明らかだった。

 それでも前半の5分、10分、11分と立て続けに生まれた決定機を明秀日立が逸し、19分に四中工がMF小林颯のヘッドで先制したときは、これで四中工が落ち着きを取り戻すかに見えた。だが、25分の決定機をGK宮田英幸が防いだのが大きく、追加点は許さない。すると前半終了間際の39分、明秀日立MF伊藤駿介の果敢な突破で左サイドを破って折り返すと、これにFW本田光が合わせて同点ゴール。この1点が両チームの心理面に与えた影響は大きかった。

「0-1でもいいと思っていた」(萬場監督)明秀日立にとって、同点ゴールは大きかった。シナリオは明快。後半の立ちあがりは慎重に入って、まずは県予選決勝でも結果を残したスーパーサブ、MF小磯を投入。その小磯が73分に期待どおりのゴールを決めると、最後は5バックに切り替えて守備を徹底。それでもこじ開けて好機を作った四中工はさすがの地力だったが、最後は体を張って守り抜く明秀日立のひたむきさが勝った。

「ファイティングスピリット、フィジカル、走力、そして運動量」。萬場監督が語るチームの強みはシンプルそのものだったが、それを物怖じせずに押しだせたメンタル面のマネジメントと確かなゲームプランが、名門を下す原動力となった。

文=川端暁彦、写真=鷹羽康博

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