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【インハイ注目選手】未曾有の連戦を経験した山梨学院大学附、キャプテン山中登士郎が決意「這い上がる」

2014.07.07

山梨学院大学付属のDF山中登士郎【写真】=安藤隆人

 この2週間は山梨学院大学附属サッカー部にとって、『総力戦の2週間』だった。

 事の始まりは、6月22日にインターハイ予選決勝・帝京第三戦と、天皇杯山梨県予選準決勝・山梨学院大ペガサス戦の日程が重なったことだった。すでに地元開催のインターハイ出場は決めていたが、山梨ナンバーワンを懸けた戦いと、天皇杯予選が重なるという局面で、吉永一明監督は『両方とも獲る』という目標を掲げた。

 天皇杯予選はBチームで、インターハイ予選決勝はAチームで臨んだ結果、帝京第三を1-0で下し、優勝を果たすと、Bチームも山梨学院大ペガサスを1-0で下し、決勝進出を果たした。一週間後の6月29日には、今度は天皇杯予選決勝とプリンスリーグ関東の試合がバッティング。県代表を決める重要な決勝戦だが、プレミアリーグ昇格を狙うチームとってプリンス関東も落とせない試合。同じ陣容で挑み、Aチームは國學院久我山に2-1で勝利し、Bチームも韮崎アストロスを3-1で退け、2つのチームで計4連勝を飾った。

 しかし、バッティングはこれでは終わらなかった。7月5日、今度は天皇杯1回戦の明治大戦と、プリンス関東第7節の川崎ユース戦がバッティングをしてしまったのだ。

「天皇杯は全国大会。しかも県代表として出場しているし、場所は地元の中銀スタジアムで相手は格上の明治大。かといってプリンスも大事な試合……。どういう編成で挑むべきか……」

 さすがに全国大会との天秤は、吉永監督の頭を悩ませた。そして下した結論は、「県代表として恥ずかしい試合は出来ない」(吉永監督)と、主軸の大半を明治大戦に出場させ、川崎ユース戦は主力3人を送り込む形で挑んだ。

 川崎ユース戦でチームを託されたのは、チームの主軸でキャプテンのDF山中登士郎だった。

「吉永監督から『そっちは任せたぞ』と言われ、絶対に勝つつもりで臨んだ」

 しかし、結果は思わぬ大敗だった。右サイドバックの山中は、必死でチームメイトに檄を飛ばしたが、前半15分、20分とあっさりと失点したことで、リズムを失い、前半だけで4失点。後半、メンバーを代えて、何とか立て直したが、もう1失点を喫し、0-5。天皇杯組も明治大に0-2で敗れ、3回目にして初めて両方とも敗れる結果となった。

「ずっと両方とも結果が出ていたので、どこかで気のゆるみがあったと思う。みんなの中で『今日もいけるんじゃないか』という甘い気持ちがあって、それが形となってしまったと思う」

 試合後、山中は唇をかんだ。しかし、この負けはある意味、チームをもう一度引き締めるいい機会となったと、彼は受け止める。

「気の緩みに気付けなかった自分にも凄く悔しいけど、これが自分たちの実力だということがはっきりと分かった。でもあっちは天皇杯のレベルの高い試合を経験できたし、僕らも緊迫した公式戦を戦うことが出来た。両方とも結果が出なかったけど、こういう経験を出来たチームは他にないと思う。この2敗を機に崩れていくのか、それとも糧にして這い上がっていくのか。負けたことは反省すべきだけど、自信を失わず、この経験をウチの強みにしていけばいいと思います」。

 総力戦で戦い抜いた2週間。歓喜と落胆の両方を味わったが、この経験によってチーム全体の経験値は格段に上がったことは間違いない。あとはそれをどう、力に変えていくか。

 1か月後にはインターハイが地元・山梨で開催される。地元でさらに成長した姿を見せるためにも、山中を中心とした山梨学院大学附属サッカー部全体の力が試される1か月となる。

文=安藤隆人

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