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プリンス関東首位の桐光学園、鈴木監督のメッセージは『タフに戦え』

2014.05.07

【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 横浜FMユース、FC東京U-18、大宮ユース、浦和ユース、そして前橋育英など、全国屈指の強豪がひしめき合うプリンスリーグ関東。高円宮杯プレミアリーグに匹敵するほどのレベルの高いこのリーグにおいて、4試合を3勝1分けの無敗で首位を走っているのが桐光学園だ。

 中村俊輔、藤本淳吾(共に横浜FM)、田中裕介、福森晃斗(共に川崎)といった多くのJリーガーを世に輩出した名門は、昨年高円宮杯プレミアリーグイーストを戦うが、降格の憂き目にあった。だが今年、1年での『返り咲き』を狙って、好スタートを切っている。

 今年のチームは特出したタレントがいるわけではない。しかも、昨年は1年生ストライカーとして、前線に君臨していた小川航基が負傷離脱し、大きな痛手を負っている状態であった。

 しかし、「レギュラーも固定せず、試行錯誤の中でやってきているけど、絶対的なレギュラーがいない分、チーム内競争は激化している」と鈴木勝大監督が語ったように、小川の離脱により、チーム全体で戦わないといけない意識が浸透し、1,2年生が出場機会を得ていく中で、3年生も刺激を受けて徐々に逞しさを増してきている。

 4-2-3-1の布陣において、184㎝の高さとキック力に優れた東海林隼介と、カバーリングに秀でた井上瑠寧のCBコンビがDFラインを統率し、182㎝の左サイドバック・堀内凜太朗も対人に強く、セットプレーでは攻守両面で効力を発揮する。ボランチはナンバー10の大谷晃平がバランスを取り、左MFには突破力の光る2年生・曽木友樹が、トップ下は運動量のある有馬侑希と2年生・安田光希らが争う。そして、小川のいない1トップには、2年生のイサカ・ゼインが高い身体能力と運動量を駆使し、攻守において献身的な動きを見せている。さらにMF西川公基、DF星野智博、ダビナス・ジェファーソンといった、頼もしき1年生が徐々に頭角を現しており、チームに刺激を与えている。

 開幕戦で勝利を収めると、唯一の引き分けとなった第2節の國學院久我山戦では、1-1で迎えた後半立ち上がり早々の50分、DF佐藤正明が退場し10人に。数的不利の中、一度は2-1とされるが、終了間際に執念で追いついてみせた。第3節では川崎ユースを2-1で下すと、第4節の浦和ユース戦は、堅い守備で相手のリズムを奪うと、2本のセットプレーを堀内がいずれもヘッドで押し込む。後半に入っても相手にリズムを与えず、82分にはイサカが待望のリーグ初ゴールを、GKの股を抜く鮮やかなシュートで決め、3-0の完勝を飾った。

「競争の中でその都度、ベストなチョイスが出来ている。『タフに戦え』というメッセージに対し、しっかり反応してくれる選手が多い。小川が復帰してくれば、もっと面白くなるかもしれない」(鈴木監督)

 指揮官の思いに応え、逞しさを見せている桐光学園。小川が復帰する夏までに、どこまでチーム力を高められるか。それが目標であるプレミア返り咲きと、冬の選手権での躍進へと繋がっていく。

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