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プロ入りも十分に狙える逸材 星稜の2年生ボランチ・鈴木大誠 真面目で、素直な性格もプラス要素

2014.01.08

[写真]=鷹羽康博

文=安藤隆人

 星稜の2年生ボランチ・鈴木大誠。182センチの長身と屈強なフィジカルを誇り、高い守備センスと空中戦の強さ、キック力を誇る彼は、間違いなく今大会の2年生の中でも、トップクラスの能力を持つ。個人的にはプロ入りも十分に狙える逸材だと思うし、何より真面目で、素直な性格もプラス要素だ。

 彼の本音は「CBをやりたい」。もともとCBだったが、展開力と高い守備力を買われ、今年からボランチで起用されている。新しいポジションでも、彼はその才能をしっかりと発揮している。

そして、彼は人の話をしっかりと聞く耳を持っている。3回戦の玉野光南戦で、ビルドアップを怠ってしまったシーンがあった。試合後にそれを指摘すると「あ、あそこですね。はい、あそこは僕が行っていれば、局面が良くなっていました……。ああいうところで差が出てしまうんですよね、ありがとうございます」と答えた。

 準々決勝の修徳戦では、その反省を踏まえての彼のプレーを見ることが楽しみだったし、本人も「修徳はロングボールが多いので、僕の見せ場(=空中戦)が増えるので楽しみ」と語っていた。

 しかし、試合当日のスタメンから、彼は外れていた。「3回戦の後に急性腸炎になってしまって、昨日の練習に出ていないんです。今はもう治りましたけど、やっぱりスタメンからは漏れちゃいました」と、申し訳なさそうに試合前に話した。

試合は苦しみながらも0-0の末にPK勝利し、チームは2年連続の国立進出を手にした。最後までベンチで試合を見つめた彼は「悔しかった。勝ってうれしい気持ちと、やっぱりピッチに出たいという気持ちで、凄く複雑でした」と語ると、「(代わってボランチ出場した)平田(健人・2年生)が相手の10番をしっかりと抑えていたし、次は自分が出られるとは限らない。でも、準決勝まで1週間あるので、もう一度試合に出られるように、イチからやり直したいと思います」と、引き締まった表情を見せてくれた。

 もしかすると、彼はこの危機感を持った瞬間に、成長の階段を1段上ったのかもしれない。経験が、意識が人を大人にしていく。その瞬間を見たようで、私は凄く嬉しい気持ちになった。あとは、その成長の跡をこの1週間、国立のピッチで見せてくれることを期待したい。

鈴木大誠。彼はまだまだ伸びる。そう確信している。

文=安藤隆人

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