2019.06.14

自国開催で9度目の優勝へ…ブラジルのライバルは?【コパ・アメリカ2019/グループA】

コパ・アメリカ グループA(左上から時計回りにブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア)[写真]=Getty Images
海外サッカー専門誌の編集を務めた後にフリーとなり、ライター、エディター、スペイン語の翻訳&通訳、フォトグラファーとマルチに活動を展開中。

 一言で表すなら「開催国ブラジルを勝ち上がらせるためのグループ」。純粋なチーム力だけで判断すればブラジルが抜きん出ている。同居するのはペルー、ベネズエラ、ボリビアという3チームだが、 2004年ペルー大会から2015年チリ大会では開催国がなぜか毎回のようにボリビアやベネズエラと同じグループに入っており、開催国が初戦でボリビアと対戦する可能性も、なぜか非常に高い(2007年はベネズエラ大会で、ベネズエラは初戦でボリビアと対戦した)。今回もその流れをくむように、ブラジルは初戦でボリビアと対戦することとなった。

 南米の中では最弱国とみなされるボリビアは開催国を勢いに乗せるための格好の相手と言えそうだが、そんなボリビアが初戦で意外なほどの善戦を見せるのもコパ・アメリカの風物詩の一つ。2004年はペルーに2-2、2007年はベネズエラに2-2、2011年はアルゼンチンに1-1と、いずれも初戦で開催国に引き分けている。今回の対戦では、普通に考えればブラジルが完勝するはずだが、油断すると足をすくわれ、その後の試合に影響が出る可能性もある。

ブラジルのエース、ネイマールはテストマッチで負傷し、大会不参加が決定した [写真]=Getty Images

 優勝が至上命題のブラジルは当初はフルメンバーをそろえたが、エースのネイマールは素行面の問題からキャプテンの座を剥奪され、大会直前には左膝を痛め、女性スキャンダルが噴出した挙句、直前のカタールとのテストマッチで右足首の靭帯を断裂し、欠場することとなった。代役として急遽、招集されたウィリアンはネイマールのように独力で多くのゴールを決められる選手ではなく、得点力の面で大きな期待は持てない。また、守護神アリソンと前線のファーストチョイスであるロベルト・フィルミーノは6月2日にチャンピオンズリーグ決勝を戦ってからの合流となっており、コンディション、メンタルの両面で不安があることは否定できない。

 ポジティブなデータを挙げるとすれば、ブラジルは過去に4回(1919年、1922年、1949年、1989年)、開催国となっているが、そのすべてで優勝しているという点だ。自国開催のコパ・アメリカでは必ず優勝するというジンクスを守り、通算9度目の南米制覇を果たせるかどうか。

ブラジル開催となった過去4回のコパ・アメリカは全てブラジルが優勝している(写真は1989年大会) [写真]=Getty Images

 ブラジルの対抗馬になり得るのはペルーとベネズエラだろう。ペルーは2016年の100周年記念大会でもブラジルと同グループに入り、第3節で対戦。ラウール・ルイディアスの“神の手”ゴールで1-0と勝利し、ブラジルをグループステージ敗退に追い込んだ。2011年大会、2015年大会では3位に入り、昨年のロシアW杯にも出場するなど近年の国際大会で実績を残しており、2000年代初頭の低迷期を脱しつつある。大黒柱のパオロ・ゲレーロはロシアW杯後、ドーピング違反により出場停止となっていたが、4月に処分が解除されて復帰。しかもブラジル国内のクラブでプレーしているため、コンディションは万全だろう。ジェフェルソン・ファルファンやクリスティアン・クエバ、アンドレ・カリージョら前線のタレントは豊富で、大会のダークホースになり得る存在だ。

 ベネズエラは2016年に就任したラファエル・ドゥダメル監督の下、若い選手を育てながら着実なチーム強化を進めている。今年3月には親善試合ながらリオネル・メッシを擁するアルゼンチンを3-1で下すなど、強豪とも互角の戦いを演じられるようになりつつある。今大会の招集メンバーを見ると、トマス・リンコンサロモン・ロンドンといった常連に加え、2017年のU-20W杯で準優勝を経験したアダルベルト・ペニャランダヤンヘル・エレーラといった若手も名を連ねている。この大会ではもちろん決勝トーナメント進出や2011年大会の4位を上回る成績を目指しているはずだが、その中で若手に経験を積ませることができれば、将来に向けての大きな投資となるはずだ。

ベネズエラはお馴染みの中心選手に加え、有力な若手も名を連ねた(左からリンコン、ロンドン、ペニャランダ、エレーラ) [写真]=Getty Images

 ボリビアについては、初戦では引き分けることが多いものの、近年の成績を見る限り、グループステージ突破は厳しいと言わざるを得ない。当初はセサル・ファリアス暫定監督を正式監督に昇格させるはずだったが、今年1月に急遽、方向転換をしてエドゥアルド・ビジェガス監督を招聘するなど強化策は一貫性を欠いており、直近の親善試合でも結果を残せていない。善戦は期待したいところだが、決勝トーナメント進出は難しいミッションとなるだろう。

文=池田敏明

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