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「彼こそ真のヒーロー」…ブラジル人FW、インフルエンサーの義母を連れてウクライナ脱出に尽力

2022.03.09

ヴォルスクラ・ポルタヴァに所属するランゲルが、人命救助に貢献 [写真]=Getty Images

 ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、ウクライナのポルタヴァをホームタウンとするヴォルスクラ・ポルタヴァ(ウクライナ1部)に所属するブラジル人FWルーカス・ランゲルの行動に注目が集まっている。8日に、イギリスメディア『BBC』が報じた。

 現在27歳のランゲルは、2021年8月にヴォルスクラ・ポルタヴァに加入。今シーズンはここまで、ウクライナ・プレミアリーグで12試合に出場し、4ゴール1アシストを記録していた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、身の危険を感じたランゲルはポルタヴァからの脱出を試み、ポーランドとの国境を目指したという。

 そんなランゲルの携帯電話に、世界中を旅するブラジル人インフルエンサーのアンデルソン・ディアス氏から連絡が入る。インスタグラムのフォロワーが140万人以上いるディアス氏にはウクライナ人の義母がおり、国外に脱出させる手立てを求めてランゲルに接触した模様だ。

「ある人がルーカス(・ランゲル)のことを話してくれて、電話番号を教えてくれたんだ。そして、ルーカスはすぐに協力してくれた。彼こそ、この物語の本当のヒーローさ」

 メッセージを受け取った時、ランゲルはディアス氏の義母が取り残されていた場所の近くを偶然通りかかっており、その後無事に義母と合流。ウクライナを脱出し、義母は現在ポルトガルのポルトにいるようだ。義母は、アメリカに滞在しているディアス氏のもとに向かうため、ビザの承認を待っているという。

 一方、母国のブラジルに戻り、故郷のアウボラーダで家族と一緒に過ごしているランゲルは「正しいことをしたまでだ。一瞬たりとも迷ったりはしなかった」と語る一方で、移動途中の緊迫した状況を明かした。

「車のバックミラーに戦車が映っているのに、どうして気が休まるだろうか。あんなことを経験するとは思ってもみなかった。僕たちは戦争映画を見て、時には泣くことだってある。でも、現実はまったく違う。泣く余裕もないくらい強烈な体験だった」

『BBC』によると、昨年からプレーしているウクライナの地を離れたいと考えているランゲルのもとには、すでに他の国のクラブからオファーが来ている模様。最も高額なオファーを提示したのはカザフスタンのクラブだったようだが、ランゲルは断りを入れたと明かす。

「政治的に複雑な状況にある場所でのプレーはね……。もう二度と戦争なんて経験したくないんだ。少なくとも、この人生ではね」

By サッカーキング編集部

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