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浮き彫りになったなでしこの弱点…求められる試合巧者への変貌とつなぐ勇気

2015.06.13

カメルーン戦に臨んだなでしこジャパン [写真]=FIFA via Getty Images

文=江橋よしのり

 カナダで開催されている女子ワールドカップのグループステージ第2戦、なでしこジャパンはカメルーンに2−1で勝利した。また同日にスイスがエクアドルに10-1で勝ったため、なでしこジャパンのC組2位以内が確定した。

 序盤は完全になでしこのペース。6分に近賀ゆかり川澄奈穂美のコンビで右サイドを崩すと、逆サイドから走り込んだ鮫島彩が決めて先制。17分には変化をつけたCKから菅澤優衣香がヘディングシュートを叩き込み2-0。GK海堀あゆみを除く今大会初先発の4人が全員得点に絡むという幸先のよいスタートを切ったなでしこに、大量得点の期待が寄せられたが、これ以降のシュートはなんとわずか1本。逆にカメルーンに20本のシュートを浴びせられ、終盤は4日前のスイス戦同様、防戦一方となった。

「一番の課題は、2試合続けて後半に思うようなプレーができなかったこと」とはキャプテンの宮間あや。ドリブラーに対する守備が脆く、カウンターへの対応が苦手ななでしこの弱点が浮き彫りとなった。

 改善すべき点は、ボールを奪い返した後のパスのつなぎ方にある。阪口夢穂の言葉を借りれば、この日のなでしこは「パスをカットされてカウンターを受けはじめてから、私も含めてみんなボールを受けるのが怖くなった。みんなの立ち位置が一歩ずつ悪くなった」。自陣からでもショートパスをつないで、時にはGKまでボールを下げてでも、マイボールの時間を長く保ってジワリジワリと前進して行ければよかったのだが、相手に前を向いた状態でボールを奪われることを怖れすぎたためにロングボールに頼ってしまった。その結果、前線が孤立してボールを奪われ、再びカウンターを浴びるというパターンが繰り返された。なでしこは自らの試合運びのミスによって、相手を勢いづかせてしまったのだ。

 宮間は「私たちの判断力や技術をもってすればできることなのに、できていないと感じた。共通意識を多く持つことだったり、それぞれがもう少し余裕を持ってプレーすることだったり、改善できることはたくさんあると思います」と、この試合を振り返る。

 守備の弱点を今から短期間で強化することは、おそらく難しい。決勝トーナメントでは、弱点が露呈しないように試合運びを工夫すること、つまり攻撃時の選手同士の距離感を修正して、臆することなくパスをつなぐことが求められる。

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