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【データで見るW杯】PK戦は先行チームが9連勝中…PK最強国はドイツで勝率は驚異の100%

2014.07.01

決勝トーナメント1回戦のブラジル対チリ戦では、ジュリオ・セーザルが2本のPKをストップし、ブラジルを勝利に導いた [写真]=Getty Images

 FIFAがワールドカップにPK戦を導入したのは1978年大会から。初めてのPK戦は、1982年大会の西ドイツ対フランス(5-4で西ドイツ勝利)だった。それから前回の2010年南アフリカ大会までに、22回のPK戦が行なわれてきた。

 そして今大会。ベスト16の舞台では、すでにブラジル対チリ、コスタリカ対ギリシャの2試合がいきなりPK戦までもつれこんだ。ラウンド16で複数回のPK戦が行なわれたのは史上初で、今後もPKで決着を見る接戦が増えるかもしれない。そこで、ここでは英『BBC SPORT』が公開したデータを参考に、PK戦が少しおもしろくなるデータを紹介する。

■PK決着の試合は全体の18.6%

まず、1978年大会から前回の2010年大会まで、トーナメント戦118試合のうち、延長戦になった試合は38試合(32.2%)。そしてPK決着だったのは22試合(18.6%)。

 延長に突入したゲームのうち、PK戦になった試合は57.9%で、実に半分以上がPK戦にもつれこんでいる、両チームとも疲労困憊の中で行なわれる30分間の延長戦は、試合が動きにくいようだ。

■PK成功率は70.6%。5本に1本はGKがセーブ

 ワールドカップのPK戦において、前回大会までの22試合で蹴られた本数は204本。うち成功は144本で、成功率は70.6%だ。

 失敗60本のうち、「枠外(ポストとバー含む)」は19本で、全体の9.3%。うち、ポストやバーに触れず完全に枠を外れたのは8本で、1994年大会決勝でバーの上に飛んだ有名な1本、イタリアのロベルト・バッジョが蹴ったキックも、ここにカウントされる。

 そして、GKによるセーブが41本で20.1%。つまり、5本に1本はGKがストップしている計算だ。

 今大会を見ると、19本中成功は12本(63%)で、GKセーブはブラジルのジュリオ・セーザル(2本)と、コスタリカのケイラー・ナバス(1本)で計3本となっている。

■「外せば負け」の場面は成功率44%

 キッカーにとって、PKはやはり「メンタル」がモノを言う。状況別の数字を見ると、それは一目瞭然だ。前回大会までの204本の中で、「決めれば勝ち」の場面で蹴られたシュートの成功率は93%だが、逆に負の重圧がかかる「外せば負け」の場面では44%と半数以下となっている。この数字を見れば、今大会のブラジル対チリで最後にPKを失敗したゴンサロ・ハラに掛かっていた重圧を少しだが想像できる。

 さらに、正規の10本(先行5本と後攻5本)の中で最も成功率が低いのは全体の8本目(55%)。つまり「後攻チームの4本目」で、このキッカーに重圧が掛かる場面が多いことがわかる。

 今大会のコスタリカ対ギリシャでも、後攻4人目に登場したギリシャのテオファニス・ゲカスが失敗し、次のターンでコスタリカのマイケル・ウマニャが決めて勝負が着いた。

■「先攻」チームが9連勝中

 また、コイントスで決める「先行」、「後攻」で言うと、「先行」が優位というデータも出ている。今大会の2試合を含む過去24戦のうち、先行チームが勝ったのは15試合で、勝率は62.5%。

 さらに、今大会の2試合を含み、ワールドカップでは「先行」チームが目下9連勝中。「後攻」チームが最後に勝ったのは2002年大会のスペイン(対アイルランド戦)まで遡る。前回大会でパラグアイに破れた日本代表もやはり「後攻」だった。

■PK戦最強国はドイツ

 最後に、今大会のベスト16に残ったチームのPK戦成績を見ておこう。

 今回のベスト16でチリ、コスタリカ、ギリシャが初のPK戦を経験し、“未経験国”はコロンビア、ナイジェリア、アルジェリア、アメリカの4カ国(ナイジェリアとアルジェリアはPK戦までもつれずに敗退が決定)。

 反対に、最もPK経験が豊富な国は、ドイツ、アルゼンチン、フランス、そして今回もさっそくPKを戦ったブラジルで4回。うち、ドイツは勝率100%、過去18本中17本成功(94.4%)と、世界一の勝負強さを誇っている。

 その一方で、この中で最もPKに苦い思い出があるのはスイスだろう。2006年大会のベスト16でウクライナとのPK戦に臨んだ彼らは、3本蹴って全てを失敗し、敗退に追いやられている。

 ちなみに、複数回のPK戦を戦った国で、歴代最も成功率が悪いのは「PK弱小国」としてお馴染みのイングランド(14本中7本成功=50%)で、3戦3敗と一度も勝ったことがない。残念ながら今大会はグループリーグ敗退という結果に終わったため、その雪辱を晴らすチャンスは次回以降にお預けとなっている。

(記事/Footmedia)

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