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出産を経て挑む東京五輪…アメリカ女子代表FWモーガン「妊娠前よりも強くなった」

2021.07.20

出産を経て3度目の五輪に臨むモーガン [写真]=Getty Images

 アメリカ女子代表FWアレックス・モーガン(オーランド・プライド)が、ママとして臨む東京オリンピックに向けて意気込みを語った。FIFA(国際サッカー連盟)の公式サイト『FIFA.com』が19日に伝えた。

 現在32歳のモーガンは、長らくエースとしてアメリカ女子代表をけん引。2012年のロンドン・オリンピックでの金メダルや2015年と2019年のワールドカップ連覇などに貢献してきた。

 2019年には夫のアメリカ人MFセルヴァンド・カラスコとの間に第1子となる女の子を妊娠し、2020年5月にチャーリー・エレナちゃんを出産した。新型コロナウイルスの影響もあり、2019年8月を最後に試合から遠ざかっていたが、2020年9月からイングランドのトッテナムにレンタル移籍し、同年11月に約15カ月ぶりとなる公式戦復帰を果たした。

 代表レベルでは2019年7月に行われたワールドカップ決勝のオランダ戦以降、ピッチから遠ざかっていたが、2020年11月に行われた国際親善試合のオランダ戦で復帰。今年2月に開催された2021 SheBelieves Cupにも出場し、東京五輪代表メンバーにも名を連ねた。

 モーガンは『FIFA.com』のインタビューで自身の調子やコンディションについて、「今はとても調子がいいです」とコメント。「個人的にもチーム的にもいい状態にあると思う。2019年に優勝を経験したあと、また主要国際大会で戦えることが楽しみです。2012年に金メダルを獲得してから9年が経ったので、このチームの多くの選手が五輪での成功を経験していない。それは大きなモチベーションです」と大舞台を見据えた。

 本来なら東京五輪が開催される2カ月前の出産だったため、大会欠場の可能性が高かった。だが、五輪が1年延期したことで、モーガンは万全の状態で大会に臨む。「私にとっては、(妊娠と出産から)体を完全に回復させ、娘とたくさん素晴らしい時間を過し、時間をかけてピッチに復帰できる特別な機会だった。パンデミックが発生して恐ろしい時期だったけど、誰もがピッチから遠ざかっていたときに、家で夫や娘と過ごし、東京五輪に向けて調整できたのは間違いなく救いでした」

 妊娠・出産を経験したことで選手として心身ともに変化を遂げた。「出産後に復帰したときは、『サッカーが大好きでなければ、ピッチにいる意味はない』と考えていた。家族と離れて過ごすのなら、自分のやっていることが好きである必要があった。幸いなことに、32歳の今でも毎日ピッチに立つのが大好きで、残されたキャリアの時間をできるだけ使いたいと思う。

「(出産を経て)私の体は変わったと思う。出産前より身体的には強くなり、調子もいいと感じている。ジムやトレーニングでより力を入れて取り組んでいるわけではないので、不思議なことで説明するのは難しい。でもいい方向に体が変化していると感じてます」

 モーガンはママとして初めて大舞台に臨むが、今大会は新型コロナウイルスの感染防止対策として家族の同伴が認められず、大会期間中は1歳になった愛娘と離れ離れとなる。

「長期間、チャーリーと離れるのはかなり難しい。でもオリンピックが始まれば、すぐに試合がきて全てが早く進むだろうから、それは助かると思う。娘には日本で一緒に旅をしてほしかったけど、不可能なので、今はチームメイトと最高の時間を過ごし、自分のやるべきことに集中したい。離れている娘のためにフェイスタイムをたくさん使っています(笑)。夫も写真や動画をたくさん送ってくれる。娘はまだ私が長い間いないことに気づかない歳だから、お互いに大変だけど、私が一番つらいと思う!」

 アメリカ女子代表は2012年のロンドン五輪以来、2大会ぶり5度目の金メダルを狙う。モーガンは9年前のロンドン五輪で大会初出場を果たし、3ゴール5アシストを記録して金メダルに貢献した。当時を振り返り、「2012年は素晴らしい思い出がたくさんある」とコメント。「決して忘れない経験でした。私にとってオリンピックは特別なもの。オリンピックを見て育ったし、普段のスポーツやチーム以上に大きなものだと思う。子供の頃の思い出と2012年の経験があるから、この大会には常に特別な思いを抱いている。大会に戻ってこれて本当に嬉しい」と話した。

 2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、準々決勝でスウェーデンにPK戦の末に敗れ、アメリカ女子代表として初めてメダルを逃した。モーガンはPK戦で1人目のキッカーを務めて、無念の失敗に終わった苦い記憶がある。「特にチームにとって最悪の成績だったので、ひどい思い出です。でも、個人的に最もつらかったのは、2011年のワールドカップ決勝で日本に負けたときだった。当時は自分たちが世界最高のチームで、試合でも自分たちのほうがいいチームと感じていたから。スウェーデンとの対戦はショックすぎて、完全に理解するために数週間ぐらいかかった」

 東京五輪での初戦は、そのスウェーデンと対戦する。モーガンは「私が出場した大会では毎回のようにスウェーデンと戦っていて、いつもいい勝負になる。2011年のW杯グループステージでも2016年の準々決勝でも負けたし、世界大会で対戦するチームの中で最もタフな相手だと見ている。スウェーデンとの再戦が本当に楽しみです」と過去の対戦を振り返りつつ意気込んだ。

 アメリカ女子代表は、21日にスウェーデンとの初戦を迎え、24日にニュージーランド、27日にオーストラリアと対戦する。

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