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セリエA、2019年冬のメルカートで移籍が成立した注目の選手たち【後編】

2019.02.09

今冬に移籍が成立したセリエAの注目選手を紹介 [写真]=Getty Images

 開幕前の予想通り、ユヴェントスの強さは他を寄せ付けないものだった。前半戦が終わり、2位ナポリに勝ち点9差をつけて冬の王者となった。そして後半戦がスタートして2試合が終わった時点でナポリとの勝ち点差はさらに広がり11に。もはや、ユヴェントスの優勝はほぼ確実と思われた。しかし、国内では無敵と思われたユーヴェに異変が起こる。1月30日に開催されたコッパ・イタリア準々決勝、アタランタ戦で0-3とまさかの完敗。これで、コッパ・イタリアは4連覇で記録が途切れ、チャンピオンズリーグ、セリエAを加えた3冠達成の夢も潰えたわけだ。それだけではない。直後のリーグ戦でもパルマ相手に3失点を喫し、3-3で引き分け。ナポリとの差は再び9となった。

 各クラブともに冬の移籍市場で弱点を補う補強を行っており、後半戦は前半戦とはまた違った戦いが見られることになるはずだ。独走体制のユーヴェも決して安泰とは言えない。そして熾烈を極める4位争いや残留争いからも目が離せない。今回は、この冬のメルカートで成立した主な移籍を紹介する。

マルティン・カセレス(ラツィオ→ユヴェントス)

カセレス

[写真]=LightRocket via Getty Images

当初はヴィッセル神戸入りが噂されたが、カタールのアル・ドゥハイルに移籍したメディ・ベナティアの後釜として緊急補強された。2009年、2012年に続く3度目のユヴェントス加入が決まると「ここは僕の家のような場所。大切なクラブだ」と話し、2016年6月以来となる2年半ぶりの復帰を喜んだ。主力センターバックの2人、ジョルジョ・キエッリーニとレオナルド・ボヌッチの負傷により2月2日のパルマ戦でいきなり先発出場を果たしたが、3-3のドローに終わり復帰戦を勝利で飾ることは叶わなかった。レンタル移籍で、契約は6月30日までとなっている。

ルイス・ムリエル(セビージャ→フィオレンティーナ)

ムリエル

[写真]=Getty Images

世界各国にスカウト網を持つウディネーゼによって見出された快速アタッカーで、かつては元ブラジル代表の怪物ロナウドとも比較された実力の持ち主。サンプドリアからセビージャに移籍した1年目の17-18シーズンはリーグ戦29試合の出場で7ゴールを挙げたが、2年目の今シーズンは6戦出場1得点と厳しい立場に立たされていた。しかし、フィオレンティーナ加入後のリーグ初戦、1月20日の古巣サンプドリア戦では、自陣深くからスピードに乗ったドリブルで相手守備陣を切り裂き、豪快にシュートをねじ込むなど2得点。すでにチームにとって必要不可欠な存在となっている。6月30日までのレンタル移籍で、1400万ユーロ(約17億円)での買い取りオプションが付属する。

ユライ・クツカ(トラブゾンスポル→パルマ)

クツカ

[写真]=LightRocket via Getty Images

トルコのトラブゾンスポルからの加入で、ミランでプレーした2017年6月以来となるイタリアへの帰還。幼少期にはアイスホッケーもプレーし、戦車を意味するパンサーの異名をとる重量級MF。ミラン時代の2シーズンは本田圭佑とともに、クラブの復権のために戦った。1年半所属したトラブゾンスポルでは筋肉系の負傷もあって物足りないパフォーマンスに終わったが、パルマ加入3試合目のユヴェントス戦では絶妙なクロスで2本のアシストを記録。移籍後すぐに決定的な働きを見せた。スロヴァキア代表では64試合に出場し、同代表歴代10位の記録を持つ。2022年6月までの契約で、移籍金は600万ユーロ(約7億5000万円)。

エセキエル・スケロット(ブライトン→キエーヴォ)

2011年夏から2年間所属したアタランタでイタリア全土にその名を広めた右サイドバック。アルゼンチン生まれであるが、曾祖父がイタリア出身であったためイタリア国籍を取得。2012年8月にイングランドとのテストマッチにてイタリア代表デビューを果たしたが、代表キャップは5分間プレーしたこの1試合のみとなっている。2013年1月にはインテルへの移籍を勝ち取ったものの定位置獲得とはならず、サッスオーロ、パルマ、キエーヴォへのレンタル移籍を強いられた。今シーズンはブライトンで完全に出番を失い、2015年以来、2度目の復帰となったキエーヴォで再起を目指す。2019年6月までのレンタル移籍。

セドリック・ソアレス(サウサンプトン→インテル)

セドリック・ソアレス

[写真]=Getty Images

日本代表DF吉田麻也が所属するサウサンプトンからの移籍。ひざの手術を強いられたクロアチア代表DFシメ・ヴルサリコの代役として加入した。ポルトガル代表として2016年のユーロで優勝したことにより、バルセロナからの関心も噂されるなど一気に人気銘柄となったが、その後もサウサンプトンにとどまりプレーしていた。2月3日のボローニャ戦で右サイドバックとしてリーグ戦デビューを果たしたが、試合は0-1で格下相手にまさかの敗北。インテルはシーズン後半戦開始から3試合連続無得点と、1956年以来の汚点がついてしまった。苦境に立たされるチームへの移籍となってしまったが、なんとかチームの復調に貢献したいところだ。500万ユーロ(約6億2000万円)のレンタル料を伴う2019年6月までの期限付き移籍で、推定1100万ユーロ(約13億7000万円)での完全移籍のオプションが付く。

ステファノ・オカカ(ワトフォード→ウディネーゼ)

オカカ

[写真]=Getty Images

ナイジェリアの両親を持つイタリア生まれの移民の子で、ローマ時代に16歳と125日でセリエAデビューを果たした早熟のストライカー。2012年まで毎年のようにレンタル移籍を繰り返し、モデナ、ブレシア、フラム、バーリでプレーしたが、 ポテンシャルを引き出すことはできず、2012年にはパルマに放出された。それでも2014年冬に移籍したサンプドリアでの活躍により、アントニオ・コンテ監督率いるイタリア代表にも選出。その後、アンデルレヒトに移籍し、自身初の二桁得点を記録した。しかし、2度目の挑戦となったプレミアリーグではワトフォードで目立った成果は残せず、同クラブと同じくジャンパオロ・ポッツォが会長を務めるウディネーゼへレンタル移籍することとなった。

★シニシャ・ミハイロヴィチ(ボローニャ)

ミハイロヴィッチ

[写真]=Getty Images

現役時代にはFKだけでハットトリックを記録した実績を持つFKのスペシャリスト。今シーズンは、スポルティングの監督に就任し、初めてイタリア以外のクラブチームを指揮したが、就任からわずか9日で解任された。その後も国外での監督就任を望んでいると公言していたが、自身が初めて指揮を執ったボローニャに10年ぶりに復帰することとなった。19位に沈むフロジノーネにホームで0-4と惨敗を喫して解任されたフィリッポ・インザーギ前監督の後任として就任。初戦は強敵インテルと苦戦が予想されたが、就任からわずか6日にもかかわらず1-0の勝利を手繰り寄せて、9月30日のウディネーゼ戦以来となる白星をもたらした。2019年6月までの契約で、1年延長のオプションが付いている。

文=佐藤徳和/Norikazu Sato

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