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【コラム】敵地で強いナポリ、続々と記録更新…指揮官のサッカー浸透で来季はさらなる飛躍へ

2017.05.04

今季のナポリは敵地で強さを発揮している [写真]=Getty Images

 ナポリを率いるマウリツィオ・サッリ監督にとって、今シーズンはクラブと自身の記録を次々と塗り替える一年となっている。

 4月30日に行われたセリエA第34節のインテル戦でも、サン・シーロで勝利をものにし、今シーズンのアウェイゲーム11勝目を挙げた。敵地で負けたのは昨年10月2日のアタランタ戦、同29日のユヴェントス戦の2試合のみだ。

 そしてこの第34節で白星を手にしたことで、1シーズンのアウェイゲームにおける獲得勝ち点でも、17試合目にしてクラブ記録を更新した。これまでのナポリでは、ラファエル・ベニテス監督が指揮した2013-14シーズンの35ポイントが最多だったが、サッリ監督は2試合を残してこれを37と伸ばし、新記録となった。アウェイでの勝利数も、同じく13-14シーズンの10勝を抜くことに成功した。アウェイゲームはトリノ戦、サンプドリア戦を残しており、さらに数字を伸ばす可能性は大きい。

 同じ30日に2位ローマがラツィオとの“ローマ・ダービー”で1-3と敗れたため、勝ち点差も「1」に迫った。そのローマにも、サッリ体制のナポリはアウェイで2-1と勝利を収めている。ちょうど、敵地でミラン、ボローニャ、キエーヴォと撃破し、ローマの後にエンポリも破って5連勝をものにしたのだった。これもサッリ・ナポリの記録となっている。

 ユヴェントスのスクデット獲得は阻めないものの、2位浮上への勢いは十分にある。インテル戦ではその攻撃力、特にドリブルで上がっていくすさまじいパワーを見せた。枠内シュート数ではナポリ4本、インテル3本、そしてファウル数は互いに9、インターセプトも14本ずつで同じ。しかし、差がはっきりと出たのがドリブル数だ。インテルの6に対し、ナポリは23とほぼ4倍。1-0という最終スコアからは見えない強みがここにあった。

 面白いのは、アウェイで挙げた得点(41)の方がホームで奪ったゴール(37)よりも多い点だ。これは、上位チームの中では5位アタランタ(ホーム、アウェーともに29点)が近いだけ。敵地でも貪欲に勝ちに行っている証拠だろう。ナポリといえば、スピードのあるドリブルで攻め上がる俊足の選手たち、イタリア代表FWロレンツォ・インシーニェ(14得点)や、今シーズン大ブレイクしたベルギー代表FWドリース・メルテンス(同22)などがいる。そこに11ゴールずつのスペイン代表FWホセ・カジェホンとスロヴァキア代表MFマレク・ハムシクを合わせると58ゴールで、チーム総得点(78)の大半を占める。

 攻撃面だけでない。ナポリのシーズン最少敗戦数は6(12-13、13-14、15-16シーズン)だが、今シーズンは現時点でわずか4。そして、アウェイでの敗戦は2だ(これまでの最少は13-14シーズンの4)。おそらく、どちらの記録も塗り替えることになるだろう。また、同監督が昨シーズンに達成した記録、シーズン25勝(現在22)と勝ち点82(現在74)の数字を上回ることも考えられる。

 サッリ監督のサッカーが浸透したナポリ。来シーズンは、スクデットにどこまで近づくことができるか、また、ヨーロッパの舞台でどれだけの力を発揮することができるか、今から楽しみなチームに仕上がった。

文=赤星敬子

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