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“ドタキャン”ビエルサ氏、監督就任騒動の結末は?ラツィオが違約金56億円請求か

2016.07.12

マルセイユ時代のビエルサ監督 [写真]=Getty Images

 先週一週間続いたラツィオとマルセロ・ビエルサ氏の監督就任騒動は最悪の結末を迎えた。すでに報じられているように、就任2日での”ドタキャン”でクラウディオ・ロティート会長らフロント幹部は赤っ恥をかかされた。その理由が「ラツィオに7人の選手を獲得するよう要求していたが、それが一人も移籍していなかった」というもの。ラツィアーレたちも開いた口がふさがらない、といったあきれ顔だ。SNSなどでは「頼むから、こんな安っぽいテレビドラマみたいなゴタゴタ話を早く終わらせてくれ」や「アレシャンドレ・パトがバレンシアにすっぱ抜かれたような、みっともないところは見せないでくれよな」などという悲痛な書き込みが見られた。

 言うまでもなく、ビエルサ氏といえば世界の優秀な監督の一人に挙げられる。生まれ育ったアルゼンチン代表、そしてチリの代表監督を務め、アスレティック・ビルバオ、マルセイユらを率いた。世界、そしてヨーロッパでの国際試合経験も豊富で、戦術マニアとしても知られている。2011年にはインテル、また日本代表監督の候補に名前が挙がったこともあった。

 ラツィオのイグリ・ターレGMは6月5日にビエルサ氏がローマ入りし、ラツィオの練習場などを熱心に見学したと明かしている。同GMは「ラツィオの全選手、さらにプリマヴェーラについて記録した5枚のDVDを見ていた」と話し、24時間の滞在予定を1日引き延ばすほど意欲的だったそうだ。「その時は素晴らしい人物に会えた。用意周到な監督という印象を受けた」と話が前向きに進んでいると実感していたという。

 しかし、ビエルサ氏との関係に暗雲が立ち込めたのは、同氏が獲得リストのトップに挙げていた元ブラジル代表FWアレシャンドレ・パトの獲得が難しくなった頃からだろうか。ラツィオは2014-15シーズンの3位を除いて、ここ4シーズンで7、8、9位の間をさまよう成績しか残せてない。昨シーズン、4月3日からの残り7試合でチームを指揮したシモーネ・インザーギ監督では、チャンピオンズリーグ出場権獲得という目標に到達するのは責任が重すぎると考えたのだろう。

 ロティート会長は「メルカートを放棄したわけではない。補強し競争レベルの高いチームを作る。ビエルサありでもなしでもチーム・プロジェクトは変わらない。インザーギ監督とともにサポーターとクラブの間で真の信頼関係を築き上げていきたい」と怒りを殺しながら固い表情で語った。ラツィオのジャン・ミケーレ・ジェンティーレ顧問弁護士は違約金に関して、次のようにコメントした。「埋め合わせをするだけの十分に高額なものとなるだろう」と具体的な金額は口にしなかった。イタリアのメディアは、5000万ユーロ(約56億円)を賠償金としてビエルサ氏側に請求するものとみている。

文=赤星敬子

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