バイエルンが5大リーグで前人未踏の10連覇！ 次なる目標は欧州記録の15連覇か！？

　バイエルン・ミュンヘンが、23日に行われたブンデスリーガ第31節のドルトムント戦を制して前人未到の10連覇を成し遂げた。

　バイエルンは、宿敵との一戦を3-1で制し、3試合を残してリーグ優勝を達成。歴代最多となる31度目のブンデスリーガ制覇を果たしたわけだが、ドルトムントとのナショナルダービー、いわゆる“デア・クラシカー”で優勝が決まるのは史上初のことだった。

　主力のトーマス・ミュラー（32歳）は歴代最多となる個人11度目のリーグ優勝を達成。一方で、今季からバイエルンを率いるユリアン・ナーゲルスマン監督にとっては嬉しいキャリア初の主要タイトル獲得となった。監督として「34歳274日」でのリーグ制覇は史上2番目に若い記録。2001-02シーズンに当時ドルトムントを率いていたマティアス・ザマーが打ち立てた最年少記録に「33日」及ばなかったが、それでも立派な記録と言える。

　そんな記録ずくめの優勝なのだが、やはり最も凄いのは10連覇という偉業だろう。2012-13シーズンにユップ・ハインケス体制で3シーズンぶりのリーグ制覇を果たしてから、10シーズン連続でのリーグ優勝。ブンデスリーガの記録を更新すると共に、イタリアのユヴェントスが成し遂げた9連覇を抜いて欧州5大リーグの「連覇記録」を塗り替えたのだ。

　それでは、欧州各国のリーグ連覇の記録を見てみよう。

■セリエA

　バイエルンに抜かれるまで欧州5大リーグの連覇記録を保持していたのはイタリアのユヴェントスだ。ユーヴェはカルチョ・スキャンダルによって2006年にセリエBに降格したが、1年でセリエAに復帰すると、アントニオ・コンテ監督政権の2011-12シーズンに9年ぶりのリーグ制覇を達成。そこから連覇がスタートし、マッシミリアーノ・アッレグリ政権の5連覇を含め、マウリツィオ・サッリ監督の2019-20シーズンまで計9連覇を達成。しかし、クラブOBのアンドレア・ピルロを監督に据えた2020-21シーズンは4位に留まり、10連覇を逃した。

■リーグ・アン

　フランスで連覇の記録を持つのは2002年から2008年に7連覇を果たしたリヨンだ。同クラブは大型補強の甲斐もあって、2001-02シーズンにジャック・サンティニ監督の元でクラブ史上初のリーグ制覇を達成する。シーズン最終節、2位にいたリヨンは1ポイント差で首位に立つRCランスと直接対決。勝った方が優勝となる前代未聞の“天王山”を3-1で制し、見事に頂点に立った。そして、それが黄金期の始まりでもあった。

　サンティニ監督はフランス代表に引き抜かれるも、後任のポール・ル・グエン監督の元でリヨンは3回優勝。続くジェラール・ウリエ政権で2回、アラン・ペラン政権で1回の計7連覇を達成するのだった。近年、フランスではパリ・サンジェルマンが圧倒的な強さを誇っているが、彼らは2013年から4連覇するも、2016-17シーズンにモナコに栄冠を譲って連覇がストップ。その後も3連覇したあとにリールにタイトルを奪われるなど、なかなかリヨンの記録には追いつけていない。

■ラ・リーガ

　2強の構図が続くスペインでは、10連覇があっても不思議ではないが、ラ・リーガにおける連続優勝の記録はレアル・マドリードが達成した5シーズンが最長となっている。白い巨人は1961年～1965年と1986年～1990年の2度にわたって5連覇を達成しているが、フェレンツ・プスカシュの活躍で5連覇を達成した1960年代は、もっと記録を伸ばせていてもおかしくなかった。事実、レアルは1960年代に9年間のうち8年で優勝しているのだが、6連覇をかけて臨んだ1965-66シーズンに地元の宿敵、アトレティコ・マドリードにタイトルを譲るのだった。

　同シーズン、レアルは開幕から順調に勝ち点を積み重ね、ずっと首位を守り続けていた。しかし、残り2試合のところで彼らの前に立ちふさがったのが、永遠のライバルであるバルセロナだ。敵地カンプノウで1-2の敗戦を喫したレアルは、2位に着けていたアトレティコに最終節を前に抜かれてしまう。そして、そのままリーグ優勝を逃すことになった。もし、あのときバルセロナに負けていなければ、その後の3連覇を含めてレアルは9連覇を達成していたかもしれない。

■プレミアリーグ

　最もリーグ連覇が難しいのが、常に群雄割拠の時代が続くプレミアリーグだ。これまで同リーグの連覇記録は、名将アレックス・ファーガソンがマンチェスター・ユナイテッドで達成した2度の3連覇（1999年～2001年、2007年～2009年）が最長だ。

　数々の名将がその記録に挑戦しているが、ジョゼ・モウリーニョのチェルシーは2連覇、ペップ・グアルディオラのマンチェスターCも今のところは2連覇に留まっている。アーセナルで3度のリーグ優勝を果たし、無敗優勝や2度の国内二冠といった数々の栄光を築いたアーセン・ヴェンゲルに至っては、一度もリーグ連覇を達成できなかった。

　1992年のプレミアリーグ発足以前を含めても、イングランド王者の連覇は3シーズンが限界だ。上記のユナイテッドのほか、ハダースフィールド（1924～1926年）、アーセナル（1933～1935年）、リヴァプール（1982～1984年）の3チームが3連覇を成し遂げている。

■その他のリーグ

　欧州5大リーグ以外を含めると、ヨーロッパでのリーグ連覇の記録は「14連覇」となっている。これは、ラトビアのスコント・リガ（1991年から2004年）とジブラルタルのリンカーン・レッド・インプス（2003年から2016年）の2クラブが達成している。ちなみにスコント・リガは2016年に財政破綻で消滅した。

　彼らの記録に次ぐのが、ノルウェーの名門ローゼンボリと、ベラルーシのBATEボリソフで13連覇。現在も連覇が続く中で最長となっているのは、ブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドだ。今月17日に早くも今季のリーグ優勝を決めて、これで11連覇を達成。彼らは国内で圧倒的な強さを誇っており、数年後には欧州新記録を樹立しているかもしれない。

　その他にも10連覇以上を達成しているクラブはいくつかあるが、どうしても10連覇に届かないリーグがある。それがスコットランドだ。これまでセルティックが2度、レンジャーズが1度、10連覇まであと1回に迫ったのだが、その度に互いがタイトルを奪還して宿敵の10連覇を阻止した。昨シーズンも、セルティックが10連覇に挑戦したのだが、スティーヴン・ジェラード監督（現アストンヴィラ）のレンジャーズが彼らの前に立ちはだかった。

　こうして見ると、改めてバイエルンの10連覇の凄さが伝わってくる！

（記事／Footmedia）