ドイツ4部リーグの試合でのチベット国旗掲出で、試合中断となった(写真はイメージ) [写真]=LightRocket via Getty Images
ドイツ国内で議論の的となっていたU-20中国代表チームのレギオナル・リーガ南西部(ドイツ4部リーグ)への“参加”が始まった。19クラブで運営されている同リーグで、試合が組まれないチームとの“数合わせ”のテストマッチをこなしていくこととなる。
18日にショット・マインツとの初戦を迎えるため、ドイツメディアの注目を集めていたU-20中国代表。だが、いきなり波乱含みの展開となった。ドイツ紙『ビルト』は「議論の的となっていたツアーでスキャンダル」といつも通り、大げさな見出しをつけて報じている。
“スキャンダル”と伝えられたのは、約400人ほどだった観客の中にチベット解放を求める人権団体のプロテストが混ざっていたためだった。現在、中国政府から圧政を受けてドイツへ亡命しているチベット人も多く、彼らを支援する団体がチベットの国旗をスタジアム中に掲げていたという。
国旗の存在を見つけたU-20中国代表はプレーを中断。ショット・マインツの運営側がプロテスト団体と話をして国旗を片付けるまでの30分間、試合が中断することとなった。ドイツメディア『Sportbuzzer』がより詳しく伝えたところによれば、プロテスト団体は「ここドイツでの言論の自由という権利を享受している。だが、試合が続行されることを私たちも願っている」と、コメントしているという。
ドイツサッカー連盟(DFB)副会長のロニー・ツィンマーマン氏も試合後に「中国側には、ドイツの法律にある言論の自由が認められている条件のもとで試合が行われると、何度も伝えてある。あのようなプロテストももちろん、権利のうちに含まれている。中国側はこういった問題に慣れて、あまり真に受けないようにしてほしい」と話している。なお、中国側は「私たちはサッカーをしに来ているのだ。サッカーはスポーツ以外の何物でもない」と文化の違いに戸惑いを見せていた。試合は0-3で敗れている。
異なる世界観での生活に強烈なカルチャーショックを受けているU-20中国代表だが、若い選手たちはドイツで様々な経験を積むことになりそうだ。