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定まらないポジション、代表活動の空白…長谷部誠が抱く多数の危機感

2016.02.24

フランクフルト所属の長谷部誠。クラブや代表での現状に抱く危機感を明かした [写真]=Bongarts/Getty Images

 2018年のロシア ワールドカップ アジア2次予選の締めくくりとなるシリア、アフガニスタンとの2連戦まで残り1カ月。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は2月に入って欧州組の視察を精力的に行い、キャプテン長谷部誠フランクフルト)とも会食。武藤嘉紀(マインツ)とともに2月14日の昼に指揮官と食事しながら情報交換をしたという。

「ハリル監督になってから一年が過ぎ、『どうだ?』っていう話をしました。監督と会うと、いつも危機感を持たせられます。『代表は常に呼ばれるわけじゃないし、高いパフォーマンスをしていなければ呼ばない』と改めて言われました。次の代表戦まで1カ月くらいありますし、今の段階で代表の話をするのはちょっと難しいですけど、これだけ長く活動が空くのは珍しい。どうなるかは正直、分からないですね」と彼自身は次の2連戦へのかすかな不安をにじませつつも、フランクフルトでの戦いに努めて集中しようとしている様子だ。

 そのフランクフルトは後半戦突入後、1勝2分2敗と思ったような結果が出ていない。ここまでの戦績は勝ち点22の15位。2部とのプレーオフに回る16位ブレーメンとはわずか2ポイント差。自動降格の17位ホッフェンハイムとも4ポイント差で、降格圏が迫りつつある印象だ。酒井高徳との日本人対決で注目された19日のハンブルガーSV戦も、チーム全体として迫力不足を露呈。決定機は何度か作りながらも、スコアレスドローに終わった。この状況を受け、長谷部も停滞感を打破する術を摸索しているという。

「このチームは良くも悪くも結構勢いが影響する。良くない流れの時からどう持っていくかが大事。今はみんなが少し自信を失っている部分もある。結果が出ればそれが自信につながっていくんだろうけど、そこまでのプロセスをもう少しチームとして話し合っていければ」

 この試合、長谷部はバスティアン・オツィプカの出場停止に伴って左サイドバックという不慣れなポジションに入った。

「とにかく右足だけにならないようにしました。左足も使いながら、『そんなに前へ行かなくていい』と(アルミン・フェー)監督からも言われたんで、とにかく失点はしないように心掛けて。ただ、無難なプレーに終わったかなって感じはあります」

 自分自身でも不完全燃焼感をにじませたように、左CKのこぼれ球をシュートに結びつけた決定機も決まらずじまい。彼らしいバランス感覚と器用さ、献身性は見せたが、長谷部本人が満足できるレベルでは到底なかった。

 最近は起用されるポジションが目まぐるしく変わっている。2月13日のケルン戦では中盤のアンカー、1月30日のアウグスブルク戦は右サイドバックに配置された。いい意味ではユーティリティ性の高さが評価されているが、表現を変えれば“便利屋状態”に陥っているとも言えるだろう。かつてヴォルフスブルク時代にも同じような扱いはあったが、32歳になったベテラン選手としては、やはり複雑な部分も少なからずあるはずだ。

「一番は個人的な部分よりは、チームが苦しい状況なので、まずは勝つために何ができるかを考えています。もちろんポジションがそれぞれの試合で違うんで、難しい部分もありますけど、今回(HSV戦)みたいに『こなすプレー』じゃなく、『チームが勝つために貢献するプレー』をもっと求めたい。もう一つ上を目指すなら、自分からそういうところを求めていかなければならない。『仕方ない』と思ったら、絶対にそれ以上は望めないですから。ただ、中盤に関しては、次にいつチャンスが回ってくるのか……という感覚は正直、あります。ケルン戦のパフォーマンスは個人的にも満足できるものではなかったし、このチームで求められているプレーをもっと高いレベルでやらないと」

 ハリルホジッチ監督は彼を完全に「中盤の選手」と位置づけて話を進めていたという。ボランチで合格点を取れないジレンマを吐露したのは、本職のポジションで実戦を積み重ねられない現状に危機感を募らせているからだろう。以前もクラブで右サイドMFやサイドバックで使われていた際、代表に戻ってくるたびに「サイドの選手はタッチラインを背にしてプレーするけど、真ん中だと360度から相手が来る。そういうところの違いはやっぱり感じるし、頭の切り替えが必要だなと感じます」とコメントしていた。今後も同じような状況が続くのは、彼自身のレベルアップを考えてもいいこととは言えない。

 加えて、次節以降は試合出場さえも確約されていない。左サイドバックの主力であるオツィプカが戻り、右サイドバックもHSV戦に先発したヤンニ・レゲセルがまずまず動きを見せたからだ。ボランチに至ってはマルコ・ルス、マルク・シュテンデラなど複数の候補者がおり、より一層熾烈な競争を強いられる。長谷部がフランクフルトで出場機会を失うようなことになれば、日本代表のパフォーマンスにも影響しないとも限らない。ドイツで数々の修羅場をくぐってきた代表キャプテンには、これまでの経験を凝縮させて、この苦境を乗り越える策を何とか見出してもらうしかない。

文=元川悦子

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