2016.02.14

苦境に立つドルト香川の変化と再起への誓い「すべてをポジティブな方向に」

香川真司
後半戦から苦境に立つ香川。これを機にさらなるレベルアップを誓う [写真]=Borussia Dortmund/Getty Images
サッカー総合情報サイト

 1月23日のブンデスリーガ後半戦スタート以降、香川真司(ドルトムント)が不穏な空気に包まれている。

 ウインターブレイク明け初戦の第18節ボルシアMG戦をウイルス性胃腸炎の影響で欠場すると、同30日の第19節インゴルシュタット戦は精彩を欠いて55分で交代。2月6日の第20節ヘルタ・ベルリン戦に至っては今シーズン初のベンチ外となった。続く10日に行われたDFBポカール準々決勝のシュトゥットガルト戦も87分からの出場にとどまり、前半戦とはまるで異なる扱いにドイツメディアも過敏に反応。「コンディションの問題」、「17歳のクリスチャン・プリシッチにチャンスを与えるため」などと理由を書きたてた。

 こうした事態を受け、香川はトーマス・トゥヘル監督との間で話し合いを持ったという。

「僕たちの間で話したことなんで、(内容を)ここで言うことはないです。監督の言うことを受け止めてやらなきゃいけないし、自分の意見もあるので、それは伝えましたし。ただ、この件はもう終わったこと。結局は自分自身がピッチで証明していくしかない」と一連の騒動の収束を図るべく、13日の第21節ハノーファー戦にスタメンの一員として挑んだ。

 この日のドルトムントは相手の手堅く意思統一された守備に苦しみ、前半をスコアレスで折り返す。後半に入ってアルメニア代表MFヘンリク・ムヒタリアンの一撃で勝ち越し、何とか1-0で勝利を飾ったものの、攻撃の連動性がなく、チーム全体にギクシャクした雰囲気が見て取れた。ガボン代表FWピエール・エメリク・オーバメヤンの欠場もあったが、攻めの迫力不足は明らかだった。

 香川自身も昨年12月19日のケルン戦以来、5試合ぶりのフル出場を果たしたが、シュートはゼロ。決定機に全く絡めず、最近の苦悩を物語るようなパフォーマンスに終始してしまった。

「攻撃に関しては何本かいい崩しはありましたけど、決定機っていう意味では物足りなかった。後半戦に入ってから流れるような攻めが足りないし、2次攻撃、3次攻撃で相手を押し込む時間がない。勝ってることに救われている。僕自身もボールを受けた時に窮屈な状況がすごく多くてミスにつながっているし、後半戦が始まってからの4試合は個人的に目に見えるものがなかなかないので、ここは本当に耐えどころだと思っています」と本人も神妙な面持ちでコメントするしかなかった。

 この試合には、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も視察に訪れた。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身の指揮官は試合後、香川に対して「前の2試合を欠場したこともあって、ちょっと体が重かったんじゃないか」と苦言じみた言葉を投げかけていたが、それには香川自身も思い当たるふしがあった。

「今日は前半からすごくきつかったし、体の重さを感じた。腰を痛めて1日休んだりしてコンディションが悪かったし、試合勘を含めてきつかったですね。そういう中でとにかく勝ち切ることだけ意識していました。自分が出て負けたり、引き分けたりすると、今みたいな状況では余計に変に映る。少し風向きが悪いからこそ、何でもいいから勝つことだった。ここからまた一つ階段を上がっていきたいと思います」

 2010年夏に欧州の扉を叩いて以来、香川は毎年のように壁にぶつかってきた。13得点を挙げたドイツ2年目の2011-12シーズンでさえ、序盤は極度の不振にあえいだ。調子を落とした時の彼は決まって自信を失い、悩みに悩み抜いて再浮上のきっかけを失うという悪循環に陥っていた。けれども、こうした過去の経験を踏まえて今は、とにかくポジティブに物事を捉えて前進しようとしている。そこは香川の大きな変化かもしれない。

「大事なのは気の持ちよう。負の気持ち、煮え切らない気持ちをもっていたら必ずプレーに出る。だからこそピッチに出たらすべてをポジティブな方向に持っていくことが一番大事なんです。練習をしっかりやって最高の準備をして、自信を持ってやり切るしかない。今はそう思っています」

 そんな姿勢は日本代表にも必ずつながるはずだ。2014年のブラジル・ワールドカップ惨敗以降の出来に関しては、香川自身も全くと言っていいほど満足していない。代表での思い描いたような活躍を現実のものにするためにも、ドルトムントでの結果がより強く求められる。

「代表にいいものを還元できるように、ここで頑張り続けなきゃいけない。それは自分でもよく分かってます。代表での役割に関しても、僕はゲームメークと得点の両方を備えたい。自分は何か一つの突出した能力があるわけではない。例えばいいアタッカーが持つスピードが僕にはない。だから、(突出した能力を持つ選手と比較して)ゲームメークで8〜9割、アタッカーとしても8〜9割と、両方で高いアベレージを出さなければ生き残っていけない。そういう意識を持ってこれからもやっていきます」

 トゥヘル、ハリルホジッチ両指揮官から刺激を与えられた香川がここからどんな変貌を遂げるのか。今の苦境を乗り越えた時、彼は自身が言うように階段を一つ上がれるはず。苦しい状況に置かれているにもかかわらず、新たな覚悟を口にしたのは成長の表れとも言える。この騒動を糧に、香川真司がさらなるレベルアップを誓う。

文=元川悦子

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