ヘルト氏(左)を批判するマテウス氏(右) [写真]=Bongarts/Getty Images
DF内田篤人が所属するシャルケのマネージャー、ホルスト・ヘルト氏と、現在衛生放送『スカイ』で解説者を務めるなど多方面で活躍している元ドイツ代表MFローター・マテウス氏が舌戦を繰り広げている。
マテウス氏は先週、ドイツ誌『スポーツビルト』に寄稿しているコラムの中で、ヘルトMGの強化策を批判。「彼の補強収支がプラスになっているのはマヌエル・ノイアーとユリアン・ドラクスラーを売却したからだ。それはヘルトの力ではない。今はクレメンス・テンニース会長が移籍に関する取り決めをしており、ヘルトMGはただの“使い”だ。彼の仕事は、すでに交渉が終わった後の契約書を用意するだけだ」と言いたい放題だった。
同MGは冬季キャンプを行っていたフロリダで地元紙『WAZ』とのインタビューに応じたが、質問がマテウス氏の話になった途端、「マテウスのような、いわゆる“専門家”が書くようなコラムは、本来相手にするべきではない」と注釈をつけつつも、怒り心頭といった様子でこう反論している。
「我々の収支決算書がマテウスの手元にあるのか、そして彼がそれをミスなく読むことができるのか非常に疑問だ。彼の発言は本質を欠いている。マテウスがとてつもないサッカー選手の1人であり、ドイツサッカーに多くのことをもたらした人間であることに疑いの余地はない。しかし監督としての彼が手にした成功は、周知のように数えるほどしかない。彼はサッカーのエキスパートとしてあのコラムを書いたが、彼はシャルケの舞台裏についてほとんど分かっていないね。まったく信頼が置けないものだと私は見ている」
『WAZ』紙によれば、シャルケの取締役会はこの冬の移籍市場でヘルトMGに1500万ユーロ(約19億3000万円)の予算を与えたようで、同MGはアンドレ・ブライテンライター監督と話し合い、その範囲内で補強を取り決めている。この報道が正しければ、確かにマテウス氏の発言は憶測に過ぎないということになる。
ところが、同氏はヘルトMGの反論を受けると、「ヘルトが激怒した様は、本当に子どもじみている」とコメント。続けて「私は、私の意見が100パーセント正しいと思っている。それにヘルトとチームが契約を延長しなかったという事実は、シャルケも私と同じような考え――つまりヘルトの仕事に満足していないということに他ならない」と、最後まで批判の嵐だった。
自らの発言で諍いが起きようとも、鎮火させる素振りすら見せないのは、やはりマテウス氏が現役時代と変わらず“闘将”のままだからだろうか。
文=鈴木智貴
By 鈴木智貴