フランクフルトに所属する日本代表MF長谷部誠 [写真]=Bongarts/Getty Images
加入1年目ながら、フランクフルトのチームリーダーとしてのポジションを固めている日本代表主将の長谷部誠が、地元紙『Frankfurter Rundschau』のインタビューに応じた。
スコアレスドローに終わった17日のブンデスリーガ第29節ボルシアMG戦の長谷部のパフォーマンスに、「チームを整え、ピッチ上のボスだった」と評するなど、長谷部を常に高く評価している同紙。
今回のインタビューでも、長谷部を「フランクフルトではベストプレーヤーの1人に挙げられることも多く、守備的MFを整えているのがこの日本人選手だ」と紹介。それに対し、長谷部自身も「このチームで、もっとボスでなければならない」と答え、チームリーダーとしての強い自覚を示した。
フランクフルトは、ボルシアMG戦の引き分けにより8位から10位に後退。ヨーロッパリーグ出場権獲得も厳しくなってきたが、その要因となっているのが、アウェーで勝ち点を取りこぼしていることだ。今季はアウェー14戦でわずか2勝。勝ち点10は、パーダーボルンと並びリーグで2番目に少ない数字だ(最も少ないのはHSVの9点)。特に、直近のアウェー4試合中3試合は、格下との一戦(マインツ、ケルン、シュトゥットガルト)で手痛い黒星を喫している。
アウェーでの弱さについて質問が及ぶと、長谷部は「不思議ですね。それ(敗戦)については自分にも責任がある」とし、その理由として「31歳になり、経験も積んできた。そして(ヴォルフスブルク時代には)マイスターにもなっている。このチームでもっとボスでなければならない。もっと仲間と会話を持ち、彼らを引っ張っていかなければいけない。チームには、マルク・シュテンデラやゾニー・キッテルといった若い選手がいる。もう31歳になっているのだから、もっと信頼できるところを見せなければいけないし、チームに対する責任も持たなければいけない。アウェーでは、リードを奪ったなら試合をコントロールできるように落ち着いてプレーしなければ。僕がそれをチームにもっと伝えていかなければいけない」と答え、自らのリーダーシップがまだ不十分であるとした。
順位が後退したとはいえ、前節は全員が豊富な運動量を披露し、3位のボルシアMG相手に善戦。そこには、首位バイエルンにアウェーで0-3の完敗を喫した一戦をきっかけにチームの考え方が変わったことがあるようだ。
バイエルン戦後、珍しくトーマス・シャーフ監督が声を荒げたことが大きく取り上げられた。シャーフ監督といえば、ブレーメン時代からどんな展開になろうともベンチで口元を触りながらじっと戦況を見つめる姿が板についていただけに、怒りを隠しきれないその姿は、ちょっとした衝撃でもあった。
その試合後、ピッチで約45分にわたり監督と選手が話し合ったという。それについて長谷部は、「もっと走って、力を出していかなければならないということを理解して、もっと自信を持って戦っていかなければいけないことを互いに確信した」と明かしている。
自身のパフォーマンスについては、「完全に満足しているわけではなく、それなりのプレーはできていると感じている」とやや低評価で、「もっといいプレーができるし、もっと点を取れるようにならなければいけない。もちろん、それほどシュート数が多いわけではないが、もう少しゴールを決めていてもいいはず」と、得点力アップを課題に挙げた。
25日の第30節では、日本代表のチームメートであるドルトムントの香川真司との直接対決が控える。鬼門ともいえるアウェー戦だが、「どのような戦術でいくのか分からないが、大切なのは競り合いに向かっていき、アグレッシブにプレーすること。攻めても、競り合いにいかなければ何ももたらさない。どう一対一に入っていくかということ、そして集中してやることが大事」と意気込んだ。
最後にプライベートな質問にも応じており、フランクフルトでの生活については「フランクフルトはいいところですね。もちろんファンもスタジアムも。街へはよく日本食を食べに行きます。気候もよくなったので、よくマイン川を散歩してますよ。気持ちいいですね」と、気に入った様子。そして、同僚の乾貴士との関係については、「一緒に食事に行ったり、彼の息子と遊んだりしてますね」と答えている。