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ドイツでまさかの判決結果…年金生活までは選手とクラブの継続雇用が義務に?

2015.03.31

マインツに在籍していた当時(2013年)のハインツ・ミュラー [写真]=Bongarts/Getty Images

文=鈴木智貴

 先週、人口約20万人のドイツ中都市で、サッカー界のみならずプロスポーツ界全体を揺るがしかねない判決が出された。

 その舞台となったのは、日本代表FW岡崎慎司が所属するマインツだ。2009年から2012年までの契約で同クラブに加入したGKハインツ・ミュラーは、その契約を2年間延長して昨シーズン終了まで在籍。その後、無所属となり昨年10月から12月まではバイエルンのテスト練習に参加していたが、結局それも破談となっている。

 すると同選手は驚くべき行動に出る。なんとマインツに対し、「年金生活に入るまで雇ってほしい」という訴えを同都市の労働裁判所に提出。そしてルート・リッパ裁判官は「トップアスリートもTzBfG(期限付きや時間限定の被雇用者を守るための法律/パートタイム労働法)のセクション14に該当します。つまり、既に2年以上雇用関係があったため、理由なしの期間限定雇用はもう認められません」とし、「ミュラーの訴えを認める」という判決を下した。

 プロサッカー選手も一般の被雇用者と同じように扱え……この結果についてマインツのハラルド・シュトルツ会長はドイツ紙『ビルト』の取材に対し「プロサッカー界にとってこれは最も重要なことであるから、もちろん異議申し立てを行う予定だ。我々もDFB(ドイツサッカー連盟)も落ち着いている。まだ1回目の判決であるし、この裁判官は過去の(一般被雇用者の)判例の大多数を見ているだけだからね」と、冷静であることを強調した。しかし続けざまに「もしこれがまかり通ってしまうのならば、プロサッカークラブは選手の入れ替えを行うことができず、50人もの選手に対し年金生活に入るまで給料を払い続けなければならないのか?」とコメントするなど、心中穏やかでない様子がうかがえる。

 勝利を勝ち取ったミュラーの担当弁護士ホルスト・クレトゥケ氏は、随分と威勢がいい。「裁判所がそのように結論を出したんだ。しかもこれはただ単に、ドイツ並びにヨーロッパの法律に則っただけだよ。これから多くの人間は、労働法についてもっと考えていかなければならないのかもしれない」と、新たな道を作り出したことに胸を張っている。

 しかし『ナイキ』のドイツ本社や、飲料メーカー『レッドブル』で顧問を務めるなど、プロスポーツ界にも精通するクリストフ・シックハールト弁護士は、今回の判決を一笑に付している。

「他の仕事とプロスポーツの仕事を比べてはならない。なぜならプロ選手は極めて限られた時間でのみ職務を行うからだ。それにサッカー選手は一般労働者よりはるかに多くの給料をもらっている。マインツ裁判所はこの特殊性を全く考慮していない。私からすればはっきりしているよ。『この判決はすぐさま覆される』とね」

 マインツは1カ月以内にラインラント・プファルツ州労働裁判所で異議申し立てをする予定。戦いの行方に注目が集まっている。

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