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連携が良化したバルセロナの“新看板”…中盤の起用法も固まりクラシコへ

2019.12.18

[写真]=Getty Images

 スペインのみならず世界中が注目する“エル・クラシコ”が現地18日、バルセロナが本拠地カンプ・ノウにレアル・マドリードを迎えて行われる。

 両雄の今シーズン最初の直接対決は、本来は10月26日に予定されていた。しかし、カタルーニャ自治州の独立運動に関わるデモ活動が激化したため、安全面を考慮して延期が決定。2カ月遅れで開催される運びとなったが、首位バルセロナと2位レアル・マドリードが勝ち点で並ぶという、宿命のライバル同士の激突に相応しい一戦となった。

最適な起用法が固まった中盤

[写真]=Getty Images


 エルネスト・バルベルデ監督の下、3シーズン目を迎えたバルセロナは、ここまで11勝2分3敗(43得点、20失点)と、3連覇に向けてまずまずの歩みを見せている。開幕から5試合で2敗を喫したものの、その後は何とか立て直した格好だ。

 成績的には悲観する程ではないバルセロナだが、内容的には不安な試合も多い。直前のレアル・ソシエダとのアウェー戦でもドロー(2-2)に終わるなど、昨シーズンからの守備面の問題は解決できていない。実際、16試合を終えての成績では、昨シーズンの10勝4分2敗(46得点、19失点)に近い一方、一昨シーズンの13勝3分(42得点、7失点)には大きく劣る。

 現在の布陣に目を向けてみると、フレンキー・デ・ヨングにアントワーヌ・グリーズマンと、2人の新戦力がスタメンに定着。昨シーズンまでのレギュラーであるイヴァン・ラキティッチからポジションを奪ったデ・ヨングは、ここまで公式戦22試合に全出場と、完全に中盤の柱となった。一方、故障を繰り返すウスマン・デンベレに代わり常時起用されているグリーズマンは、当初は独特の戦術への適合に苦労していたが、ここに来て調子を上げつつある。

 しかし、新しい血が入ったにもかかわらず、パフォーマンスの改善はさほど見られない。ビルドアップに長けた相手には、中途半端なプレスを突破されてロングカウンターを、インテンシティの強い相手には、ボールポゼッションがままならなくなってショートカウンターを受け、あっけなく失点するケースが散見している。

 それでも、最適な形を模索して来た中盤は、ここに来て起用法が固まった。複数のポジションもこなせるデ・ヨングだが、シングル・ピボーテとして出場した試合は2勝3敗と結果が出ておらず、反対にインサイドハーフとして出場した試合は8勝2分と好成績を残している。また、出場機会が激減していたラキティッチは、負傷したアルトゥールに代わりスタメン起用が続いており、本来の力を発揮し始めている。両選手が左右のインサイドハーフに入り、セルヒオ・ブスケツがシングル・ピボーテを務める布陣が、今回の大一番でも採用されそうだ。

相手に脅威を与える“MSG”トリオの破壊力

[写真]=Getty Images


 守備面の不安は解消できていないチームだが、攻撃面では一定の改善が見られている。その要因と言えるのは、やはりリオネル・メッシの存在だ。故障により開幕から欠場が続いたメッシだが、フル出場するようになってからは9試合で12ゴール・5アシストを記録。これに呼応する形で、チームの1試合平均得点も2.3から3.0へと増加している。成績自体も4勝1分2敗から7勝1分1敗へと向上しており、絶対的エースの影響力が顕著となっている。

 裏を返すと、メッシが良い形でボールを持てないとチャンスが作れない状況は続いている。攻撃にスイッチを入れる選手が少ないため、単調なパスワークになりがちなのは否めない。それでも、メッシと阿吽の呼吸を奏でるルイス・スアレスは9ゴール・3アシスト、両者とのコンビネーションが良化しつつあるグリーズマンも6ゴール・4アシストをそれぞれ記録。チームの新たな看板である“MSG”トリオの破壊力は、相手にとって脅威以外の何物でもない。

 この最大の武器を生かし、逆にレアル・マドリードの殆どの得点機に絡むカリム・ベンゼマを封じ込めることが、今回の大一番を制する鍵になるだろう。そのためにも中盤の主導権争いは重要で、パスだけでなくボールを運ぶ能力も高いデ・ヨングや、エル・クラシコで幾度も決定的な仕事をして来たラキティッチには、大きな期待が掛かる。

 出たとこ勝負の感も強いバルセロナだが、ホームでは7戦全勝と完璧な成績を残している。また、レアル・マドリードが中2日なのに対し、バルセロナは中3日と、日程面でも有利となる。近年のエル・クラシコの結果同様、バルベルデ監督が就任してからの直接対決も3勝1分とライバルを圧倒しており、好材料を背景に首位固めと行きたいところだ。

文=北村敦

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