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【コラム】ゴールから遠ざかるグリーズマン…アトレティコのエースは“本物”か

2016.12.28

リーグ戦では10月2日のバレンシア戦以来得点から遠ざかっているグリーズマン [写真]=Getty Images

「ディエゴ・シメオネ、最大の危機」と報じられることが多いのが、今シーズンのアトレティコ・マドリードだ。

 アルゼンチン人指揮官が就任してから2013-2014シーズンのリーガ制覇を始め、2度のチャンピオンズリーグ決勝進出などロス・コルチョネロスにとって史上最も甘美な時代を過ごしているが、今シーズンは苦しい戦いを強いられている。

 グループリーグを首位で勝ち抜いたチャンピオンズリーグは順調だ。一方でリーガは芳しくない。2016年を6位で終えた。近年は常にバルセロナとレアル・マドリードの2大ビッククラブの背後にぴったりとつけていたが、今シーズンは思うように勝点を積み重ねられていない。

 スペインメディアがアトレティコ・マドリード不振と結びつけて語るのが、FWアントワーヌ・グリーズマンの低調だ。

 フランス代表のアタッカーは、2015-2016シーズンはタイトルを勝ち取れなかったが、クラブではチャンピオンズリーグ、代表では欧州選手権のファイナリストになった。両チームでエースとして活躍し、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドに決まったバロンドールでも、バルセロナのメッシに続き、3番目に票を集めた。今や誰もが認める実力を兼ね備えたスターだ。

 ただフランス人アタッカーは山頂付近に到着したのはいいが、その地位の維持に苦労しているようだ。クリスティアーノ・ロナウドとメッシの偉大な2人はサッカー選手としては驚異的に長い期間、高いクオリティと共にコンスタントに結果を残している。一方、グリーズマンは今シーズン、結果が出ていない。リーガで9試合連続で得点がない。実に10月2日のバレンシア戦以来、シュートを決めていないのだ。

 地元紙『バングアルディア』によると昨シーズンも1月28日セルタ戦から2月27日のレアル・マドリード戦までリーガで519分得点がなかったが、今ほど長い期間はゴールから見放されていない。

 今シーズンも公式戦で21試合9得点6アシストと決して悪い結果を残しているわけではない。だが、バロンドールの投票で3位になった選手には十分な結果ではない。ましてや、彼のチームは苦しんでいる。レアル・マドリード、バルセロナのエースが2、3試合得点がなかっただけでニュースになるように、グリーズマンもいつしか得点するのが当たり前で、ゴールがないことがニュースになるようになった。そしてチームが低調であれば、不振の主因として責任がのしかかる存在となった。

 地元紙『アス』はグリーズマンの不振は疲労が原因であると伝えた。「リーガでは1261分ピッチに立っており、実に93.41パーセント出場し、チャンピオンズリーグでは全試合フル出場している」「出場時間に加えて、ディフェンスに力を使い、シュートを打つ時にはもう疲れている」と分析する。さらにマドリード・ダービーを具体例として示し、「ハットトリックしたクリスティアーノ・ロナウドと違い、大事なゲームでは活躍できない」「リーダーシップがない」とも評された。

 グリーズマンは苦しい時間を過ごしているが、クリスティアーノ・ロナウドもメッシもそういう時間があった。そして彼らはその後に必ず結果を出し、要求が高く、何かと揚げ足をとろうとする周囲を何度も黙らせてきた。

 はたしてグリーズマンは、山頂に居続けられるのか。

文=座間健司

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