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絶対的2強が支配するリーガ、放映権料分配の改革で新シーズンは変わるのか?

2016.08.02

スペインの“絶対的2強”、バルセロナ(左)とレアル(右)[写真]=Getty Images

 スペインでは、2強が絶対だ。言わずもがな、レアル・マドリードバルセロナのことだ。チャンピオンズリーグ(CL)でも毎年優勝候補の筆頭で、歴史、人気、経済力、実力の四拍子が常に揃う正真正銘のビッククラブだ。

 世界のサッカーをリードする2クラブが同居するスペインでは、当然ながらバルセロナレアル・マドリードがリーガ・エスパニョーラのタイトルを独占する。過去10シーズンで2強以外が優勝したのは、2013-14シーズンのアトレティコ・マドリードだけ。それ以外はバルサが6回、レアルが3回の優勝を誇る。2000年代初めにはデポルティーボ(99-00)、バレンシア(01-02、03-04)といったクラブがタイトルを手にしていたが、近年は経済格差が戦術、戦略で埋められないほどのチーム力の差となり、2強がほぼ独占している。

 統計ポータルサイト『スタティスタ』によると、2000年以降にリーガを制した5クラブの2015-16シーズンにおける選手の年俸総額は以下になる。(昨シーズンのリーグ順位/クラブ名/給料総額)

1位 バルセロナ:4億2168万ユーロ(約480億円)
2位 レアル・マドリード:4億3132万ユーロ(約491億円)
3位 アトレティコ・マドリード:1億5959万ユーロ(約182億円)
12位 バレンシア:1億2284万ユーロ(約140億円)
15位 デポルティーボ:1780万ユーロ(約20億円)

 リーグ戦2位のレアル・マドリードが最も人件費が高く、1位のバルセロナが2番目に高い。CL出場どころか、ヨーロッパリーグ(EL)出場権すら手にできなかった12位バレンシアは、人件費が2強の約4分の1しかとれない。残留が目的だった15位デポルティーボは約25分の1だ。これほどの絶望的な経済格差がある中でどうタイトルを手にしろというのか。

 今シーズンは喜ばしいことにその経済格差が、少しは和らぎそうだ。テレビ放映権料の分配が改革され、プロリーグ機構が一括管理することになったからだ。それまでは各クラブがそれぞれ放映会社と交渉していたが、プロリーグ機構が一括することで分配額はそれまでに比べると“マシ”になった。戦績、視聴率、観客動員などが分配額に影響するため、以前ほどの差はなくなったものの、それでもバルセロナが最も放映権料を手にする。

 スペインのスポーツ経済ニュースサイト『パルコ23』によると、バルセロナの新シーズンを含めた最近3シーズンの放映権料は以下になる(※日本円は現在のレートで換算)。

2014-15 1億3800万ユーロ(約157億円) 
2015-16 1億4000万ユーロ(約160億円)
2016-17 1億5200万ユーロ(約173億円)

 バルセロナレアル・マドリードに次いで、高い放映権料を手にするアトレティコ・マドリードの最近3シーズンは以下になる。

2014-15 4166万ユーロ(約47億円) 
2015-16 6700万ユーロ(約76億円)
2016-17 1億200万ユーロ(約116億円)

 また、MF乾貴士が所属するエイバルの放映権料は以下になる。 

2014-15 1528万ユーロ(約17億円) 
2015-16 2750万ユーロ(約31億円)
2016-17 4050万ユーロ(約46億円)

 アトレティコ・マドリードが2強に近い放映権料をもらえるようになったのは正当だろう。そして、エイバルのように下位の放映権料による収入は倍くらいにアップしている。近年2強が残留争いをするクラブと対戦すると見るに耐えない試合が多かった。バルセロナレアル・マドリードが明らかにギアを落としているにもかかわらず、ひどい時には8-1といったサッカーとは思えないスコアが頻繁に起こっていた。少なくとも今シーズンは、そういうゲームが減るのではないだろうか。

文=座間健司

By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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