2015.09.02

毎夏思い出されるスキャンダルに…デ・ヘア移籍騒動が迎えた最悪な結末

デ・ヘア
マンチェスター・Uに所属するスペイン代表GKデ・ヘア [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 GKダビド・デ・ヘアの移籍は必ず今夏中に行うべきだ。地元メディアは夏の間、そう訴えてきた。もし今夏に移籍が成立しなければ、デ・ヘアも、GKケイロル・ナバスも不幸になるからだ。

 デ・ヘアがマドリードに戻りたいと思っているのは明白だ。マンチェスター・Uは経済的にこれ以上ないほどの好待遇を提示したが、それを蹴っている。サポーターは我が愛するクラブに忠誠心がない選手と、チームメイトは1年以内に移籍する同僚と、これまでのような関係を維持できるだろうか。

 開幕したプレミアリーグで、試合に集中していないという理由からルイ・ファン・ハール監督にスタンド観戦を命じられ続けているデ・ヘア。もし残留となれば、この処罰がずっと続く可能性もある。そうなれば、選手は来夏の欧州選手権にスペイン代表として挑むチャンスを失ってしまう。ましてや1年間公式戦でプレーできなければ、選手として大事な時間を捨てることなる。

 一方、レアル・マドリードに残るK・ナバスの心境も複雑だ。自分がどんなに活躍しようが来シーズン、もしくは1月にはデ・ヘアがやって来る。自分は移籍しなければならない。先が見えている未来にモチベーションを保てるのか。また仮にK・ナバスがPKをセーブした第2節・ベティス戦のような好パフォーマンスを多くの試合で示した場合、マドリディスタはデ・ヘアの加入を歓迎するだろうか。前任者と比較されるデ・ヘアの重圧は必然的に大きくなる。

 両者にとってこれほど不幸なことはない。ゆえにレアル・マドリードは今夏の補強のターゲットとしてデ・ヘアを獲得しなければならない。

 しかし、結果は最悪だった。

 デ・ヘアも、そしてK・ナバスも直前で合意に達したが、8月31日24時の書類提出期限に間に合わず、移籍は失敗に終わった。レアル・マドリードは公式サイトで声明を出し、移籍が失敗した原因を間接的にマンチェスター・Uに押しつけた。イングランドのクラブが31日までデ・ヘアの交渉を全く受け入れなかった。そして合意した後の書類の返答が遅かった。そうレアル・マドリードが主張すれば、マンチェスター・ユナイテッドも反論。真相はヤブの中で、両クラブの間にわだかまりだけが残っている。

 マンチェスター・Uは世界でも最もリッチなクラブのひとつだ。デ・ヘアで手にできる移籍金3000万ユーロ(約40億7000万円)は彼らにとって欲しいものではない。それよりも現在世界最高のGKの1人であるデ・ヘアを1シーズンでも長く保持したかった。今夏の間、DFセルヒオ・ラモスとの契約延長のネタに使われ、本気で獲得しようとしていたマンチェスター・Uが怒り、その腹いせにデ・ヘアの交渉を遅らせたと邪推をする地元メディアもある。しかし、マンチェスター・Uのデ・ヘアを保持したいという姿勢は今夏一貫していた。

 レアル・マドリードはクラブの象徴だったGKイケル・カシージャスを追い出した。そしてカシージャスとのレギュラー争いというここ2シーズン繰り返していた不用意な雑音を起こさないために正ゴールキーパーのポストをきっちり用意していた。だが、移籍は不成立に終わっている。

 8月31日以前と以後では同じユニフォームを着ていてもデ・ヘアとK・ナバスの2人を取り巻く環境は大きく違うだろう。何よりも選手本人の心境は大きく違う。不信感が支配する可能性だってある。両クラブにとって何の得にもならなかった移籍騒動は、皮肉なことに8月31日になると毎年思い出されるスキャンダルのひとつとなった。

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